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2009年11月号 「ひとこと」

■面談で叱られたこと

 この時期、よく聞かれるお話をひとつ。日本国内でのお話。例えば塾の保護者面談で聞かれる、よくあるお話。塾の先生から、こんなことを言われました。「クラスの他の生徒たちは、かなり意識が受験に向いてきました」「成績云々ではなく、受験生として仕上がってきています。」「お子さんだけが仕上がっていません。友達や塾に対しての依存心が強く、このままだと一人だけ置いてきぼりになります。」そんなこと、いわれたことがありますか?

 依存心が強いというのは、よくある例としては、学校でも塾でも一緒の仲の良い子が一番できるので、ちょっと不安だとすぐ確かめたりすることが多いようです。海外だと、すぐに「教えてぇ〜」とスリスリしてくるタイプ。のんびりタイプのお子さんに、よく見られますね。よくいえば、あまり人に仕掛けられないタイプ、というか。小さい頃からお父さん・お母さんが先回りして、本人に変わって色々され「すぎ」てしまったお子さんに多々見られます。  

■進路面談の意味

 11月というのは、受験生にとっては『追い込みとなる時期』です。帰国枠受験をする生徒にとっては、入試直前です。塾の先生も気合いが入ります。そんな時期に保護者面談で、我が子がうまく波にのれていないと指摘されてしまえば、それはそれは、かなりショックでしょう。がつーん、ってかんじですね。叱咤激励にもいろいろありますが、特にこの時期では、何でもない一言が『子ども』には効くことがあります。うまく効果を発揮することもあれば、大打撃で撃沈されてしまうこともあります。うまくいくことが明白ならば、良いのです。問題は精神的にも弱い子どもが、後先考えない大人の一言で意気消沈してしまうこと。他人の口にはチャックができません。言われてしまったことは、もう後には返りません。打たれ弱い子どもがキツイ一言を浴びてしまった場合、家庭ではどうやってフォローすべきなのでしょうか。

 子どもが勉強のことで真剣に落ち込んでいると、海外にいるご家庭の場合、まず「親がいけなかったんだ」と思われるケースが多々見られます。海外に連れてきてしまった負い目、とでも言いましょうか。「この子は本当はできる子なのに、言葉の問題でストレスがたまってしまって。。。」とご自分を責められるご両親がいらっしゃいます。でも、ちょっと待ってください。

 すぐに決めつけてはイケません。こういうことは、様々な要因が絡み合っているはずです。例えば『子どもがのんびりタイプで、小さい頃からずっと親がフォローをしてきた。』という場合です。まず考えるべきことは「フォローがなかったら、我が子はたくましくなっていたのか?」ということです。こういう「性格」に関わる部分は、親子だからこそわかるもので、赤の他人にはそう簡単にわかりません。もともと、何かを指摘され、それを真摯に受け止めることは、本来とても良いことです。ただ、何でもすべて受け『入れる』となると、いつか容量オーバーになります。矛盾も起こしかねない。こうしたことを考えると、秋口に「厳しい指導を受けた」という時は、『どう解釈して、どう受け止めるか』がとても大事なことといえそうです。いったい塾の先生は何を言いたかったのか?そして、親は何をすべきかを考えていくことが大切だということです。  

■積極的な姿勢は何故プラスなのか

 通常、受験目前であるこの時期に、塾の先生がもっとも大切にするのは『勢い』です。志望校突破に対しての『熱意』とでも言い換えましょうか。合格するために、1点でも多く得点する『執念深さ』を身につけさせたいと考えています。そのために、テクニック習得、総合力育成などに磨きをかけていきます。子どもたちにハッパをかける意味で「しっかりしなさい!」と叱るのは、勉強に対する『姿勢』を注意しています。ケアレスミスが続けば叱ります。ケアレスミスが実力として出てしまうからです。いい加減な気持ちでは得点できない時期です。取るべきところでしっかり取る。取るべき科目でしっかり取る。その姿勢があってこそ、受験生です。それをいい加減な気持ちで迎えている生徒に対しては厳しくあたります。周りに対して「場を乱す」ことにもなりかねないからです。

