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2007年6月号 「家庭学習の3つの穴」

 

■穴その1・親の空回り■

 教材についての質問は、毎年どの時期にもあります。「何をやったらいいでしょうか?」「お勧めはありますか?」などなど。塾と並行して通信教育を受講されているご家庭もあります。ただ毎日のスケジュールに追われて、提出期限には出せないというケースも多々あると聞きます。本棚には綺麗なままの教材がぎっちりということも、よくお聞きする話です。日本に帰るたびに親子で本屋に出かけ、教材を購入しているご家庭は多く見られます。でも「本棚の肥やし」になっているということも良く聞きます。

 保護者面談などで、例えば受験生であっても「勉強のやる気もあまりあるとは言えません」とお伺いすることがあります。またお母さんが「親もやる気は十分あるのですが、まだ十分勉強につきあってやっておりません」とおっしゃることもあります。そんなご家庭に私たちは、どうアドバイスをしていると思われますか?

 まず教材について。基本的に私たちからのアドバイスは「何を使っても良い」としています。今はアマゾンなどでも気軽に買える。もちろん立ち読みしながら中身を調べながら、というのはし難いですが。(最初の数ページが見られる立ち読みサービスも始めました)注意は、ある程度シリーズで購入すべきと思います。中1はコッチのメーカーで、中2はコッチで、とやると場合によっては勉強しない単元が出てしまうこともあり得るからです。国語以外の教科では、これが大事です。

 それよりも、もっと大切なのが「使い方にこだわりを持つこと」です。ご質問をされたご家庭には、具体的な教材名をおしらせするだけではなく、必ずここに言及します。「こんな使い方をしてみては如何ですか?」「これを購入した受験生は、こんな使い方をしている生徒が多いです」「いついつまでに、こう仕上げて下さい」などなど。

 特に海外では「口コミ」の威力は絶大で、「これをやっておけば大丈夫」などといわれると、つい、その気になります。でも、「これが良いよ」と勧められた問題集が、我が子にもピッタリと言うことは、実は希です。考えても見てください。日本にずっといる子どもと違って、バックグラウンドが大きく違う子供達が、共通の教材で成績を伸ばせると思えますか?あり得ません。また、アンダーラインをひくとか、3回は繰り返すとか、使い方次第で成果はまったく違ってくるのは当然のこととも思います。

 教材は、目的を達成するのための「ツール(道具)」だということ。教材がツールなら、成果はそのツールを使う人次第となるわけです。

 さて、「穴」について、お話ししましょう。もし、これをお読みのアナタが「我が子は勉強のやる気もあまりあるとは言えません」とおっしゃり、さらに親であるご自身については、「親もやる気は十分あるのですが、まだ十分勉強につきあってやっておりません」とおっしゃるのであれば、いくら良い教材の話をしても、残念ながら成果は期待できません。お分かりですね。教材が成果を運んでくるわけではないからです。

 では、何がそんなに問題なのか?子供がやる気がないから?いいえ。もともと子供であれば勉強から逃げ出したくて普通。ましてや海外における「二重苦」であれば、手を抜きたくて「うずうず」して当然。そうなると、問題なのは、やはり「親」となってしまうわけです。

 お父様だけではなく、お母様もお仕事されているケースがあります。「仕事が忙しくてやっていない」という話もよく聞きます。しかし、例えば受験を目の前にして、「親としても、受験に対しての『親のやる気』は十分あるのにやっていない」とおっしゃるのは大問題だと思うのです。よくよく頭に入れておいて下さい。「やる気があるのに、やっていない」というのは、非常にタチの悪い状態であるということを知らねばなりません。やる気がなくてやっていないのは自然のこと。何が「自然の状態になることを」阻止しているのかは別としても、反している事実は変わらない。だから「タチが悪い」のです。この点を自覚されないと、今後、成果を出すことは難しい。いや、絶望的であると断言できます。

