まえのページにもどる> <もくじにもどる

2010年07月号 「勉強方法の提案・夏と復習」

■夏の過ごし方

 待ちに待った夏休み。普段は現地校との戦い。地獄から解放されて、やっとアメリカ生活を満喫できる時間が確保できた!しかーし!日本の勉強、どうなってます?まさか、ここしばらく日本の勉強なんてしていなかったりとか?

 まずは現在の客観的な成績を把握してみませんか?日本のお友達に較べたら、そりゃあ「やっていない」んだから、送れているに決まっている。はいはい。そうです。でもそれが「どのくらい遅れているのか」を見極めることは、本当に大事なこと。実は「シャレにならないくらいに遅れている」ってこともあるし、「けっこうイケてる」ってこともあります。通信教育だけではなく、ましてや問題集を解いたりすることではなく、模擬試験を使って成績を見てみましょう。enaでは、模擬テスト生も募集しています。模擬試験を受けているあいだに、お父さん・お母さん対象の進路相談もできるから、任せて安心!です。

 日本でも海外でも、夏の時間の使い方は大切。現地校でいえば、秋からの新学期に備えて、きちんと学力を上げておくことが肝心。本屋さんで「夏休みの課題」なんていうものが売っているから、ぜひ取り組んで欲しいですね。日本の勉強も同じ。夏期講習に参加するのは当然として、遅れているところや練習が足りないところをしっかりやっておくこと。そうそう。よく「夏は自分で頑張ってみる」という人がいるけど、大丈夫かなあ?普段から自習・自学が出来ている人なら問題ありません。かならず出来るでしょう。でも普段はお父さん・お母さんが付きっきりということならば、夏だって同じ。じゃあ、お父さん・お母さんも夏休みになって時間が沢山。。。あるはず無いですよね。ということは、たいていの場合、自爆します。子どもは嫌なことから逃げたいのが「性質」なんですから、夏期講習に参加したくない子どもは「ボク、自分で頑張ってみるよ」と説得をします。で、その言葉に乗っかってしまった親は、秋に必ず後悔します。「ああ、口では上手いこと言っていたくせに。。。」って。

 私たちは進学塾なので、当然厳しい言い方をします。「本当に優秀な子どもは、何処に行っても、何をさせても、きっちり成績を取る」「いまやらずして、いつやうのか?」「夏を制するものは、受験を制する」などなど。これらは、昔から変わりません。だから今年も私たちは講習をし、授業をし、生徒と一緒に切磋琢磨しようとしています。  

■復習の大切さ

 enaでは、どんな学年・教科であっても、復習が肝心とお話ししています。受験を考えてみてください。結局現在の受験は「これ、知っていますか?」「次の学年に上がったとき、こういうの、できますか?」と聞かれていると思いませんか?資格試験ではないのです。一定の学力があったら良いということではないのです。また、定員があれば、競争が起こります。自分なりに頑張ったとしても、相手がもっともっと頑張っていたら、負けます。

 これらから、兎に角、一番はじめにしっかり作り上げて欲しいのは「勉強の土台となる知識」なのです。ノートのとり方から暗記の仕方。そうしたことから始めて、基本的なことを覚えていく。世間一般で言われている「詰め込みはダメだ」とか「暗記主体ではいけない」などという言葉に踊らされてはイケマセン。だって考えてみてください。知識もない人間に、何を考えさせるのでしょうか?思いついたことを適当に言わせるのですか?学ぶという姿勢が出来ていない生徒を、学校は欲しがると思いますか?次元の違う話なんですよ。それが分かっていらっしゃらないご家庭が多いんですね。暗記も出来ない子どもに、発想を求めても無理だということです。

 さてさて。現地校との戦いがあったため、毎日の日本の勉強は不可能だったというご家庭もあるかと思います。実際には週末の時間を使ってと言うことだったと思います。仮に補習校に通っていたとすると、土曜日に授業。その復習を日曜日にきっちりする。もし日曜日にスポーツなどをやりたいのであれば、平日の何処かで復習する時間を作らないといけないですね。例えば、現在、毎週月曜日の夕方に時間をとる、とか?

