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2010年11月号 「見つめ直す」

 

■「とりあえず」での失敗例

 初めての海外生活。日本で準備はしたものの、前任者の一言から深く考えずに補習校に入れました。漠然と、「補習校は公立だし・・・」と思っていました。

 子どもは決して要領の良い方ではなく、寧ろ不器用。現地校への適応は、苦労しました。日本の勉強は補習校のみで、しかもほとんど放置。

 現地校の宿題などが一人で出来るようになったので、親が安心してしまったのかもしれません。お友達から誘われてenaの講演会に行きました。早速、入塾はさておき、我が子の客観的学力をみてみようと無料学力判定試験を受けさせてもらいました。なんと偏差値38・・・・愕然としました。

 行動することが、あと1年遅かったら。。。受験することなど諦めていたかもしれません。レベルを2ランク落としたとしても、厳しい受験になっていたでしょうから。

 enaに通い始めましたが、当然すぐには成績向上はしません。中には通い始めた途端に成績が伸びたお子さんもいらっしゃるとか。でも、うちの場合は講演会などでも聞いていた「落ちるのは速い。上げるのは大変」ということに、まさに当てはまるケースでした。家庭学習が大切だと知ったのは、enaに通い始めてから半年以上後のこと。enaの復習を中心に別に用意したドリルなどをやらせて直しをさせて、と家で取り組むようにしています。

 そこまでやって、ようやく最近偏差値が50程度になりましたが、ここからなかなか伸びません。本人も「頑張っている!」と言う割に、あまりやる気は伺えず、覇気もありません。受験まで1年を切ってしまったのに・・・・まだまだ志望校の偏差値には手が届きません。我が家では、親がつきっきりで横につくことが出来ず、勉強を見てあげられる時間が限られてしまいます。

 他のお子さんは、「日本の勉強は土日に集中して」とおっしゃるようですが、10時間もまとめてやることなど、我が子には不可能です。

 「とりあえず」という視点で始めた「いろいろ」ですが、ここへ来てくたびれてきてしまいました。  

■解決の糸口

 受験まで1年を切るが、志望校の偏差値にまだまだ届かない。どうしたらいいの?という相談を想像してみました。帰国枠受験が始まります。高校受験にしても、中学受験にしても、直前ですね。現在小5や中2のご家庭であれば、1年を切り始めたというかんじ。そろそろ実感が沸いてきた頃かもしれません。最近、入塾に関するお問い合わせ、進路相談のお電話など頂くことが多くなりました。

 さて、受験目前の6年生や中3生は「走るしかない!」として、あと1年を切った、残り時間が少なくなってきた次の受験生であるとしたら、どんな解決策があるのか。一緒に考えていきましょう。

 まずは「解決策」についての考え方。どんな解決策があるだろう?と考えるとき、大きくわけてこの2つを考えるようにしてみます。  

 (イ)問題点を補うことで解決する
 (ロ)問題点を回避することで解決する  

 例えば、算数が苦手だとします。算数が全般的に苦手なのか、ちょっと難しい問題になると拒否してしまうのかで問題点は変わってきます。もし、算数が全般的に苦手だとすると、  

 (イ)算数を補うことで解決する方法
 (ロ)算数を回避することで解決する方法  

 の2つを考えてみるわけです。(イ)の場合ですと、さらに解決方法は細かく見ていくことになりますが、(ロ)でいえば、「諦める」といった選択になるわけです。一般受験の場合、算数が入試科目にない学校を探すことは無理でしょう。でも、帰国枠ならば、一部の学校に限れば可能です。英語受験です。高校受験でも同じ。一部の学校ですが、数学を使わない入試を考える。編入試験も含めて。

 志望校の偏差値にまだまだ届かないという場合、問題点は以下の部分です。  

 本人も「頑張っている!」と言う割にあまりやる気は伺えず、覇気もない。  

 では、(イ)または(ロ)の選択で考えてみます。本人のやる気がないなら、やる気のなさを補うための方法を考えるのが(イ)【問題点を補うことで解決する】。やる気がないなら、志望校を下げるといった回避する方法を考えるのが(ロ)【問題点を回避することで解決する】。普通のご家庭では志望校を下げるということは考えられないので、たいていの選択肢は(イ)です。しかし、いろいろやってみてどうしてもダメだったら最終的には(ロ)になってしまう。

