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2002年3月号 「言うは易し行うは難し」
現在中学生、新中1生、帰国時に中学生になる小学生の方へ

■有名難関校を夢みているのなら。。。

 東京都内の公立中学校卒業生は約8万人。国立中学や私立中学を卒業した生徒は約2万人。約8万人のうち、全日制高校へは93%が進学。その数約7万人。そのうち早稲田や慶応に入学・進学したものは慶應義塾・慶應義塾志木・慶応女子・早稲田実業・早稲田高等学院・早稲田本庄をあわせて1600人ほど。早稲田や慶応だけが高校ではないにせよ、有名難関高校に行きたい、行かせたいと本気で考えているのであれば、この数字を頭におきながら真剣に考えて下さい。

■現地校のことだけでは受からない現実

 今年の慶応湘南藤沢中学は応募者を120人集めました。応募者120名に対して一次試験合格者は52名。さらに、この52名のうち二次試験を合格し、最終的に入学許可をもらった受験者は33名です。単純計算で、120名の受験者のうち、最終的に合格した生徒は33名。実に3.7倍という倍率です。試験内容が小6の1学期までからということで、非常に受けやすい男子学習院などは倍率が1.7倍程度ですから、その高倍率ぶりが分かります。巷でいわれているように、現地校のことをしっかりやっていれば合格といいきれるのでしょうか。学力試験は合否には関係ないという根も葉もない噂もありますが、しっかり落とされているのです。総合的に判断しているにせよ、学力試験もしっかり見ています。  

■難関校の帰国枠高校受験はもっと過酷  

高校受験を見てみましょう。慶應義塾高校帰国枠には定員30名に93名が受験しました。このうち合格者は32名。3.6倍の競争となったのです。早稲田大学本庄高校でも103名の受験者のうち合格者は49名で、倍率は2.1倍です。一般に、公立高校の倍率は一般入試制度で都立高校は1.4倍。神奈川や埼玉などの近県では1.3倍程度ですから、やはり帰国枠といえども非常に厳しい競争になっていることが分かります。  

■今なら間に合う、オトクな受験  

まず現在小6以下で中学受験を考える時間がある場合を考えてみましょう。  

中学受験は高校受験と違って帰国枠受験のメリットとは大きいのです。試験問題が違ったり、日程が違ったりするからです。それでも有名難関中学には応募者が集中しますから、しっかりした準備が必要です。前述の慶応湘南藤沢中や聖光学院、海城中、慶応普通部、渋谷教育学園渋谷、渋谷教育学園幕張中などは、誰でも簡単に入れるという倍率ではありません。もちろん試験内容も現地校の生活に追われている生徒にとってはハードです。合格している生徒はハードな生活を乗り越えて合格しているのです。まず、この生活ができるかどうか、です。  

「そんな高倍率の競争には勝てない」という、学力に自信がない生徒であれば、基本問題を中心にした入試問題であったり、英語受験であったり、また面接を重視する学校を考えてみる作戦が考えられます。しかも進学校であれば、高校受験で有名難関高校を受験したり、また大学受験で有名難関大学に挑戦することも可能です。近年は、こちらの方が人気でかつては「滑り止め」とされていた中学が応募者を3ケタ集めたりという状況も見られます。それでも倍率は2倍には届いていません。実に「オトク」な入試です。  

■中学受験をしないとすると茨の道  

既に中学生になってしまったという場合には、実は大きな問題があります。一つは帰国枠高校受験はメリットが少ないということ。募集定員も一般募集の中に含まれ「若干名」とする高校が多く、また試験自体も一般生と同一日、同一問題であるということです。こうした高校は首都圏では8割以上にも登ります。  

中学1年生の中盤、あるいは中2の夏あたりまでに帰国する生徒にとっては更に注意が必要です。多くの高校の場合、帰国枠が使えないからです。大抵の帰国枠受験資格は「帰国後1年未満」とする学校が多いからです。こうなると、国内一般受験の制度に則るしかありません。つまり推薦入試&一般入試です。  

今や全国的に「推薦入試」が普通科の高校でも実施されています。かつて推薦入試といえば「スポーツ推薦」に代表されるものがありましたが、今は成績によっても推薦される時代になっています。高校受験生にとって見れば推薦入試と一般入試で、合計2回の受験チャンスがあるとも考えられます。しかし、問題はその基準が高倍率であるということです。  