 その際、どんな復習・やり直しをしていますか?ちょっと、お子さんの復習ノートを覗いてみてください。わからない問題、マルつけをして間違った問題を、どうやり直しているか。

 「例題を見て問題の解き方を考えてごらん。それでもわからなければ、解答と解説を見て、なぜその答えになったのか考えてごらん。」と指導されているご家庭は多いと思います。ただ、それで復習・やり直しが出来ている子どもは「自学・自習」が完成している子ども。塾など不要です。(少ないですが。。。)殆どの子どもは「いまひとつやり方がピンとこない」ということではないでしょうか?赤ペンで解答を書き写しているようであっても、その先がない。覚えようとした形跡もないし、別のノートに問題点などを書き出している形跡もない。やりっぱなしに極めて近い。そのくせ、プライドは高いようで、親が教えよう・指導しようとすると「口出しせんといて!」と言って聞こうとしないかもしれません。

 実際、平日であれば、お父さんは教える時間が無い。殆どのご家庭では、そうでしょう。わからない問題はチェックしておいて、夏休みにまとめてやればよいと思っているご家庭も多いと思います。そこに、どんな落とし穴があるのか。本当は、可能であれば日々の勉強の中で、復習のやり方、特に理解できていない問題の対処の仕方だけはきっちりと習慣づけておきたいと考えていらっしゃるご家庭は多いはず。

 「復習時に解からない問題への対処の仕方」をどう助けてあげればよいか。  

■頑固な子ども  

 小学生にも中学生にもあてはまる話ですね。補習校だろうが、家庭教師だろうが、enaだろうが、日本の勉強をやるってことは、現地校の勉強との「両立」なわけです。ほとんどの方が現在、『新しい単元の勉強→復習→新しい単元の勉強・・・』の繰り返しで勉強を進める仕組みになっているはずです。日本の勉強は「積み重ね」が緻密に出来ていて、新しい内容を学習する前に必ず復習内容が出てくる。そこできっちり出来れば、本当に新しい単元もすんなり学習できる。。。ようにはなっているんですけどぉ。。。

 実際は、このサイクルで復習が不要な勉強をしてる方はごく稀です。先にも書いたように、そんな子どもは既に「自学・自習」とはなんたるものかが分かっていて、何処に行っても何をやらせても、きっちり成績を取っちゃう子どもなんですから。

 そうなると、このサイクルにおいて一般ピープルは。。。『新しい単元の勉強→新しい単元の勉強・・・』という風に新しいものばかりを頭の中に詰め込むことになります。詰め込めることが可能な、覚えること、大好き!って子どもであれば、それでも成績は工場可能です。でも、殆どの子どもは頭の中は新しい、わからないものでいっぱい!なんてことで未消化状態になるわけです。

 これは小中学生問わずですが、現地校と日本の勉強のカリキュラムが一致していないわけですから、毎日起こっていることです。現地校での勉強が塾のフォローにならないわけですから。そうなると、言葉の問題と同様の、相当なストレスがかかります。未消化、よくても消化不良であれば、血にも肉にもなりません。成績向上には役立たない。下手をすると現地校の勉強も、日本の勉強も共倒れということになります。(実際、そうなった生徒を見てきました)

 だから、復習が大切なのは皆さんも十分承知のはず。その上で、うまくいく人とうまくいかない人がいる。やり方以外にも、子どもの得意・不得意や親子関係が影響することもあります。例えば先に出した例でいうならば「口出しせんといて!」と言って聞こうとしない状態であれば、勉強の前の親子関係の部分にまずは焦点を当てて考えたほうがいいのではないか?とも思います。「勉強をやらせる体制に持っていくまで、一苦労なんです」というようなことも聞きますが、それは勉強以前の問題ですから。そんな状態の子どもに最初から成績向上を期待する方が間違っています。

 今回は「勉強法」だけに注目することにして、「親子関係」については置いておくことにします。繰り返しますが、「親子関係」は勉強を進めていく上で、非常に大事ですから、この部分をはずして親技というのは難しいです!

