まえのページにもどる> <もくじにもどる

2011年11月号 「受験特集・・・受験勉強のコツ、公開します」

 

■算数&数学 攻略法

 算数の授業では「途中式や図を書きなさい」とよく言われます。その理由について考えてみたいと思います。

 まずひとつは、実際の入試問題が記述式の場合、単に正解が出せるだけでなく、答えが出るまでのプロセスを採点者に納得してもらえるようにわかりやすく表現する技術が必要になります。この場合、普段から途中式を書くという習慣は入試形式からくる当然の要求となります。

 では、志望校が記述を要求しない学校の場合、つまり答えさえ合えばよいというテストの場合、途中式や図を軽視した勉強法でも良いのかというと、そうではありません。そこで図をかく意義についてもう少し考えてみたいと思います。

 受験参考書を見ると、様々な図を用いた独特の解き方が載っています。例えば平均の問題では面積図、和と差の文章題では線分図などが利用されます。わざわざ図式化しなくても解けるのではないかと思われるかもしれませんが、子供にとってはそうではないのです。

 ポイントは問題文の内容を「目で見てわかる形に整理する」ということです。抽象的な内容を頭の中でそのまま処理していくのは子供にとっては大きな負担です。そこで数量を長さや面積といった目で見て確認できるものに翻訳して考えるのです。受験独特のややマニアックな解き方という印象もあるのですが、小中学生の思考力に応じた最も無理のない方法といえます。

 基本的な仕組みの理解にはこの図式化が大きな力を発揮します。ある程度訓練すると図を頭の中でイメージできるようになり、図を書く作業を省略しても解けるようになります。

 しかしここで図を書くことをやめてしまってはいけません。あとでまた必要になるのです。塾で何度も練習する典型的な問題は確かに目をつぶってでも解けるぐらいになるでしょう。入試レベルではそうはいきません。1回読んだだけでは解き方どころか、問題文の内容を把握することすら困難な問題が出題されます。

 そしてこのような問題が合否を左右する問題なのです。難問はまず問題内容を整理するところから始めなくてはなりません。そこでまたしても活躍するのが「図を書く」です。このレベルでの図を書く意義は初期のころとは違い、難問を解くための糸口を見つけることにあります。

 最初は解けるかどうかわからないけれど、とにかく図を書いてみる。繰り返すうちに、線分図のこの箇所で割り算すれば答えが出るのかと突然気づきます。子供は自分が作り出したヒントに感動し、図を書くことの大切さを実感してくれます。こうなればしめたものです。どんなに難しい問題でも途中まではチャレンジしてくれます。あとワンヒントで解ける状態です。このような勉強法を身につけた子は、志望校の過去問演習の段階でどんどん伸びていきます。

 以上まとめると、図を書かせる理由として、ひとつは学習初期段階での抽象的概念を具現化して理解する助けになるということ、そしてもうひとつ大きな理由として、入試本番の難問を解く際に不可欠のツールになるということがあげられると思います。はじめはきちんと書く練習を積み、簡単な問題は図なしで処理する要領のよさも必要ですが、いざとなったらちゃんと書ける状態にしておきましょう。   

■入試突破のコツ

 特に受験学年の後半に伸びた子供たちや合格を引き寄せたご家庭の姿勢などを書き出して、合格をつかむ法則を導き出したいと思います。  

<<<法則その1・夏休みに、これだけはやった!という自信をもった>>>

 受験で、一番集中して勉強できるのが夏です。夏休みに力をつけることが大事だ、とよく言われます。しかし、結果はすぐに現れない場合も多いものです。本当に大事なのは目に見えない力、「自信」を持つことです。自分で、「これだけはやった」という自信を持つと、それが底力となり、受験までの伸びが違ってきます。夏に意識して自分を追い込める受験生が合格に近づきます。enaでも「夏を征するものは受験を征する」と、子供たちを応援します。  

<<<法則その2・過去問を頭と心に沁み込ませた>>>

 夏休みから“敵を知る”ということで、点数がとれなくてもいいから、解いて、慣れていくことが大切です。何回も解き、その学校がどのように問題を出すかを、頭や体に沁み込ませてください。何となく解いていると点数が取れないため、やる気がなくなるのは当然です。しっかりと目的意識をもって自分の力が今どのくらいで、あと、どうように点数を取れば合格できるかを理解しようとする受験生は合格に近づきます。このことも、これまで「過去問は最良の参考書・問題集」「過去問で、学校との相性を占う」というようなお話をしてきました。  