都立の名門「日比谷高校」を見てみますと男子募集定員34名のところ応募者は94人であり応募者を分母とした場合の合格者割合は2.7倍となっています。また女子も29名募集のところ応募者は124名で倍率は4.3倍です。一般入試の倍率が男女共に1.5倍程度ですから応募者が殺到していることがお分かりいただけると思います。他の学校でも、それが私立であれ、公立であれ、推薦入試の倍率は非常に高い状況になっています。そうなると推薦に必要な「内申点」が気になるところですが、例えば前述の日比谷高校では、ほぼ確実といえるのが男女共に45点、つまり9教科が5段階評価でオール5であることが基準点なのです。当然学校間格差などもありますから、実はこの他に生徒会や部活動で活躍した記録があるなど、成績以外の面での加点もされていることと思います。こうした現実から例えば神奈川県の一部の地域では、中学校での内申を取るための勉強方法を確立するため、小5から塾通いするのが一般的とさえいわれています。  

微妙な時期に帰国したとすると、中1の段階から意識して頑張っている日本の生徒に対してハンデを負うことになります。さらにそこに帰国時に起こるカルチャーショックや勉強の遅れがあるとなると、推薦入試は諦めるしかありません。  

現実的に内申をとることは難しい。実際、中2あたりで公立中学に帰った生徒で内申点を上手くとり、推薦試験を使って進学していった生徒を私は見たことがありません。そうなると、一般受験しかありません。ところが推薦試験制度導入のため、一般入試定員枠が狭まりまさに入試の王道である「当日点の出来具合による入試」となるわけです。これには「実践力」をつけるしかなく、まさに帰国直後からの塾通いでスパートをかけられた生徒のみが勝ち取れるというのが現実です。いずれにしても、中1や中2で帰国するということであれば、海外においても勉強面だけはしっかり準備しておくしかないというのが現実的な話なのです。帰国してから準備すれば良いということが、いかに危険な賭であることか、ということです。  

■帰国枠高校受験の抜け道はあるのか  

では、ギリギリまで海外にいて、という受験方法を考えてみましょう。私たちがお預かりしている生徒の大半は、このパターンに当てはまります。まず前述の推薦入試ですが、海外から、しかも現地校からだと、「推薦制度」はなかなか使えません。駿台甲府高や桐蔭学園のように現地校からの受験生でも使える「自己推薦制度」を設けている学校もありますが、数は希です。例えば早稲田高等学院の自己推薦試験制度では、全日制日本人学校からであれば出願できますが、補習校や現地校だけの場合は出願資格がありません。  

中3の初めや夏に帰国するとなると、帰国後に通う中学校での内申があまり必要ない「帰国枠入試」を利用します。ここで、注意しておきたいことは「現地校の成績=内申」とは限らないということです。日本の学校で現地校の学校間格差まで把握している学校は多くありません。ましてやアメリカの教育システム上、個人個人の履修科目の違いなどがあるため現地校の成績のみで合否を決定することには限界があります。これを実戦している高校は例えばICUなどの限られた高校だけであり、その数は首都圏の場合2割に満たないのです。更に受験者の中にはストレートAを持つ生徒はたくさんいます。オーナーを持つ生徒もたくさんいます。英検やTOEFL等の高スコアを持つ生徒もたくさんいるわけです。そうした視点から考えると「当日試験の出来具合で逆転」はなかなか起こらないわけです。

加えてエッセイの難しさです。例えば昨年のICU現地校枠のエッセイは「我々の生きている世界は困難に満ちている。どんな困難なのか例をあげ、それに対しての自分の意見を書け。また、こうした世界に生きていくためには、どのような力や技術が必要か。」というものでした。「海外で体験した楽しい思い出を書きなさい」程度の作文であれば何とでも書けますが、こうした小論文レベルの問題になれば、まず情報を分析し、自分の意見を作る「訓練」を積んでいなければ太刀打ちできません。書けば出来るようになるわけではないのです。最低限、年齢相当の「日本語力」を身に付け、しかも考える力をしっかり持ち、表現する力を持った生徒でなければ合格は出来ません。全員が合格しているわけではないのです。