 それならば、最初から(ロ)という選択は外しておくべきでしょうか?いえ、受験という視点から言うならば、諦めるという選択は最初から並べておくべきなのです。理由は2つあります。  

 1つは、無駄なことをしないため。努力させることは無駄じゃないと多くの親は思っています。しかし、成果の出ない努力は弊害をもたらすことも多く見られます。特に子ども達の世界では、非常にシビアに「マイナスに作用する」ということもあるのです。

 子どもにとって一生に「この時間」は「この瞬間」だけです。そのような貴重な時間を使って勉強にあてたにもかかわらず、成果が出ない。成果が出ないだけでなく、自信までをも失ってしまう。お父さんやお母さんの時代の「子ども」の定義に較べれば、本当に「ナイーブ」になった子どもたちが、沢山居ます。

 「努力は無駄にならないから」と言いますが、自信を失った子どもたちは努力することに拒否反応を起こすようになります。

 子どものそばで勉強を見ている大人は、「本当に今これをすべきか?」という自問自答を常にして欲しい。そういうことです。こういうことは、ポっと出の、本人のやる気だけの「にわか教師」「片手間の時間講師」には出来ません。子どもを観察し、現代の受験システムに精通する必要があります。

 諦めるという選択を最初から並べておくもう1つの理由は、真剣に取り組むためです。いくら口で『この学校に行きたい!』などといっても、勉強しなければ、いやいや、成績が合格レベルに届かなければ入学することができません。諦めたくなくても、諦めざるをえないのが受験です。子どもよりも大人の方が実感としてありますので、やる気のない子どもには、こう言うべきです。  

 今頑張らなかったら、落るからね!  

 私たちenaは、進学塾です。学校ではありません。よって「受かってナンボ」というところも多々あります。このため、「落ちるぞ」という言葉も、実はよく使います。保護者の方の中には「我が子には厳しすぎる」とおっしゃって、こういう態度を完全否定されるご家庭もある。(否定される多くのご家庭は、入塾されませんけど。。。)

 でも、ナイーブな子どもだからといって、「よしよし」と回り道をさせて、受験を突破できるのか?突破できるなら、そうします。enaは受験屋ですから。突破できるのに、無理なことはさせません。進学して困らないだけのことをさせて、任務完了。でも、それでは受からないだろうと明らかならば、勉強させます。それが私たちの仕事ですから。そして、「ふにゃん」としているならば「落ちるからね!」と叱咤激励するのは、当然のことと思うわけです。

 この匙加減が、非常に難しい。「そうそう!難しい!でも、親の方も頑張っているんじゃ!」とおっしゃいますか。では、そんな親の方々へお尋ねしたい。  

 あなたは、真剣に頑張っていますか?  

 解決策を考えるときの選択は、

 (イ)問題点を補うことで解決する
 (ロ)問題点を回避することで解決する

 でした。これを「やるき」とか「志望校」という視点を絡めて考えてみれば  

 (イ)やる気のなさを補うための方法を考える
 (ロ)志望校を下げるといった回避する方法を考える  

 ですが、(イ)を選択するのであれば、やる気のない本人以外で補う方法を考えることになります。となれば、親の時間が必要になりますが、「私にも仕事があって、ぴったり横については見てあげられない」とおっしゃるご家庭もある。

 現地校との両立もあるし、親が手一杯となれば、週末しかありません。ところが『長時間は無理』とおっしゃる。

 こうなったら、外部の力(つまりena)を借りるしかありませんね。 ところが、そこでも「曜日が合わない」「時間帯が合わない」「兄弟で通うとなると、送り迎えで大変」「費用も高いし」「enaに行くだけでは足りないともいうし」などなど。。。

 そうなると、残念ではありますが、そのままでは「諦める」の選択になります。

 もう「手」がないですからね。  

■我が家の常識とは?

