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2002年1月号 「ここが変わる!2002年のena」

■ここが変わる、2002年のena

 いよいよ2002年が始まります。教育界においては大きな意味を持つ年になります。そう、教科書改訂の年です。学習内容が、それまでに比べて3割削減されてしまうことになります。
 多くの私立校では、この削減に反対して今まで通りの学習内容を取り扱うといっています。2000年度から様々な改革を続けてきた私たちですが、2月の新年度開始から更に進化していきます。

■その1「受験科から選抜クラスへ」

 塾にいらっしゃる多くの方は、当然進学・受験を意識されているはずです。これを2002年の教科書改訂にあわせた「内容の薄いもの」で対応するとすれば、志望校合格はおろか、学年相当の学力も危ぶまれます。
 さらに昨今の「帰国枠受験の変化」は、優遇してくれた一時代から脱却し、日本国内の受験生と同じ学力を求める時代に入っています。もともと高校受験がそうでしたが、大学受験や中学入試にも余波が広がっています。
 そこで、真面目に受験を考える生徒達のために昨年の受験科という大きな枠組みから一歩進んで「選抜クラス」制度を導入します。これまでも受験科を希望される場合には入塾試験である一定以上の成績を取っていただくことを条件とさせていただきましたが、さらにそれを強化しました。クラス分けも個別に随時対応するカリキュラムを取ります。

■その2「本科の充実」

 そうなると「英語受験」や「編入希望」、また「とりあえず受験は考えていない」という生徒に対してのクラスも同時に充実しなければなりません。
 クラスの名称こそ「本科」となっていますが、内容自体は「進学・受験」を根底におき、進学後も困らない学力の育成を目指します。つまり、本科在籍であっても、例えば編入試験の準備が可能であったり、英語受験で進学後のことを考えて通塾することも可能なカリキュラムにしました。よって、授業時間も1授業50分にしました。

■その3「平日に本科、土曜日に選抜」

 昨年度、問い合わせのお電話をいただいた中で最も多かった声が「土曜日はできる限り避けたい」という声でした。やはり日本人同士が多く集まり、友達と交流を深めたいという気持ちは堅いようです。受験が目前に迫っていれば、それも諦めざるを得ない状況があるでしょうが、そうではない場合には大きな問題です。
 よって、土曜日には受験をまじめに考えている「選抜クラス」を実施し、平日には「本科」を実施するようにしました。非受験生に対しては、これで補習校と塾とを両立することが可能になります。  

■その4「本科も選抜も通塾を週1日に」

 「通いたいが、家が遠くて」という声も多くいただきました。通塾回数は、海外において、特に送迎をされるお母様には大きな問題です。例えば兄妹がいらっしゃる場合には週2回の授業であっても兄妹が交互に授業があり、結局毎日送迎されるということも見られました。渋滞する495や、カープールするにも近所にはいっしょに通う友達がいないという場合には大きな問題です。そこで、本科も選抜クラスも、複数教科を履修しても週1回の通塾で済むように設定しました。(高校生を除く)

■その5「受験にはまだ時間のある小4と中1の充実」

 昨年度までは、この2学年に対しては1クラス設定でした。理由は簡単です。受験に直接出題される内容が少なく、受験科と本科にまでクラス分けをする必要がないと考えたからです。ところが、意外にクラス内の学力差が開いているということがあり、1クラスで授業を行うことに無理が感じられてきました。今後、ご家庭が2002年問題をどうお感じになっているかで、準備されている度合いが違ってくると思います。そうなると1クラスでの授業は不可能です。よって、選抜クラスまでいかずとも、最低限2クラス化は必須だろうと考えました。しかも同じ時間帯に2クラス化することで、クラス替えをし易いようにしてあります。

■その6「高校部の意識改革」

 「平日は現地校の宿題などで忙しくて」という高校生が大半を占めます。それは事実だと思います。だからこそ以前は土曜日に集中して高校部の授業を開いていました。ところが近年、高校生の数が激減し、大学受験まで滞米する生徒が減りました。増加したのは高校編入希望の生徒です。こうなると現地校のことも大切ですが、日本の学年相当の勉強も同時進行しておかなければなりません。学校帰りによってもらうように授業曜日を設定し、さらに選択できる教科も数学、国語、小論文、そして日本の学校英語と4講座に増やしました。ここのところ編入で帰っていた生徒でも「学年を一つ落とさざるを得なかった」とか「編入はできたが、スタートから落ちこぼれている」との声を聞きます。意外なことに英語の授業でも「分からない」ことが多いと聞きます。これらに対応すべくコース設定です。