<<<法則その3・直前に徹底的に覚えこんだ>>>

 理解しなければならないものも沢山あります。反面、今の受験制度においては「覚えなければならないもの」も、まだまだ沢山あります。国語の知識分野、算数・数学の解き方、理社の知識、英語の文法などなど。これらは直前の努力が功を奏する科目です。受験直前に徹底的に覚え込めば、かなり短期間で学力がまとまってきます。ただ、それまでに、徐々に基本的なことをマスターしていく日々の努力は必要です。テキストもあれこれ手をつけずに「これ!」というものを決め、何度も繰り返しましょう。地道な作業ですが、受験前の徹底した勉強に耐えた受験生が合格に近づきます。

<<<法則その4・模試の自己採点・テスト直しを当日にやっていた>>>

 模試は「やりっぱなし」ではいけません。必ず自己採点やできなかった所の復習をテスト『受験したその日のうち』にすることが大切です。勉強とは自分がなぜできなかったのかを知り、それをできるようにすることです。だからこそ、テストは一番実力がつく良い機会なので、自己採点、テスト直しを常に実践できる受験生が合格に近づきます。  

<<<法則その5・どうしても合格したいという気持ちが芽生えた>>>

 例えばenaでは「小5・中2のうちに、一時帰国を利用して学校見学をしておくことを強くおすすめします」とお話ししています。このことが、子供たちの大きな勉強に対するモチベーションになるからです。海外にいると同級生や先輩からの情報が入らず、結局は親の方針で受験勉強を始めるケースが多いと思います。高校受験では本人の意思が8割といわれます。中学受験は親の受験ともいわれます。それでも、「合格する受験生」は、秋以降に「自分が行きたいから」「どうしても受かりたい」という、強い意志が芽生えています。そのパワーは、全ての源になると思います。  

<<<法則その6・一喜一憂せずに気持ちのコントロールができていた>>>

 帰国枠入試は日程が早く、11月の終わりに第1弾が終わることもあります。ここで一喜一憂してしまう受験生がいます。大切なのは気持ちのコントロールです。結果が出ても出なくても、受験に対するモチベーションを維持しつつ、本番を迎えることが大切です。お試し受験として、軽く受験をすると痛い目に遭います。しっかり計画を立てて、戦略的に乗り切りましょう。合格したら「勝って兜の緒を締めよ」で、うまくいかなくても「そこには行く気がなかったんだから」と気持ちをコントロールできる親が合格を引き寄せます。  

<<<法則その7・親も子もあきらめなかった>>>

 この『あきらめない』ということはとても大切です。受験生はもちろんですが、親レベルでもあきらめないことが大切です。過去問を解いて「こんな点数じゃ受からない」と子供が自暴自棄になることもあるでしょう。でも、そこで追い打ちをかけて「何で、今まで塾であんなに勉強したのにできないの!」って叱る親の対応では合格からは遠ざかってしまいます。

 そこで「う〜ん、この点数では厳しいけど、でもまだできることはあるんじゃないかな。あきらめないで、頑張ろうね。私も応援するから。」と励まし、一緒に寄り添ってサポートし、受験まで『あきらめない』でやろうという、親の心からの言葉が、どれだけ、受験生の子供に勇気と希望を持たせるかわかりません。そういう光景を何度も見てきました。海外に生活する子供たちは、精神的に非常に幼い。今まで何をするにも親がかりだったのを、突然放任してしまったら、途方に暮れるのは明らかです。目の前にライバルが居ない。なんで自分だけ、現地校と日本の勉強と、2つもしなければならないのか。自分との戦い。海外生活という特殊な環境にいるからこそ、ご家庭のサポートは必要不可欠です。受験というとてつもない壁に挑もうとしているのを、あきらめない気持ちで大人がサポートすることが何よりも大事。あきらめないで第一志望を思い続け、くじけることがあっても、また立ち上がって、何度も何度も失敗を繰り返しながらも、受験に向けて頑張る親子が合格を引き寄せます。  

<<<法則その8・親子で同じ方向を向けた>>>

 親子が同じ方向を見て、二人三脚で頑張り続けると合格可能性は高くなります。逆に、子供がやる気になっているのに親があきらめてしまったり、親が過剰に子供へプレッシャーをかけ、受験する本人が萎縮してしまっていると合格率は下がってしまいます。親子で、自分たちができる努力を最大限やって、ここまでやったのだから、結果はどうであれ、よく頑張った。という気持ちをもって受験日を迎えられるのが理想です。受験は、子供たちにとって貴重な体験です。本気で挑む戦いです。だからこそ、そこへ親子で参加するのに、違う方向を向いていてはいけません。親子喧嘩が絶えないというご家庭も多いかもしれませんが、それは、同じ方向を向いての喧嘩であればいいと思いますが、違う方向を向いての喧嘩は、反抗期と絡んでお互い消耗するだけです。同じ方向を向くには親の姿勢が大事です。期待という気持ちを持ちつつも、現実を把握してわが子に接することができれば合格に近づいていくでしょう。  

