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2007年4月号 「出遅れた受験生に捧ぐ」

 

 これまで「日本を出発する前に調べておくべき事はたくさんある」と警告を発してきました。今は情報が遠隔地からでさえも入手できる時代です。ましてや当地は未開の地ではありません。先進国も先進国。アメリカです。帰国子女という先人も沢山いる。過去の情報は賞味期限を過ぎてしまったものもあるけれど、まだまだ参考にできるものだってある。

 そんなことに目をつむって、刹那主義的に「とにかく現地校の生活になれなくっちゃ」と毎日に追われ、気がつけば受験生。情報を勝手に解釈して「現地校を頑張れば、有名難関校に受かるんだよね?!合格できるんだよね?!YESといって!!!」と雄叫びをあげる受験生。はい。この読み物の読者の皆さんは、真実をご存じと思うので、こんな事態には陥らないと思っております。でも、いまだに多いのです。「勘違い」「勝手な解釈」「ご都合主義」これらが「砂上の城」であることは、入塾試験などをすると即刻理解できます。例えば英語の試験でも偏差値50も取れない。ましてや数学や国語など偏差値40程度。その成績を持って、どうやって偏差値70近くの難関校に合格できるのでしょうか?

 「いやいや、帰国生は多角的な角度から合否を決めるっていうから」

 では、偏差値40と引き替えにした「何か」とは、何でしょう?日本の高校を「うーむ、それは素晴らしい」と唸らせるほどの「何か」を持っているのでしょうか?ちょっと頭を冷やして、学校側に立って考えてみてください。あなたの「何」を買ってくれそうですか?英語の力?でも、ESOLも卒業できていないのですよね?それで、どうやって高い英語力と証明するのでしょうか?では、現地校で勉強したこと、ですか?現地校で「おみそ」扱いされて、受けさせてもらったレギュラーの授業。それでは魅力のかけらもないでしょう。

 もっと前に塾に行かせるべきでした。あるお母さんがこぼされていました。でも、お母さんも苦労されたんですよね。なぜって。。。

 ・気の散りやすい性格

 ・意志の弱さ(すぐ諦める)

 ・自分に甘い(点が悪くても落ち込まない。決めた範囲がやり切れなくても寝る)

 ・競争心がない(が、着飾るのは人一倍、他人を意識)

など、毎日顔を合わせる身としては、溜め息の一つでもつきたくなったんですよね。オマケに二言目には「好きで海外に来たんじゃない」といわれ、「なんで自分だけ日本お勉強と現地校の勉強の両方をやらなきゃいけないんだ」と叫ばれる。この子のペースでなんて、悠長なことを考えていたら受験準備に何年かかるか分からないと思いながらも、いっこうにエンジンのかからない我が子に悩んでいたんですよね。

 でも。今すぐ日本に帰って、それなりの塾に行ってみたと想像してみてください。学力・能力別。学校行事等の場合は振り替え授業をしてくれる。質問専用の自習教室常時完備。定期試験対策特別授業・補講有り。週3日×3時間授業。それに加えて補習、追試、お楽しみ会など至れり尽くせり。月3万円(夏期講習、冬期講習は+10万円)

 これをこなせれば、それなりの成果が期待できる!と思えますか?友達もいる塾であれば、競争心も芽生えて、受験生になれると思えますか?

 甘い甘い。

 塾から言われた事を、言われたとおりに「きちんと」やっていれば、それなりの成果は期待できるかも知れません。でも、していないでしょ。例え懇切丁寧な塾プリントを目の前にしても、勝手気ままにやれば効果は半減。指示通りにやれるか、ということは塾への信頼度・忠誠度もありますから、塾との相性という言い方もあります。子供が塾に対して「絶対」というほどの信頼をしていれば、それは効果となって現れます。相性の良い塾に出逢えたら、たしかに予想をはるかに上回った成果が期待できたりします。いままで勉強していなかった分、本人の「危機感」がバネの役割をし、真っ白いキャンバスに「素直に」書き込んでいくことが出来れば、通常の3倍(信じられない?)でクリアすることも可能。(かもしれません)

 ところが自分に甘い性格だったり、お友達と「勉強ごっこ」という姿勢の場合は、塾でも「お客さん」になってしまい、通っているだけという事実で終わりがちです。特に日本の勉強に対して消極的な性格の海外生や、海外では誰かしら人に世話してもらっていた子供は、たいてい伸びません。塾では「そこにいるだけ」になります。親としては塾に行ってくれているから安心してしまいがち。よって、塾が成績向上の牽引車になっているかどうかを判断するには、月例または2ケ月程度の模擬試験結果で、ある程度は把握できます。(だからこそ、受験する・しないに関わらず、模擬試験は必要不可欠なツールなのです!是非、受験を!)

