Make your own free website on Tripod.com

まえのページにもどる> <もくじにもどる

2006年3月号 「計算力をつけよう・その2」

 先月に引き続き、計算力を付けるにはどうしたら良いのかを考えてみることにしましょう。先月は、どこでもいわれている「途中の式を書こう」というお話で終わりました。後で考えれば当たり前のことですが、やっている本人としては「面倒」。計算力があって、途中の式を書かなくともバッチリという人ならば良いのです。また、間違っても、きちんと途中の計算をたどれる人なら良いのです。そうではない人ほど、面倒というから困りものです。勉強が面倒と思っているうちは成績向上などありません。

 では、この「確かめ算」「検算」「やり直し」に重要なポイントはあるのでしょうか。考えてみます。  

■検算しやすいノート作りを■

 ノートを贅沢に使うとは、どういう事でしょうか。次の二つを比べてみてください。    

 <例1> 36×3.14+64×3.14=3.14×(36+64)=3.14×100=314    

 <例2> 36×3.14+64×3.14=3.14×(36+64)
                =3.14×100
                =314

 これだけの問題ですから、どちらでも大差がないようにも感じます。これが複雑な、長い式であったらどうでしょうか。長い計算式の問題を延々と横に書き続ける子どもを見かけます。これは検算するときに不便です。上の例のように、出来るだけ段々と、改行を繰り返してまとめていく癖をつけておきましょう。こうした問題は途中のちょっとしたケアレスミスが後々大きく響きます。このとき、<例2>のような書き方をしておけば、間違った箇所も見つけやすくなります。なぜだか、分かりますか?横へと続く式は、目の移動が右へと流れます。移動量が多いので目が疲れます。そして面倒になるわけです。ところが、改行することで、まず、一呼吸がおけます。目が休まります。そこまでの計算は大丈夫か、リズムを調整することができます。また、見直しするにしても、目の移動は上下ですから、移動量が少ない。比較対照がしやすいということです。
 こうした「考えられたノートの使い方」は、中2後半から生きてきます。細かい作業が増え、ケアレスミスが今まで以上に致命傷となっていくからです。さらに高校生ともなると、限られたスペースにきちんと書いていく必要も出てきますから、今のうちに訓練をしておこうということでもあります。
 これを応用すれば、国語でも英語でも使えそうですね。ダブルスペースを利用すると、行間に赤ペンが入れられやすくなります。添削する身としては、ぎっちり、細かく書かれたノートに赤を入れるのはとても疲れる作業なのです。  

■一日に何問ぐらい練習するか■

 例えば野球で「ボールが来たらバットで打つ」ということが頭で分かっていても、素振りやバッティング練習をしていないとホームランは打てないと言います。理屈を理解しただけで打てるなら、誰でもプロ野球選手になれます。このようにスポーツだと普段の基礎練習や地道な訓練がいかに重要なことか理解しやすいのですが、勉強については理解しようとしない生徒が多いものです。
 現実は、全く同じ。塾や学校の先生の説明を聞いて理解したつもりでも、実際後で自分一人で解いてみると息詰まってしまうことが多いはずです。この、誰にも教えてもらわず一人で問題が解けるようにするために、復習することが家庭学習の最大の目的だといっても過言ではないでしょう。
 中でも計算は、スポーツ同様、毎日少しずつでも訓練を積み重ねれば誰でも得意になることが出来る分野です。もちろん、頭の善し悪しは全く関係ありません。まさに「継続は力なり」です。毎日時間を決めて問題を消化するようにしてください。
 一日に練習する量ですが、これまでの学習状況によって違いますから、一概に「これだけやれば良い」という量は言えません。それでもあえていうならば、毎日最低10問程度は消化して欲しい所です。これまで計算練習の習慣が付いていない子どもの場合は、親が様子を見ながら適宜、問題量を調整してあげると良いでしょう。また、長期間の練習計画を立てる必要がありますので、どの教材・問題集を使うのか、子どもには特にどの系統の計算が弱いのかなど、塾や学校の先生に相談して、アドバイスを受けた方が良いでしょう