■記述問題攻略のコツ

 「うちの子に問題の解説をしたいのだけど、記述問題だけはどうしても説明できない」「記述問題の解答の作り方がわからない」こうした悩みは、多くの受験生や保護者の方々が抱えています。特に、この時期は、受験生が過去問に本格的に取り組む時期です。

 記述問題では、採点基準が設定されていることが一般的です。この採点基準ですが、例えば映画『もののけ姫』がどのような内容かを説明させるとします。正解が「異なる環境で育った二人の人物が絆を築くドラマであり、また人間による自然破壊の愚かさを訴える社会的テーマも含んでいる」であった場合、「二人の人物が絆を築くドラマ」「自然破壊の愚かさを訴えている」と、2つの要素が必要になります。このどちらかがなければ減点、となるため、上記の2つがこの問題の採点基準となります。問題を解く子供たちからすれば、解答に含めるべき要素と考えればよいでしょう。この採点基準を意識して解答することが今回のテーマになります。

 1つの設問で、いくつの採点基準が設けられているのかについては、法則があり、解答字数につき、15〜20字ごとに1つ設定されていることが一般的です。これに、誤字がないか、文末が適正か、などの表現に関する基準が1つ加わります。例えば問題の制限字数が40字以内、となれば解答の要素として2つ、表現に関して1つとなり、2〜3の採点基準が必要になる、と計算できます。

 もちろん基準の数にとらわれすぎて、どうしても1つ足りない、あるいは多いとナーバスになり過ぎては本末転倒ですが、何の手がかりもなしに問題文から解答につながる基準を見つけ出すことと、探すべき基準の目安を持って臨むのでは、子供たちの気持ちの負担に大きな違いがあります。

 また解答を記述する際に、例えば50字を1つの採点基準で書き抜こうとすると、無理に文章を伸ばそうとするあまり、採点者に無駄に長いという印象を与えてしまうという極めて危険な結果につながります。採点基準が3つくらいある、と考えれば、1つの基準について15字程度の記述で、後はそれらを組み合わせればよいことになります。50字の成り立ちを50×1ではなく、15×3+αと切り替えれば、子供たちにとってはやはり負担が軽減され、解答への意欲も向上するでしょう。また、文章には構成が必要であることも自然と自覚できるようになります。

 科目の違いとして、明確な答えを算出する算数・数学では100点をとることが目標になりますが、国語の記述問題では、100点をもらえる完璧な記述答案を作成することは非常に難しいです。このことは子供たちが普段受けている模試や小テスト、授業中の宿題の答え合わせなどで大いに実感しているところでしょう。完璧な解答を書いたつもりだったのに、半分しか点数をもらえなかった、と嘆く子供たちの姿をよく目にされるのではないでしょうか。大事なことはそこで嘆いて終わっていたり、また逆に半分とれてたからいいや、と安心して終わっていては、そこから先に進まないことをしっかり子供たちに伝えるところにあります。

 授業で聞いていて欲しいポイントは、友だちの答えとの「比較」です。10点満点で5点を獲得した友だちの解答と模範解答と、自分の答えを比べてみると、なぜこれで友だちは5点取れているのか、と思うことがあるでしょう。文章の組み立てや、表現など、模範解答からはかけ離れているのに、なぜ得点できているのか。国語の模範解答は大人の作った解答です。できすぎとは言わないまでも、子供たちが書く水準とはどうしても細かいところで違いは出てきます。模範解答を写して参考にすることは有効な手段のひとつですが、子供たちの書いた答案を分析する際には、模範解答の文章ではなく、採点基準に注目して下さい。細かな点は違っていても、子供たちは採点基準を満たしていたから部分点を獲得できたのです。そのことをしっかりと評価して、子供たちには書ききれなかった残りの採点基準の存在を伝えるようにしましょう。enaの授業では、そういう所に注意して、子供たちに答えを言わせ、みんなで感じる・考えるようにしています。

 こうしたことは、受験だけではなく、進学した後にも役にたつことなのではないでしょうか。

 enaは頑張る子供たちを応援する進学塾です。

 

 

TOPへもどる