 話を戻します。

 復習が大事とわかっているけど、うまくいく人とうまくいかない人がいるという話でした。うまくいかない理由は、1つではありません。しかし絶対的に言えることは、やり方がヘタクソ!ということです。やり方、考え方だけでも変えれば、今よりもずっと良くなるのです。例えば、こういうところです。  

■へたくそ

 毎週、決まった時間に復習する時間を設ける。これ、すごくいいことです!よく、お父さんが気まぐれに「よし、勉強をみてやろう!」なんていうことがありますが、受験を目指して勉強している子供たちにとって、「事情のわからないお父さん」ほど迷惑なものはありません。塾やテストのシステムを理解することなく、20年前の感覚であれこれいえば、ウルセー!となることは必定ですから。

 ただし、大きな問題点があるとも言えます。現在のところ、成績がイケてない状態であるならば、やはり今のやり方というのは問題があるといえます。問題は、「まとめてドーンと方式」です。日本の勉強は得意で、カテキョに習っても、習ったところで結構理解でき、宿題とか復習とか、取り掛かりは遅いとしても、やり始めれば、頑張って復習をして勉強をある程度消化しているのであれば、1週間に1回ド――ンとまとめてみるのも良いでしょう。

 でも、今、イケてないくて、下痢か便秘みたいな状態で、まとめてというのは、効果がないということです。イケていないのが証拠です。人間の記憶力なんて、いい加減なものです。火曜日に習ってできた問題も2、3日も経てばすっかり忘れてできないという子どもがほとんどです。できる問題があるとしても、できていたが忘れかけた問題、できない問題などをさあ、(まとめて)やるよ!というのは、勉強のやり方としては、うまくないということなのです。

 特に日々現地校・日本の勉強の2本立ての生活をし、膨大な量の「知識」を習って消化しなければならない日常生活を送っている子どもにとって、日々の勉強の鮮度は時間が経つにつれ、どんどん腐っていきます。それがつまり、以前はできたけど、時間が経つとできなくなったという状態です。子どもにとって、「鮮度が悪い」つまり、腐りかけた問題を復習と称してド――ンと課す。やっぱり、それは子供にとってはおもしろくない、ノリノリにはなれない作業になってしまうのです。結果がそれを物語っています。

 親の言い分は、「わからない問題をわかるようにするのが勉強だろ!」というものでしょう。しかし、自学自習が出来ていないような一般的な子どもの言い分は、「わからない問題を勉強するのって面倒臭い!」というわけです。両者の言い分は平行線・・・。でもこれは、海外生活者に限ったことではなく、日本国内であっても、ごく自然な流れだと思います。  

■打開策

 実際、平日は現地校の勉強で手一杯。日本の勉強までする時間は、なかなか作れない。であれば、enaからの提案は、『わからない問題だけを勉強する時間をつくる』としましょう。復習で「なんでもかんでも」やり直そうとするから、土日であっても時間切れになるわけで、それを「わからない問題だけを勉強する時間」にすることで、ある程度の見切りをしようと言うものです。取り組みやすい「できる問題」は鮮度が落ちないうちに、さっさと復習させておきます。そして、お子さんが「う〜ん、わかんない」とか「なにこれ、習ったっけ?」なんていう問題に出会ったら、「はい、土日行き〜!」って先送りしていくわけです。その際、あまり迷わず、「はい、土日行き〜!」とテンポよく進める役割を果たしてもらうためなのです。つまり、いつも書いている「親は司令塔になる」ということです。とにかくテンポ!できる問題を気分よくチャッチャと処理する!