■時間は作るもの■

 図形や特殊算なら、考え方やプロセスが大切なので比較的復習している子どもが多いようです。しかし、計算練習となると、前述のように基本事項が少ないだけに「解き方を知っているから別にイイや」と軽視しがちになる子どもが多いのが現状です。確かに受験学年が近づくにつれて、塾で勉強する時間が増えますし、現地校や習い事とのかねあいもあって、なかなか思うように家庭学習時間の確保が難しいのも事実です。日本の勉強は週末にまとめて、という生徒が大半なのも事実です。しかし、要するに、いかに工夫して時間を作るか、ということです。
 計算練習は、毎日長時間する必要はありません。問題のレベルにもよりますが、15分から30分程度でも、毎日継続することで確実に力が付いていきます。また計算練習は、頭を回転させるためのウォーミングアップ的な側面もありますから、家庭学習を始める最初に持ってくるのが良いとされています。
 現地校の勉強で手一杯。その日の復習をするだけで手一杯。塾に通い始めたばかりでまだ家庭学習の習慣が身に付いてないなど、時間の使い方がまだ身に付いていないなら、朝起きる時間を30分早める、学校から帰ってきて塾に行くまでの空き時間を利用するなどの方法で時間を作ってあげてください。子どもたちに「作れ」といっても、なかなかできません。これは大人が作ってあげましょう。特に計算が苦手な子どもであれば、長時間の計算練習は苦痛以外の何者でもありませんので、登校前と帰宅後の2つに時間を分けるなどの時間設定で、子どもが飽きない工夫をする必要があります。つまり上手なコーチングが必要だということです。  

■ケアレスミスは防げない?■

 塾や学校の先生に話を聞くと、計算のケアレスミスは、途中式をきちんと書かずに全て頭の中で計算しようとする子どもに多いといわれます。計算の過程を残しながら解いていくという姿勢は、とても大切です。複雑な計算でも、実際は途中式を書きながら解き方を思いつくことも多く、さらには見直しをするときの時間短縮にもつながりますから、どんな計算でも途中計算式を残しておく習慣を普段からつけておきたいところです。まさに「急がば回れ」ということです。
 さらに単純なものでは、答えの勘違いによるものがあります。特に小数のわり算に目立ちます。「小数第2位を四捨五入して」という問題なら第3位まで求めて、ここで四捨五入ですが、これを第2位でしていたり、「上から2けたまで求める」では最初の1桁目が0以外の数字であることを忘れていたりといった具合です。なかでも小数の計算で一番多いのは、小数どうしのわり算で、余りを出す計算です。筆算で計算するときは、小数点を動かして計算しますが、あまりの小数点は割られる数の元の小数点をおろすというもの。きちんとケタの位置をそろえて計算していないと、元の位置がどこだか分からなくなってしまうというものです。enaでも「字は下手でも丁寧に」と指導していますが、焦れば焦るほど、乱暴な書き方になってしまうという生徒が多く見られます。その他様々な原因のどれも、後から見直しをすれば簡単に気が付く、単純なミスがほとんどです。
 また、テストでは、問題用紙と解答用紙が別れているのが普通ですが、子どもは問題を見て、それを計算用紙や問題用紙の裏に書き写して計算し、答えを解答用紙に書き写します。「書き写す」という作業を2回繰り返すわけですが、意外にも最初から誤って問題を書き写したまま計算していたり、せっかく正しい計算が出来ても答えを解答用紙に書き写す段階で間違えたりすることが多いようです。
 正直言えば、ケアレスミスを完全に防ぐことは不可能です。どんなに計算が得意な子どもでも、必ずするといっても過言ではありません。従って、普段からミスをしないように気をつける他、テスト等ではどんな簡単な問題でも必ず見直しをして、ミスを発見する努力をすることが大切です。それも1回の見直しでは気が付かないことも多いので、テストでは時間の許す限り繰り返し検算をする姿勢を持つように心がけましょう。これ故、算数は「速い」という要素も大切なのです。見直しの時間を確保するためにも、ダラダラと解いていてはいけないのです。  

