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2011年10月号 「やる気って」

 

■のほほーん  

 NYやLAの、日本の塾がタンマリ進出している地域であれば、この時期は「鉢巻き締め直して、いくぞ!!!」となっているはず。帰国枠受験は一般受験と違って11月下旬から始まるので、一般受験と比べると3ケ月も早めに動かなければなりません。気合いは言った授業が、夜遅くまで続きます。

 ところが、当地では毎年こんな声を聞くのです。「うちの子、現地校が楽しいって、日本の受験勉強は後回しなんですよ」「なかなか受験勉強しなくて」「なんだかお稽古ごとも辞めたくないそうなんです」などなど。そういいながらも、お母さんに、それほどせっぱ詰まった感じがしないんです。よくよく話を聞いてみると「我が家は、せっかくアメリカに来たので、それを楽しむことを優先しています」ということが、我が家の方針だったりします。

 こういうことを、私たちは否定していません。非難していません。一部の噂で「enaは現地校の勉強をするなと指導している」とか「現地校の宿題は親がやれと指導している」などと言われていますが、事実無根。あり得ません。日本国内の塾だって「学校なんて簡単なことしかやらないから、行かなくても良いよ」と指導する塾がマトモとは言えないでしょう?それは、海外でも同じです。

 第一、現地校第一主義などということはご家庭が決めることであって、第三者がとやかく言うことではないです。ただ、日本への進学・受験ということになれば、私たちにもお話しできることがあるかな、というだけのことです。どこからか聞こえてくる噂で「現地校の成績が良ければ合格する」とか「英語が完璧なら受かる」ということを鵜呑みにしてしまうご家庭に警鐘を鳴らすことも、私たちの大切な仕事だと思っているからです。ちゃあんと調べていらっしゃるご家庭であれば、噂は噂に過ぎないと判断されているわけですが、巻き込まれていくと「そうなの?じゃあ。。。」となってしまう。だから、機会あるたびに、ちょっと過激な発言をしてしまうわけです。

 受験学年(小6や中3)の夏以降に「さて、受験体制に入ろう!」となったとしましょう。何をやらせても、何処に行っても「完璧」という子供はいます。それなら、今まで何にもやってこなかったとしてもポンと模試を受けて、それなりの成績をとるでしょう。でもたいていの子供は今まで見たこともない問題に「フリーズ」してしまい、何が分からないのかさえ分からないといいます。秋からは、帰国枠受験であれば入試目前。苦手分野の克服も夏期講習で終わり、過去問をベースに実践力を育成する時期。そんな時期に「今から始めるぞ!でも、現地校やお稽古ごとは辞めないぞ!両立するぞ!」といいながら、「分からない問題ばっかりで、やる気が起きないわ!」といっている子供・ご家庭に、合格できる学校はあるのでしょうか?

 のほほーんとしてしまいがちな当地で、日本への進学を考えるとき、何を大事に考えるべきなのでしょうか。  

 

■未知との遭遇

 日本にいたら、嫌でも情報に巻き込まれていましたね。中学受験であろうが、高校受験であろうが、お友達や先輩から情報が入ってくる。親同士も子供同士も、それぞれにアンテナがあり、迷う位に情報が飛び込んでくる。そうなると、「じゃあ、やんなきゃねえ」となるだろうし、「ここって、どうなの」と意識もする。でも海外だと。。。首都圏の帰国枠受験はパターン化していると言われます。私たちも、そう思っていますし、保護者会などでも、そうご説明しています。でも、本当のところは「受験パターンはご家庭の数だけある」と思っているわけです。パターン化されているからといって、その通りにやるべきかどうかは分かりません。実はあるご家庭の教育方針は、有名校でうたわれていることの真逆であったりすることもあるわけです。だから流行りの受験校を組み合わせていらっしゃらない。そういうことも起こります。

 塾に来たり、通信教育などで刺激を受けていたご家庭はまだ良いです。今持って情報が無い。友だちや先輩からの刺激も無い。帰国が近づいてきて、受験は使用とは思い始めて、刻一刻と入試日が近づいてきて、「おい、第一志望は、どうするんだ?」と聞かれて「うーん。まあ、適当に」としか答えられない子供。