参考までにICU高校2001年のデータでは、現地校枠受験者は265名いました。合格者は210名と高い合格率ではありますが、55名は落ちているわけです。10人のうち2人は落ちているのです。その2人にならないと絶対に言えますか?模擬試験偏差値などの相対的な学力などで予測できない入試であるからこそ、絶対大丈夫という言葉は存在しないわけです。  

■首都圏はもちろん地方であっても競争は存在する  

人気が集中している学校で競争があり、勝ち残った生徒が合格しています。地方では、もっとハッキリしています。もともと高校の数も限られ、公立トップ校に行けなければ私立校へという図式があるのであればなおさらです。多くの地方では公立高校帰国枠優遇措置はありません。よって当日点の勝負です。  

都立普通科高校での下限は偏差値40程です。公立高校であっても、下限は存在する。そうなると日本の学校が求める成績を取れない場合、つまりは偏差値で40未満になってしまった場合、行く高校がない、または私立の底辺高校に行くしかないという事態も起こり得るわけです。  

以前から私たちは「高校受験の帰国枠受験によるメリットは少ない」とお話ししてきました。現在中学生であって、高校受験を機に帰国する予定の生徒や、現在小学生であっても、帰国する時期は高校受験と重なるという生徒であれば、「日本の高校は入試選抜がある」という現実を考え、それに対しての準備をしなければなりません。誰でも有名難関高校へ進学できるわけではないのです。  

■泣きを見るお気楽主義者  

そうなると、日本国内にいる中学生と同じ様なことをしなければ、地方を含めて有名難関高校への進学は断念せざるを得ません。中1から塾に通い、塾生活に慣れ、中2からスパートをかけていくという基本パターンです。今は中学生の8割が何らかの学習塾に通う時代です。「通信教育をやっているから大丈夫」「補習校に言っているから大丈夫」といえるのは、模擬試験などで客観的な成績を把握し、受験に必要とされる技術をも学習している「きちんとした学習計画を遂行している人」のみです。そこまで考えて日々の生活を送っていますか?  

もし開成高校や国立高校などの難関校を考えているのであれば、模擬試験で偏差値70をとり続けていれば一安心できるわけです。これが偏差値40未満ということであれば早急に何かしらの対処をしなければ「高校進学を断念する」という最悪の事態も起こり得るかもしれないのです。  

■価値観の多様化が産んだ「勘違い」  

各ご家庭の価値観は多様化しています。「別に難関校校へ行かなくてもいい」そうおっしゃるご家庭もあるかと思います。しかし、海外校で教鞭を執ってきた経験上、多くのお子さんが実は非常に優秀なお子さんであると感じます。磨けば伸びるお子さんが多いという事実を、私はこの目で見てきました。しかし半年や一年で、光り輝くとは限りません。正直に言えば、無理です。きっかけ作りは可能かも知れません。それが限界です。「ゆとりの教育」のために子どもたちの基本学力さえ揺らいでいるものがあります。「なぜ、もっと早く預からせてくれなかったのか」と歯がゆい思いをすることも多々あります。  

海外での体験は素晴らしい土台になり得るでしょう。しかし、日本の学校に進学するために必要な学力を犠牲にしてまでも、英語でのコミュニケーション能力を高めることや旅行に行くことや現地の人たちとのふれあいやボランティア活動の方が大切と考えて良いのでしょうか。帰国し、日本の学校に進学するのであれば、日本の学校に進学するものにふさわしい学力を備えていることは当然のことではないでしょうか。このことは既に大学入試の帰国枠で問題視されており、幾つかの大学では帰国枠を廃止し、いくつかの大学では帰国枠入試問題の難度を上げています。  

基本学力さえないけれども、英語でコミュニケーションが取れるから。それだけでは入試突破は出来ません。大昔流行った一芸入試はもう存在しません。最近注目のAO入試であっても基礎学力は要求しています。その上で様々な体験、人間的な厚みを要求しているのではないでしょうか。  

結局、日本の勉強も現地校での貴重な体験も、両立させるしかないのです。それが海外生における「本来の姿」であると確信しています。

 

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