 実は、「やる気が十分あっても、やっていない」状態には原因があると思われます。何か分かりますか?考えてみて下さい。「危機感」がないということです。このことも、いつも私たちがお話ししてきていることですね。受験生の親である。それならば、子供とともに親も「危機感」があるべきである。ところが面談をしていても、どこか「他人事」のような話になってしまう。我が子の話なのに、他人様の子供のような話になってしまう。「ポーズなのかしら」と話をしていっても、そうではない。何かが違う。最後は私たちからではなく、ご家庭から「じゃ、ま、これからも頑張るってことで」と締めの言葉。こんな保護者面談が、年に数件あるのです。こうしたご家庭に共通しているのは、「まあ、そうは言ったって、最後には何とかなるんだろ?」「帰国枠なんだから、事実、何とかなって居るんだろ?」と構えていらっしゃる点。つまり、危機感が感じられないという点なのです。

 例えば模擬試験の結果を見ても、同様に危機感の欠落を感じるご家庭があります。面談では、多くの場合模擬試験の成績表を目の前にしながらお話ししていくことがあります。この時代ですから、偏差値をご存じないご家庭は、ほぼ皆無といっても良いでしょう。enaの月例模擬試験は、小中ともに、多くはカリキュラムテスト。習った単元をしっかり復習し、覚えることが出来れば高得点が取れるようになっています。いわば学校の「定期試験」のようなものです。多くの子供達は、enaの模擬試験で「それなりの」成績を取ってきます。(取れていない生徒の場合は、相当の危機感を持ってもらうように追い込んでいきます。)この状況に、親は、さほど不満も危機感もない。危機感がなければ、動こうにも身体は動かない。

 だから、そんな親が、まず確認すべきです。なにを?日本の同級生達の動向です。進学希望の学校のレベルです。それには、現在の学力で十分こと足りているのか。知らなくては危機感も生まれようがありません。もし、今のレベルができていれば十分だとなれば、やっぱり危機感は生まれないでしょう。でも、やっていけるのであれば、逆に危機感を持つ必要もなく、今の現状のままでいっても悩む必要はないでしょう。これが私たちの言う「帰国枠の優遇措置を上手に使って受験するならば、無理をしなくても合格できる学校はある」ということです。もし、今のレベルでは、不十分ということであれば、当然ながら危機感を持たざるを得ません。例え帰国枠であっても、学力を要求する学校であれば、当然必要なレベルが存在します。ましてや高校受験のほとんどは、「学力」を要求します。こうしたことは、保護者会や入試報告会、教育講演会などで毎回お話ししていることです。

 「なんとなくやらねば」などと思うのではなく、今の状況がどうなのか、危機感を持つべきなのかどうかを先ず知るべきなのです。危機感をもったとします。さあ、どうしましょう?これもいつもお話ししていることですが、「1年後にはこうします!」というようなかなり先の目標よりも、さらに近い目標を立てることです。例えば来月の模擬試験で偏差値55を突破、とか。ところどころの通過点を設定して、その結果の1年後の姿としていかなければ、おそらく何もしないまま、あっという間に過ぎていくことでしょう。これが私たちの言う「刹那主義で生きていくことの怖さ」「出来る芽を摘んでいること」「現実逃避で最後に駆け込み寺」ということです。

 危機感と通過点を設定した目標があることが「やる気が十分あっても、やっていない」親が重い腰を上げるコツです。それなくして、重い腰だけを何とか上げようと思っても、3日坊主で終わってしまいます。ポイントは、模擬試験の上手な利用です。enaの模擬試験、四谷大塚合不合試験、帰国生模試、駿台模試、5教科対応模試など、enaでは「母集団の違う模擬試験」も用意してあります。こうしたものを「利用」することです。小テストだけでは客観的な力は管理できません。クラス再編成試験だけでは、実力の把握が出来ません。何のテストも受けずにダラダラと授業を受けるだけならば、授業を聞いている「お客さん」に過ぎません。またまた、いつも言っていることですが、塾は「使うもの」であって、使われるものではありません。また、主人公は「子供達」であって、塾や親ではありません。  

 

■穴その2・子供の引っ張り方■

 基本的に私たちは「ご家庭が管理して欲しい」「コーチして欲しい」「司令塔になって欲しい」とお話ししています。決して「親が手取り足取り、一から十まで、何から何まで全部教えてください」とは言っていないのです。では、「教える」のと「コーチするのとでは、何がどう違うのでしょうか?