 危機感があれば、まだ走ることも出来ましょう。でも焦りとか、がむしゃらになるとか、塾にすがりつくとか、全く無し。例えばご両親が首都圏以外のご出身で、中学入試のご経験もなく、それでいて、首都圏にご帰国される。そして「なんとなく」、中学受験とやらを考えてみようかというときに、こうした「ぼわーん」が起こることがあります。何一つ身近ではないわけです。日本であれば、例えば中学生など、6月になると部活も引退し、さあ、やりましょうか、となりますね。公立高校受験がメインストリームの地域でも、中3の夏はキッカリやる、合宿にも行くということが多々見られます。当地の「のほほーん」状態であると、自分なりには「やっているつもり」だから、実際の模試成績は空回り。周りが必死になる秋ですから、相対的に成績は急降下します。数字が取れていれば文句ないのですが、「こうやって、ここまでやれよ」といっても「忙しくて出来ません」と平気で良いのけてしまったりする。しかも大好きな現地校は、まだまだ中心の存在。学校行事は第一優先。趣味もバリバリ!お稽古ごとも継続中なんてケースも見られます。

 これって、両立ではないんです。バイリンガル論と同じ。ハーフリンガルになっているって、やつです。中途半端、ってことですね。  

 

■やる気は持たせるもの?

 いち早く事の重大さに気が付いたお母様がご相談に見えます。そうすると「うちの子、覇気がないんですが異常でしょうか?」なんて聞かれることがあります。海外に生活する上で、現地校になじめないとか、英語がわからないとか、色々あり得ます。子供たちの話で「あの子、現地校では一言もしゃべらないんだよ」ということもあったりする。そんな子供が、塾に来ると先頭きって騒いでいたりする。ああ、ストレス溜まっているんだなあと思ったりもします。

 とりあえず塾に来ている子供が居ます。両立ではなく、中途半端になっている子供がいます。現地校では緊張の連続。引きつって笑うのが精一杯。そこから解放されて家ではノンベンダラリン。お稽古ごとや塾はエンターテイメント。そして親には決めての一言「現地校が忙しい」で全て許してもらえてきたから、塾でも使っちゃう。「宿題忘れました。現地校が忙しかったからです」って。

 ある私立校の帰国生担当の先生が、こういっています。「国際化って、なんでしょう?英語が話せれば国際人ですか?日本の学校に通うのに、日本語が怪しかったり、日本の算数が出来なくて、それでも国際人っていうのですか?」とお話しされていました。また、違う学校の先生は「うちでも預かれない子供が最近は増えてきました。彼らは何処に行くのでしょうかね。日本の学校に通うのに、最低限の学力は身につけておいて頂かないと、受け入れてくれる学校なんて、無いですよ」と。

 皆さんが希望される学校の多くでは、「海外生活体験=合格保証」とは『絶対』になりません。帰国枠があり、それが優遇措置とに対して「何も準備せずに受験にのぞむ」ということは、無謀きわまりないはずです。ましてや子供が、無意識だったにせよ、逃げを覚えてしまったのであれば、修正は非常に苦労します。

 学校は、それが公立であれ私立であれ、「来て欲しい生徒像」というものを持っています。海外から受験する生徒に対しては「我が校で、こんな生徒として、活躍して欲しい」と期待していることがあるはずです。受験者はそれを把握して、海外にいても切磋琢磨していくべき。そう、簡単に言えば「やる気」は「育てるもの」であり、与えるものではないということ。学校が明言していることに対して、自分から切り拓き、自分の足で歩いていくことが肝心。それは「やる気を出させる」という「受け身」ではないはずです。このことが「余計な御世話」といえるのが、小6で公立中学校に進学するときだけ。私立中にしても、国立中にしても、そして高校進学に関しては全て、「学校が求める生徒」が存在するのです。だから、受験生は「やるべき事」が決まっているということなのです。  

 

■比べるということ

 お母様が「やばい!」と感じたとしましょう。何とかしなければならない。でも客観的に見れば見るほど、「うちの子、覇気が無いなあ」と思ってしまうことがあります。その理由は、大きく分けて2つのパターンがあるのではないかと思われます。1つは、「小さいときは、もっと覇気がある子だった」というパターン。もう1つのパターンは、「自分(親自身)は、もっと覇気がある子だった」という、親になった自分と子供を比較するパターンです。親が思う「どうしてこの子は、こうなんだろう!?」と嘆くとき、比べているのは自分自身のことが多いものです。「私は、こんなことなかったわよ〜」と後に続いたりします。特に当地のように、優秀なお父様・お母様が多い地域であれば「我が子が、この程度のはずがない。あり得ない」とおっしゃることも多々あります。その他には、兄弟姉妹と比べたり、前任者のお子さんと比べたりということも多々ありますね。日本国内にいたら近所の友達や先輩と比べたりすることも多々あります。