 もしこれが、学校の評価の話だったら、どうでしょうか。例えば通知票の評価、などについてです。一般に積極的な生徒は評価されます。がんばる!という気持ちを人にわかりやすく表現している。それが積極的ということです。授業を受けていて「うんうん」と頷く生徒。「ここが大切」と自分の言葉でノートすることができる生徒。間違っても、それを反省し、改めようとする態度をみせる生徒。そういう生徒に対しては、良い評価が与えられます。なぜなら、それこそが絶対評価だからです。もし現地校の成績や日本の学校の内申書の成績などを向上させたいのであれば、まず、「授業中の態度」を見直すことが大切です。「先生ウケ」の良い態度をしているのかどうか。頑張っていると、口にするだけではなく、思っているだけではなく、それを先生たちに伝えているかどうか、考えてみてください。そして、お父さん・お母さんにも、振り返っていただきたい。「熱心なご家庭だ」ということと「五月蠅いご家庭だ」とでは、天と地ほどの差があります。前者の場合、塾や学校は、それに答えるべく、一生懸命対応することでしょう。手を抜いたことがすぐにバレてしまうことは明白。子どもも一生懸命にやっている。サボれるはずがありません。ところが後者の場合。これは「怒られない程度に」と後ろ向きの姿勢になります。さじ加減は難しいものですが、それでも決して「モンスターペアレンツ」と思われては損しかありません。  

■次のステップ

 このことから考えても、この時期においては消極的な生徒に対してもっと積極的になるようにと求めるものです。受験屋からしても、このことは『積極的な姿勢の方が、受験に有利だから』と言い切れるからです。

 消極的な受験生は、受験会場の勢いに飲まれてしまい、萎縮して、日頃の力を発揮できないといわれます。これに対して、積極的な受験生は、極度の緊張感を迎えたときには、むしろ力を発揮したりします。このため、私たち受験屋は、子どもたちに積極的な姿勢をさせようとするわけです。

 ただし誤解してはイケません。積極的な姿勢が「プラス」ではあっても、消極的な姿勢が「マイナス」とは言っていないのです。矛盾する言い方のようですが、間違えずに理解してください。子どもたちには、いろいろな性格の子がいます。内向的な子もいます。大人しい子どももいます。性格的に、周りからすると消極的だといえる子たちはたくさんいます。その子たちには、その子たちなりの合格を勝ち取る方法があります。いくら積極的であっても、勉強の時間数が足らなければ、合格を勝ち取ることはできません。一方、自分から考えようとせず、親に頼ってばかりではあるけれども、それでも言われた通りに必要な時間はちゃんと勉強するような子どもであれば、合格します。つまり、勉強に対する姿勢は合格に対して、『絶対条件』ではないのです。

 こういう視点から考えてみると、この時期に塾の先生からの「お叱り」は、受験勉強だけにとどまらないとも考えられます。『合格するだけの勉強ではダメなんだ!』というメッセージでもあるわけ、という受け止め方です。事実、受験で燃え尽きてしまう子どももいます。目標とした学校に合格したは良いけれど、5月頃には何もかもやる気をなくしてしまい、勉強のやり方さえも忘れてしまう子どももいます。でも、それでは受験をした意味が半減です。enaの卒業生たちは、進学した後も「enaで学んだことが、今も生きている」「勉強のやり方を学んだ」「ノートの取り方はバッチリだ」といってくれます。世間では受験勉強が悪者のように言われることがありますが、現実は、そうとは限りません。ある時期にハッパをかけられ、刺激を受けて、次のステップにつなげる「儀式」にもなりえるわけです。  

■やる気は育てるもの

 そういうことなどを考えると、この時期に「ハッパ」をかけられたということは、「もう少し頑張らせて欲しい。できれば直接指摘したい。」そういったことを遠回しの言い方にしたとも考えられるわけです。もしそうだとするならば、ショックを受け、自分を責めている場合じゃないはずです。勝手に先走って「先生にこんなこと言われたよ!」などと、バカ正直に伝えるべきではありません。

 では何と言うべきか?子どもたちは保護者会があったことも知っているわけですから、何か言われたことは薄々感づいています。だったら『先生が、〜するともっと良くなると言っていたよ』程度で十分なのです。それだけでもプラスの効果は、出るときには、でます。第一、子どもがどういう状況にいても、プラスに受け止められる言い方であるはずです。すでに合格圏内をキープしている状況にもかかわらず、先生から指摘される場合だってあるかもしれませんからね。そんなときは、動揺する必要などない。ドンと構えていればいいのです。