■はじめはゆっくり確実に■

 次に実際の練習方法です。まず、計算に苦手意識を持っている生徒の場合です。
 基本は、ていねいにやることです。確実に正解にたどり着けることが目標なので、最初は多少時間がかかっても構いません。たとえ消化量が少なくても、基本知識の定着がしっかりと図れていれば、子どもの自信にもつながります。ただしゆっくりではあっても、ダラダラとやってはいけません。九九を筆算で確認する等ということは、ダラダラしているという部類に含まれます。小4までの基本計算については、ドリルできちんと訓練しておくこと。その上で、受験の基本問題に取り組むのです。
 また間違った問題は、必ずやり直しをして、何処で間違ったのかを子ども自身に把握させてください。間違いを意識することで、次から同じ間違いをする確率はぐっと減ります。これをせずに繰り返しても、訓練にはなりません。いい加減な態度を助長することになります。(これが公○式の最大の落とし穴です)
 練習する内容は、その日にやる問題は出来るだけ同じテーマの類題をするようにしましょう。類題とは、数字が多少違っているだけで、解き方は同じ問題のことですが、これを消化することで、漠然としていた解き方が徐々に分かってきますので、勉強の効率は良くなるはずです。さらに子ども本人にとっても「今日は分数どうしのかけ算をやった」というような充実感が残ります。毎日継続して練習する意欲も出てくるでしょう。  

■自信がついたらスピードアップを■

 次に、ある程度は計算に自信を持っている子供、計算が楽しくなってきた子どもの場合。前述の通り、どんなに計算が得意な子どもでも、ケアレスミスは必ずします。そのために見直しが重要なわけですが、実際のテストでは、限られた時間内に何回見直しが出来るかが、最大のポイントになります。そのためには、とにかく速く計算すること。スピード練習が不可欠です。やり方は、これまでの「毎日10問解く」という方法から、時間を計って「5分で何問解けるか」という、質より量の計算練習に切り替えます。出来れば色々なパターンの問題が混合された問題集を使うのが良いと思います。ただし、やりっ放しではなく、毎回何問出来たか、正解率は何%ぐらいだったのかの記録をつけておきましょう。そして必ず3ラウンド(最初から3回は繰り返す)しましょう。達成度が子ども自身の目で確認できますので、やる気を引き出すことにもつながるはずです。数をこなしていけば、必ずスピードは身に付いていきます。継続して取り組みましょう。  

■思考計算に挑戦!■

 基本の計算が身に付いた、ある程度スピードが付いてきたという段階になれば、次は思考力を問う計算に挑戦です。文章題ほどではないが、与えられた条件から規則性を見抜くという応用問題です。入試で良く問われる形式なので、最終的にはここまで実力を持っていきたいところですが、実際に自在に解けるようになるのは6年生の夏休み以降でも受験には間に合います。
 練習方法ですが、この手の問題は、発想のひらめき、正しい道筋で考えられるかという思考力がポイントとなるため、通常の計算のように量をこなせば自然と身に付くというものではありません。図形などと同じで、1問1問にじっくりと時間をかけて、完全に理解できるまで掘り下げて勉強する必要があります。このような応用問題は、パズルのように解く楽しさもありますので、通常の計算練習、スピード練習の合間に入れて変化を持たせるというのも良いかと思います。塾などでは、こうした問題を中心に授業をしていきます。その場合、復習を中心に「覚える」という感覚で「得意なパターン」を増やしてください。  

■お母さんのフォローが大切■

 やはり鍵になるのは、子ども本人のやる気です。計算練習は、子どもにとって必ずしも楽しいものではありません。パズル感覚で解ける図形問題や文章題には解けたという充実感が伴いますが、計算練習には長期の継続訓練と根気が必要であり、ついついマンネリ化するものです。常に楽しく勉強できる環境を整えてあげる必要があります。
 子どもたちにとって嬉しい瞬間は、誉められたときでしょう。「毎日計算練習をしなさい」と頭ごなしに押しつけるのではなく、毎日その日にやった部分を点検してあげて、何かしら誉める材料を見つけてください。以前間違った問題が解けるようになった、解く時間が短くなった、いつもよりたくさん消化した、ケアレスミスが減ったなど、必ずあるはずです。また少し複雑な計算の場合、最初から正答を導き出すことはなかなか難しいので、間違っていても「ここまでよくできたね」と、途中の計算の合っている部分は評価してあげましょう。

 今現在、計算力が無くても、地道にコツコツ練習を繰り返せば、必ず実力は付いていきます。長い目で見てあげてください。

TOPへもどる