■その7「変わらないこと」  

 私たちが考えることはただ一つです。「どうやったら生徒の学力を上げられるか」。ただ、それだけです。進学に対して、受験に対して、必要な学力を付けさせるためには、どうしたら良いかを考え、それを即、行動に移してきました。以下、これまで行ってきたことを簡単にまとめてみました。

「あゆみ」
月間の通知票のようなものです。今月の努力度を家庭に連絡するという目的で始めました。小テストのこなし具合や後述する復習ノートのこなし具合を評価し、毎月の学習計画の基準を作ってもらっています。また、ご家庭にはコメント記入をお願いし、ご家庭と塾との連絡方法の一つとなっています。

「復習ノート」
問題をやりっぱなしではなく、正しい解答まで行き着くように指導したい。そんな視点から始めました。復習用の教材を与えてやり直させることもあります。提出するということから、例えばノートの取り方、人に見せることを踏まえた字の扱い方、そんなことも指導できます。

「重大ニュース」
高校生でも日本のニュースを見ないということがあります。時事問題は受験生にとっては必須です。面接で扱われることもありますし、論説文で扱われることもあります。知識は積み上げていかなければ身に付かないものです。日本語に囲まれていない生活環境ですから、少しでも多くの日本語に触れさせ、さらに知識を増やしていくことが大切です。あまりにも知らないことが多い。そこから、どうしたらいいのか。何を使って伝えたらいいのか。それらを考えて、全生徒に配布し始めるようになりました。更に、毎月、感想文を書かせるようにしています。しかも単なる感想文ではなく、簡単な小論文の練習をさせています。意見作りといった方が適切でしょうか。ICUなどに見られる現地校枠では、作文というよりも小論文形式で出題されているからです。

「個別授業」
2001年度後期授業から始めました。もともと高校生のために用意したものです。というのは、近年の高校生の場合、編入希望者が多く、そうなると一斉授業よりは個別に対応した方がより教育効果が高いだろうと考えたからです。これに対して、実際は、小中学生の申込みが殺到しました。自分のペースで勉強したいという方や、本科や受験科の授業のフォローをして欲しいという方、また、本科や受験科に参加したいのだけれども曜日があわないので、という方が履修されています。先着順に受け付けましたので、ご希望の時間がとれずに、やむを得ずお断りしたご家庭も何件かありました。

 もちろん、これ以外にも情報の提供や自習室の常時開放、お電話やEメールなどを使っての教育相談など、進学塾として当然のことも実施してきました。これらが全てが生徒の学力向上につながっているわけです。例えば。。。
 A君  半年前 2科偏差値54→最新2科偏差値68
 B君  国語履修前 偏差値43→履修後最新偏差値66  
 C君  個別算数履修前 偏差値52→履修後偏差値62  
 Dさん 中2までの3科平均偏差65→最新偏差値80  
 全ての生徒が満足できる塾であるとは思っていません。上記の4人以外にも成績が伸びた生徒はいますし、逆に下がった生徒もいます。私たちは選んでいただいたご家庭を裏切らないよう、全力で指導しています。
 最近「塾は厳しいんでしょ」という声を聞くようになりましたが、それは間違いです。内容的に、という意味なのでしょうが、それでも間違っています。日本国内の進学塾から見れば、半分もしていません。それは現地校という異文化の中に放り出された現実を考えて、カリキュラムを組んでいるからです。進学を念頭に置いていないのであれば確かに厳しいでしょうし、難しいことをやっているとお感じになるでしょう。しかし、進学を考えているならば、これが限界緯線であり、これ以下であれば進学を念頭に置いていないということになります。私たちは進学を念頭に指導していきたいと思っておりますので、これ以下はありません。よって2002年問題にも対応せず、これまで通りの指導内容を続けます。
 塾も私学の一端であると認識しています。私学であるならば、日々理想の教育像現実化を目指し努力すべきであると考えます。揺るぎない教育理念と素早い行動力こそが、ご家庭が私学に求める最大のものであろうと思います。私たちは、生徒の学力向上のために、更に進化し続けたいと思っているだけです。

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