 受験生にとって、今から受験までの期間は、親も子も神経質になります。これは、塾の先生だって同じなのです。「こいつ、最近成績下がってきたぞ」「こいつは調子が良いけど、もう一回スランプがくるかもしれない」「こいつの第一志望校合格まで、あと偏差値3伸ばさなくては!」などなど。毎日胃が痛い日が続きます。当然、こんな状況下ですから、なんでもない発言が大きく子どもたちに影響を与えることがあります。これは、良くも悪くもです。だからこそ、これまでの塾と子どもたち、塾とご家庭とのコミュニケーションが活きてきます。親は真意を見極め、場合によっては、子どもを守ってやる必要だってあるのです。大事なことは『預けはするが、任せはしない。頼みはするが、あてにはしない。』という姿勢。何しろ、この世の中で、我が子を守れるのは親だけですから。私も人のこの親になって、このことが初めてわかりました。この気持ちは、実は受験にはとてもとても、大切なことだと今更ながらに気が付きました。  

■思考訓練の大切さ

 お友達のことについて。仲の良いお友達の成績が良く、その子に頼ってしまうことについて。仮にそういう関係になっていたとしても、お子さまが自分の考えたこと、思ったことをハッキリ答えられる性格であるならば、自信を持って『問題ありません。』といえます。今は「金魚の糞」状態かもしれません。でも、いつか自立するでしょう。成績も、全く別のものに変わっていくでしょう。思春期に見られることの一つに「同一化」ということがあります。好きな人の真似をしたがる気持ち。着るものや仕草、もちろん勉強面に関しても、同じにしていたい。その場合は、病的になっているなら話は別ですが、真似っこ程度の状況であるなら、一過性のものにすぎません。

 しかし、そのことで、自分の考えたこと、思ったことを自信もって答えられないのであれば、少し考えなければなりません。自信の無さは、問題を解く際に、「考えること」を邪魔してしまうからです。自信がないから隣の人の答えをまる写ししてしまう。低学年によく見られることです。一生懸命練習して、自信がある子どもは、見せることはあっても見ないものです。「それ、違うよ」とお節介することもあるくらい。限られた時間で、解いていかなくてならない入試において、次から次へと余計なものが邪魔してたら、正解するものまで間違ってしまう。だからこそ、本番の試験会場で、「やれることはすべてやった!」と思って臨むことが大事だし、そのために「合格に必要な勉強」をやろうとするわけです。では、消極的なお子さんが自信をもって、考えたこと、思ったことを答えるために、親ができることは何か。それは、これまでにご紹介した方法です。「いつもと逆の立場をつくる!」ということです。過去の読み物でご紹介したことがありました。兄弟ともに筑波大駒場中に進学したご家庭の方法。やることはカンタンです!子どもが「先生役」、親が「生徒役」となって勉強するだけでした。お母さんが「ねえ、この問題、どうやって解いたの?お母さんにも教えて」と。このとき、決して子どもに対して「なぜこんな答えになったのか!」と責め立ててはイケません。あくまでも「お母さん、わからないから、教えてぇ〜」という生徒の立場に徹することです。そうすれば、子どもは必然的に頼られるわけですし、自分の意見を伝えないといけません。普段通り問題を解くのも、先生役となって解くのも、問題を解くことには違いありません。でも、自分の考えたことを自信もって答える練習になる。もし、子どもの苦手な問題であれば、説明ができない。できないことによって、親も子どもも「未完成だ」ということが明確にできる。そして、新たな姿勢で取り組むきっかけにもなる。段階を経て積み上げられる、とでもいいましょうか。これは、日々の成長を目の当たりにしている親であるからこそ、できることです。間違いノートを作り、時間がたったところで「ねえ、ねえ、これって、どうやるんだっけ?」と子どもに聞いてみる。「あ、それはね♪」という感じで子どもから答えが返ってきたら合格。「うーん。えーっと。だからぁ。。。」となったら、しきり直し。例えば「それでも苦手なノート」なんてものを作ってみても良いかもしれません。

 ただし、注意が1つ。ダラダラはイケません。じゃあ、これは?じゃあ、これは?と3時間も尋問されたら嫌になります。朝の何気ない時間に1問とか、子どもが勉強してる側で親も勉強し、その3時間のなかで2問とか、スパイスとして使ってください。親が先手を打つわけですが、あくまでも子どもが中心で、ということです。  

■明日のために

 後悔のない受験をして欲しい。それは私たちの変わらぬ思い。やるべきことをやるべきときに、きっちりやっておいて欲しい。行きたい学校があるならば、その学校が提示するハードルを跳び越すだけの跳躍力がなければいけません。「喝」を入れられて、頑張ってみませんか。あなたなら、できるはず、です。

 

 

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