 例えば、です。

 「今から10時30分まで(20分強)漢字の勉強しよっか」と声をかけて、白紙を用意し、テスト範囲の漢字を親が読み上げて、わかるものを書かせる。書けないものは悩まず飛ばさせる。最初は半分も書けません。(または間違っている)すべて書けるようになったのが、10時31分。「ほらあ。こうして効率よく覚えたら、たった20分であっても38問も漢字覚えられるじゃん」というと、納得したような納得していないような子供の顔。いかがですか?経験したことがあるような話、ではありませんか?

 まず始めに、親が自信を持っているべきことがあります。「子供の性格の把握」です。週に数回の塾。しかも数時間のつきあい。勉強を教えるプロの塾講師であっても、親の方がより秀でているのは、これについてです。子供の性格を熟知した上での勉強と、意識せずに勝手に組み立てた場合との違いは歴然です。「性格そのものを変えよう」などという勉強方法のは、先ず間違いなく続きません。

 さて、その上で、今ある自分を出発点に考えるわけです。勉強から逃げ出している我が子がいる。準備が大切!とは言っても、何をするか?まずは、一通り流れをつかんでおこう!これで万全かな?できれば子供の出来具合の感触を確かめておきたいな。そうだ。塾でも聞いたことがある、親子で小テストをするというのはどうだろ?

 『今から10時30分まで(20分強)漢字の勉強しよっか』

 この言葉で凄いところとは、どこでしょう?凄い部分が4つもあります!

 親が子供に勉強をさせたいとき、「勉強しろ!」なんて言えば、多くの子供たちが難色を示します。当然です。それを「勉強しようか!」と親も一緒に手伝う雰囲気で提案することで、勉強することへの抵抗を小さくする。でも、これだけでは「え〜、何するの〜」とか「どれくらいやらされるのだろう?」などと疑惑の目で見てきます。だから、「漢字」といった具体的、しかも覚えるといった単純作業である勉強を提示することで、さらに抵抗を小さくしています。暗記といった単純作業だけが勉強ではありませんが、他の勉強をするためにも「つかみ」は大切です。さらに、「20分強」だけでいいんだと安心させています。これで子供の気持ちはかなり揺らぎます。絶対したくない!から「まあ、やるかな」くらいには、なってる。そこに明日テストがあるとなれば、絶好!どんな子供でも、少しは勉強しないといけないと思っています。子供の「小テストくらい、いいや!」という面倒くさい気持ちや腰がなかなか上がりにくい部分を、これらの言葉はポンと押し上げているわけです。トドメのひとこと「いつから?」を提示していることです。「今からすぐ」です。これが、子供を勉強へと誘導するの基本線なのです。

 もちろんこれで終わりではなくて、このあと、成果の上がる勉強を子供に伝授できれば、子供たちの勉強に対する抵抗はさらになくなっていきます。  

 

■穴その3・考えられないミス■

 大人からすると考えられない「ケアレスミス」をする我が子に対して、もしかして病気では?と心配になる方からの相談があります。でも、私は受験屋。精神科医でもないし、カウンセラーでもありません。無責任なことは言いたくありません。実は、私も我が子に対して疑問を持ったことがあります。「うちの子、学習障害?」って。そんなときに何を考えたか。そこからお話しします。