 本来「理解する」というレベルには、誰でも到達することが出来ます。時間がかかる場合もあるし、すぐに理解できてしまう単元もある。いずれにせよ、理解は出来る場合が殆どです。何しろ内容は「学年相当」のことです。ところが「定着」に関しては、個人ごとに話が違います。ものを覚えることを考えてみてください。書いて覚える人。見て覚える人。何度も何度も繰り返さないと覚えられない人。一度で覚えてしまう人。様々です。定着とは「暗記」です。この暗記の作業を、何処まで導いてくれているかが「塾に行かせている価値」として現れるわけです。そして塾の本領。定着できた知識が「使いこなせる」というレベルにまで到達させられるかどうか。この訓練を塾は徹底的にしていきます。こういうレベルに達しないと解けない問題が、入試問題には多々あるわけです。このレベルになると、一朝一夕には到達できません。時間が必要です。だから私たちは中学受験でも高校受験でも「最低2年は欲しい」とお話ししているのです。これは、帰国枠受験ということではなく、日本国内であっても同じです。基本的な跳躍力を持っているなら良いですが、そうではない場合は2年欲しい。現地校で忙しく、日本の勉強のレベルは壊滅状態というなら、最低限2年は預からせてもらわないと、受験校が選べません。

 では、時既に遅し、という場合は、どうしたら良いのでしょう?傍にいる親は、何を考え、何をさせたら良いのでしょう?

 私はいつもリップサービス無しです。思ったことをストレートに口にしてしまいます。そのために怒られちゃったりすることもあります。余りにも直球過ぎるのでね。でも、これが私なので、いつもの通りに書きます。

 親が見てきた「そんな子供」であり、既に受験時期に入ってしまっている場合は、できることなどとても限られたものでしかありません。もちろん、目標とする学校が既に合格圏内という成績であれば、親が直接指導できることがなくても、うまくいく可能性は高くなります。「すべて、想定内!」というヤツです。

 でも、「まだまだ合格圏内遠し…」といった状況であれば、厳しい戦いになります。ここで言う、「厳しい戦い」とは、親にとって厳しいという意味です。親にとって、厳しいのはどちらですか?

 1) 子供のそばで、してやれることが「たくさんある」状況

 2) 子供のそばで、してやれることが「ない」状況

 たぶん、たいていの場合、2)ですよね。

 例えば、受験の3年前。この時期ですと、親がしてやれることは無数にあります。あまりにもあり過ぎて、嫌にるくらいあるはずです。でも、それをしなかったでしょう?毎日の生活に追われて、本来すべきことに目をつむってしまったのは子供ではなく、親の方です。1)の状況を子供の性格が…、親が忙しいから...、なんて理由をつけていると、3年なんてあっという間に過ぎ去ります。そして、2)になるのです。

 受験まで100日をきると、お子さんのそばでしてやれることが「ない」状況となります。親にとって、辛いことです。基礎問題をまとめたドリルで「よし!その調子!」などと誤魔化しますか?数年前に、それを試したお父さんがいました。結果は、無駄でした。効果はありませんでした。受験する学校が「基本問題を大量に出題する」というなら効果はあるでしょう。しかし、帰国枠でも学力を求められてきている時代です。受験直前でスパートをかけなければ受からない。それを無視して「自信を持たせるために」などというヤワな発想で現実逃避しても、何の解決にもならないわけです。用意周到に準備してきた、学力のある生徒から合格している。これは受験の王道です。当然の結果。

 なんだか冷たい、とお思いになるかもしれませんね。

 でも、今まで傍について成果を積み重ねてない方(親)が、今から傍についても、おそらく成果は見込めないと思うからです。私たちが受験学年の募集を停止するのも、ここに理由があります。突然手のひらを返したように親が、大人が横についても、何も変わらない。寧ろ消化不良が増えて、雪だるま式にダメになっていく。そして、それを本人も自覚できるから「やる気」もなくなり、「ああ、なんでダメなんだろう」と自信喪失。

 こうした子供は、親が傍に付こうとすれば、状況をさらに悪化させる心配があります。「ちゃんとやりなさい!」「やってんだろうがぁ!」「がんばろう!」「がんばってんだろうがぁ!」「覚えなさい!」「覚えられないから苦労してんだろうがぁ!」などなど。

 では、親は何をすべきなのか?