 こうしてお子さんが平日の短い時間でも処理していくことが可能な「できる問題」と腰を据えないと思い出せない「できない問題」の少なくとも2つに問題が分類されます。こうしておくと、お父さんが平日時間が取れなくても、お子さんのテキストやノートを夜遅く帰ってみれば、どんな問題を土日の「特別タイム」に勉強するのかを随時確認しながら、備えることもできますよね。なるほど、今はここに詰まっているんだなとか、あれれ基本がわかっていないぞ!なんてことも確認することができます。こうして土日は「濃度の濃い日本の勉強日」となるわけです。これまでの「だらだらと時間だけかかっていた土日」とは違ったものになるはずです。どれくらいかは現地校との両立の精度で個人差があるものの、やる量自体は今までよりも減るはずです。

 さあ、いよいよ土日の「わからない問題デー」です。1週間のお子さんの勉強の推移を直接ではないけれど、テキストやノートで見てきたお父さん・お母さんですから、「わからない問題」すべてをこなそうとはしないハズです。解説を見て、すぐに理解できればOK!そうでなければ、「今はパス!」という選択で問題を分けながら勉強を進めていきます。当然、今はパスとなった問題は、この先、夏休みかどこかでやることになります。ここでは限られた時間を有効に使うべく、単元によって、やるべき問題と今はパスする問題に再び分類しながら、いくつかの「できない問題」はここで解決していきます。ぜひノリよく進めていただきたいので、「どうだ、ギブか!?」なんてゲームみたく進めるのが理想です。

 復習方法で躓いているご家庭にありがちなケースでは、子どもにとって「できる問題、できない問題」をランダムに勉強することになります。そうすると、どうしてもできない問題でペースが落ちてしまう。全部そこで止まってしまうわけですね。止まった後でやる勉強には「できる問題」もあったりするでしょう。でも、タマタマ勉強の時間の前半で出てきた「壁」の問題によってつまらなくなり、結局「口出しせんといて!」となれば、本来、そこで処理できる問題も放置となるなど、人生が、せっかくの親子の時間が、ツラくなっちゃう。これは親だけでなく、子供にとってもストレスの貯まる勉強のやり方なのです。だから、ペースを落とす問題は除けておき、短時間の真剣勝負で今後の扱いを決めていく。時間も予め決めておき、「3時間でこの問題たちの処分を決めるぞ!」「おー!」なんてできるのが理想です。まさに、「特別な週末」は「問題を処理していく時間」です。

 ぜひ復習方式を変えてみてください。変えなければ変わりません。変えたいのなら、変えましょう。今までのやり方で伸びているなら悩んでいませんもの。この読み物なんて、読まないでしょう?  最後に大事なことを1つ。夏にまとめて復習するというのは、夏休みまでに「基本」がちゃんとできていることが大前提です。基本がボロボロのまま、夏休みを迎え、さあ、たまった「わからない問題」をやるぞーー!となっても、わからない問題どころか、夏休みまでに押さえたハズの基本の鮮度が悪くなって、基本問題さえ解けないということがよくあります。これが「講習は受けないで、間違えた問題を自分でやり直す」というご家庭によく見られる失敗の原因です。基本がコケているのであれば、自力では無理。だったら、講習などを利用して矯正してからのほうが効果は高いのです。ただし、塾の利用は「適当」「中途半端」では効果は半分も出ません。まずは塾の方針・指示されたやり方で3ケ月は努力してください。そこで成績が上向きになったら、その塾はあっている塾です。成績向上が見られないなら、塾に変わってもらうか、塾を変えるかです。

 むやみに焦る必要はありません。でも、やらなければならないことは決まっています。それを勝手な判断で目を閉じてしまったら、後悔先に立たずとなることもあるわけです。enaは海外で頑張る子どもの進む道を照らす案内人でありたいと思うだけです。 

TOPへもどる