 もし、それが嫌ならば、「あなたは、真剣に頑張っていますか?」を考えてみることです。子どもではなく、「親のあなた」です。いま、この文章をお読みになっていらっしゃる、「あ・な・た」です。

 土日に朝から晩まで勉強をさせるのは、効率だって落ちてしまう。当然です。学校だって集中をさせるために「時間割」を考えているわけです。土日に集中して勉強しようという子ども達は、自分の「時間割」を、集中できるように考えているわけです。

 でも、もっと言えることがあります。「土日の長時間勉強は効率が悪い」と言えるのは、平日にも十分勉強しているご家庭であればこそ。平日にでも十分フォローできる親が感じるべきことです。分散して勉強できるなら、「効率」を重視するのは当然。分散するからこそ、効率よく勉強しないと知識は分断化され、身に付かない。だからこそ、効率化させるわけです。逆に言えば、時間がとれるのは土日しかないというケースの場合、「効率」よりも「量」を重視するしかないのです。多少効率は落ちても、土日にガッツリと勉強する。親も子どもにフルについて共に勉強する。ご夫婦で交互に勉強に付き合っても良い。

 土日の48時間で勝負するしかないのに、親がつき合うのは2時間程度。それでは残りの46時間を子ども一人で走らせるのでしょうか?走りきれる子どもなら良いのです。塾など不要。良質の参考書、問題集と志望校の過去問とで、十分な成果を発揮してくれることでしょう。でも、多くのご家庭では違うでしょ? 

 48時間で勝負するのに、親は2時間程度しか付き合わない。それも厳しくなってきたから家庭教師を2時間頼む。自分たちが子どもの受験の「犠牲」になりたくないからと、自分の時間を取り戻す代わりに家庭教師に、子ども達の大切な時間を託すわけです。それはそれで、方法としては「あり」です。もちろん、大有りです。ただ、「真剣に、成果が出るように」、家庭教師とは打ち合わせをしていらっしゃいますか?あくまでもご家庭が主導で、家庭教師の指導内容を管理されていますか?指導の最中、聞き耳たてて様子を把握していますか?受験までの学習計画は綿密にたてられている?その通りに進んでいる?enaのような「進学塾」であれば、受験スケジュールにまっしぐら!のカリキュラムがあり、毎月の模擬試験があり、もしも問題が発生した場合は、面談なり個別指導也、対処方法がありますが、家庭教師は?補習校は?どうなんでしょうか?

 やる気が見えない、覇気のないお子さんの様子はどうですか?指導が終わって、成果を確認していますか?enaなら模擬試験などで確認できますが、客観的な成績データも把握せず、気持ちだけで「第一希望校突破」ですか?

 勉強は時間じゃない!でも成績を上げる必要があるのに、時間がとれないのは致命的です。取れるときに、ガッツリ勉強!これしかありません!そして、それをするためには、「なぜ受験をするのか?」が必ず問題になってくるでしょう。その問いに確固たる意志と意見をもって子どもと対峙できるのか?「現地校も日本の勉強も、常識だからやれ」なんていう、ボワーんとしたものでは、子どもは誤魔化されません。我が家の常識を、子どもに背負わせないから、そうなる。子どもに負荷をかけるからには、「なぜ、我が家では、こうするのか」を親が明確にもっていないと、子どもが迷います。  

 「こんなに勉強してかわいそう・・・」  

 海外に来たのは親の都合で、子どもに選択肢はなかった。そのことが親にとっては負い目になって、つい、そう考えてしまう。「要領が悪い子どもだから、まずは、とりあえず、現地校が。。。」とやってしまって、収拾つかないところまで、子どもを追い込んでしまう。結果、あと1年あれば!と思う子ども達。時間切れで目標校突破まではいかず、私たちでさえ悔しい思いをする。ましてやenaにも来なかった子ども達は。。。

 いつも書かせて頂いているように、生意気をお許しいただければ、これらは「親のミス」であり、子ども達は「犠牲者」です。子ども達の道を照らしてあげることは先人の務めであるはずです。その照らし方を間違えてはいけません。海外にいることを言い訳にして、子ども達の可能性や進路を閉ざしてはいけないのです。

 enaは海外で頑張る子ども達を全力で応援する進学塾です。

 

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