 手をこまねいて見ているしかないのか?いえ、一つだけ、あります。

 『子供の味方になること』です。  子供の性格、

 ・気の散りやすい性格

 ・意志の弱さ(すぐ諦める)、

 ・自分に甘い  

 ・勉強に関しては競争心がない

などは、受験が迫っても、ほぼ変わることはないでしょう。でも、これらは多くの受験生に当てはまることです。受験生本人がそんな状態なのに、「味方」であることに徹することは、ある意味で、親にとっては一番の試練かもしれません。でも、受験が終われば、次の新しい生活がはじまります。受験が終れば、それで終わりではないですからね。

 また、今後のステップアップを考えると、厳しい試練ですが、やはり「味方」として受験に臨むように努力すべきだと私たちは思います。

 では、味方って、具体的に何をするのでしょう?

 まず、こうした家庭の場合、お子さんの傍で勉強を頑張らせる役は、他人に任せます。既に身内の限界は超えています。ただ、塾のカリキュラムだけに頼っていては、問題は解決しないと思われます。別に、塾をやめるべきと言っているのではなく、それだけでは不足ということです。塾でもいいですし、家庭教師などでもいいのですが、量を増やさなければなりません。しかも抜けているところが多量にあるのであれば、それを片っ端から埋めていく作業が必要です。時間が無いなら、それこそ寸暇を惜しんで詰め込んでもらう。テストに慣れるために、受験校の問題傾向に似た問題を多量にこなしていく。そうした「志望校にあわせた実践演習」を、それこそ寝る暇惜しんでしていくべきです。現地校がどうこういっている時間はありません。髪をいじる時間もありません。チャットしている時間も無し。休憩時間も不必要。そこまでの「必死さ」が欲しい。一人で必死になるには精神的に辛いところがありますから、親としては「一緒に必死になっている」という姿を見せなければなりません。マルつけぐらいは手伝えるかも知れません。現地校の、簡単な宿題は替わりにやっておくべき事になるかも知れません。

 まだ、続きがあります。  「お子さんだけのカリキュラム」が予定通り進まない場合は、即座に「注文」をつけます。カリキュラムをこなすのが時間的に厳しい場合は、何かを削ってカリキュラム通りに進めることを優先します。そして、カリキュラムが予定通り終わったときに、「お礼」をするのです。これは塾や家庭教師などの「他人」を上手に使うときのコツです。『お願い』しっぱなし、はダメです。無理・無謀をお願いしているのです。そして、プロは何故そうなったのか、理由も分かってしまいます。お金を払うんだから塾や家庭教師は、そのくらいやって当然だろうが、と思ってはイケマセン。前述の通り、本来2年は欲しいところを、それより短い時間で対処しようというのです。これは骨の折れる仕事ですし、本音を言うと、できればやりたくないのです。お礼の金品を渡せということでは決してありません。「そのくらい、やって当然でしょ」という態度では、他人は本気で動いてくれないということです。塾にあずけた。送り迎えでオシマイ。保護者会にも出席せず、受験情報も集めない。いつも無理難題をお願いする。頼むばかりで、塾側のお願いには耳を貸さない。こういうことでは、決して他人は動きません。

 「依頼」して、「注文」をつけて、「お礼」をする。これが、子供の傍につかない親ができる唯一のことです。もちろん、これにはそれ相応の費用がかかることも予想されます。ダブル塾(または塾+家庭教師)ということですから、それ相当の費用になります。単純計算で他の人の2倍です。しかし、これまでのツケとして諦めるしかないでしょう。親がやればタダですが、他人に頼むとタダではすまないということです。本当は3年前に親が上手にコーチングし、日本の受験を調べ、帰国子女受験とは何かを勉強し、現実と向き合っていたら、こんなことにはなっていなかったのですから。問題集と参考書で、上位難関校を受験していたのでしょうから。(現実、そうしたご家庭は、いくらでもあります。塾のない地域で頑張っている受験生は、たくさんいます。)

 そうでもして、子供の味方になって受験に臨むしかない。この程度のことしか、いえません。アドバイスとしては、あまり参考にならないかもしれません。

 「悔いのない受験を!」

 これは私たちがずっと言い続けてきた言葉です。受験は、一度きりのものです。悔やんでも、やり直しができるわけではありませんし、時間が戻ってくるわけではありません。与えられた時間で、ベストを尽くす。時間が無いなら、無い時間で最善を尽くして欲しいと思います。

 

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