 あまり神経質になるのはとの意見もあるでしょうが、可愛い我が子のことです。心配するなという方が無理な話です。ご心配であれば、専門家に見てもらうことをお勧めします。しかし、必ず複数の意見を聞くことを勧めたい。アメリカだから「セカンドオピニオン」ということか?いえ、それだけではありません。専門家のアドバイスというのはこれまでの経験が元になります。そこには経験を元にした「判断基準」が何か存在するものです。そして、この判断基準は、経験によって異なる場合があるということです。相談した人が違っていれば、アドバイスだって違ったかもしれない。そうすれば、結果だって違っていたかもしれない。

 「かもしれない」なんて言い方しかできないのは申し訳ないですが、子供たちの勉強については、特に「人」によって結果が違ってくることが多いので、複数の意見を聞くことをお勧めするわけです。色々聞きすぎてどっちなの?と困ってしまう場合も出てきます。そのときは「複数の船頭をおかず、信じた道を進むだけ」となりますが。

 さて、年齢により「学習に耐えられる時間」があります。個人差も多いですから、各ご家庭で、「我が子は連続して何時間まで集中できるか」ということを見極めてください。例えば小1ぐらいであれば、毎日の勉強量として   

 算数文章題は見開き2ページ(問題数は7問程度)   
 国語見開き1ページ(文のしくみ)   
 計算10問を1枚〜2枚 漢字(読み10問、書き10問)

 この量を45分以内でこなすくらいが目安です。計算と漢字は10分もかからない。これが出来た子供は、私たちの経験による判断基準からすると、ちゃんと集中して勉強していたということになります。

 その基準値において。それでも時折「トンデモナイ」ケアレスミスをしでかす子供がいます。大人からすると「ええ?!」と思うような、どこからその答えを引っ張ってきたのか皆目見当が付かないような答えをいう時があります。

 例えば「53と45のどちらが大きい数ですか?」です。でも、実は、こうしたケアレスミスは、良くあることなのです。勿論無くしていかなければなりません。その為の工夫をしなければなりません。させなければいけません。ただ、病気とまでに思う必要は、決してありません。

 例えば、この問題で検証してみます。子供達は比較の問題を間違えるときって、比べる桁を間違えることがよくあります。

 「53と45のどちらが大きい数ですか?」  の場合でいえば、パッと瞬時に見て判断する際に、「3」と「4」を比べてしまうのです。それで、「45」なんて答えてしまう。パッと見たとき、「3」と「4」が隣同士になっているので、これを比べてしまうために起こるわけです。やってる本人にとっては特に不思議なことではありません。これらは以前にもお話ししたことがある「目線の動き」ということと繋がります。慌ててパニックになる、簡単と舐めきって見誤るというのと同じです。数の概念や、計算方法自体が理解できていないわけでは無いのです。

 根本的なことがわかっていない間違いなのか?それとも、どの子供にも、よく見られる間違いなのか?同じ間違いでも、意味は全然違ってきます。専門家に見てもらう前に、今一度、お子さんのやる間違いを見ていただきたいと思います。その上で、もし練習不足なら練習させれば良いだけです。根本を理解していないために起こっているミスであれば、早急に対処すればよいだけです。いつもお話ししているように、客観的に冷静に、子供達を観察してください、ということです。

 子供が「ええっーーー」なんて思う間違えをしたときは、そのことを印象づけるために、大きなバツ印をつけてやる方法もあります。ものすごく嫌がる子供もいますが、絶対に付けられたくないと思って、非常に効き目のある子供もいます。これもケアレスミス防止策(工夫)の一つだ、ということなのです。子供を見極めればそれだけ、子供にピッタリの方法が見えてきます。その方法が、身近な親にしにくいことであれば、他人に任せれば良い。親が付き合えることであれば、司令塔になれば良いだけのことだったのであれば、そうすれば良いだけです。

 成績を変えるには、子供たち自身が勉強するしかありません。穴にはまった親が、いくら藻掻いても、子供の成績は変わらないのです。主人公は子供達。親は帆走するだけです。決して子供の替わりにはなれません。

 

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