 私たちは毎年何人もの子供たちと接しています。海外での教え子だけを考えても既に数百人を越えます。日本での教え子を入れると。。。分かりません。(笑)その一人一人を思い出すと、実に色々な生徒がいる。ひとくくりには出来ない、色々な性格・成長の違いが見られるわけです。小学生から中学生になって覇気がなくなったように見える傾向があるのは、ごく自然なことです。成長期、というかホルモンバランスが関係するというか。お医者様ではないので、専門的なことは分かりません。でも、男の子も女の子も、小6と中1では全く違うということも多々あるわけです。アツい感じの表現をすることは、ダサイと思っている子供も多いですし、周りからそう言われるのがイヤで、そう振る舞っている子供も結構います。学年が上がるにつれ、感情を表現することに恥ずかしさを感じる年頃だし、相手に対してどう見えているかも気になる年頃だということです。小学生のときは「センセ〜!」って飛びついてきた生徒が、中学生になると「あっ、先生こんにちは・・・」とはにかんで挨拶する姿はなんだか寂しい気持ちになりますが、ごく自然なことです。もちろん、全員ではありません。いろんな子がいるということです。

 更に言えば、海外で純粋培養された子供であれば、また違う側面がある。日本の子供と比べれば幼かったり、「はにかむ」タイミングが数年遅れることもある。逆に現地校に放り込まれてから、そのことがきっかけになって大人しくなってしまった子供も居ます。時代の色もあります。そんなことを考えていくと、子供の様子など、実に色々なのです。

 子育てに関しては、私も真っ最中ですので偉そうなことは言えません。所詮、塾屋ですからね。でも、子育ては基本的に我が子のことしか分かりません。だから親は不安になるし、心配するわけです。だからこそ、第三者の目を通して見ることが重要になる。経験値を利用する価値が出てくる。塾を利用して頂きたいと常々お話ししているわけです。

 子供は子供が生きている世界でそれぞれポジションがありますから、対親だけで自分の表現方法を決められないということも多々あります。現地校と家での感じを使い分けている子供もいます。そのときどきの状況によって、変わるものなのです。  

 

■やっぱり。。。

 一般的な言い方になりますが、目標を持つことが大切になります。ただし、覇気のない子供の目標設定には注意が必要です。特に、勉強に対して乗り気でない子供に対して注意してほしいのは、「勉強を目標にしない」ということです。やる気がない子に、「数学を10点上げる」といった目標を設定しても意味がありません。点数を上げること自体に興味をしめしていないんです。学校見学もしていないのに、具体的な学校名を与えて「ここをめざしてがんばりなさい!」なんてやっても意味がないです。それならあくまでも、「目標を達成するためには、勉強も必要だった」にすることです。状況によりますが、子供の今の状態が悪ければ悪いほど、最終的な目標を勉強から遠のけるべきです。そして、目標を達成するために勉強が必要だ・ここでやるしか無いんだと気づかせるのです。

 例えば、「サッカーで全国大会出場」→「A高校サッカー部入部」→「A高校合格」→「模試の偏差値50」→「数学10点上げる」といった具合です。受験生だから、そんな時間がない!という話もあるでしょうが、今の状態が悪ければ、受験生だろうが、まずはそこからスタートするしかありません。「モチベーション」とか「やる気」などというボワーンとした言葉で励まそうとしても、子供たちは騙されてくれません。ゆえに、早めにスタートをと繰り返しお話しているわけです。

 また、目標設定で大事なのは、いつもお話していますが、「クリアできそうな目標にすること」が肝心です。「やっぱ、絶対無理!」が子供たちの口癖ですが、「しゃあないな〜、いっちょうやるか!」という言葉をいかに引き出すかに神経を集中することが重要です。受験生として「そんな目標じゃ、とても・・・」なんて上から目線で否定しないことです。「たったそんなこと・・・」そう思えたとしても、まずはそこからスタートする。「受験生だから・・・」と話の前提を一定レベル以上のところからスタートすると多くの場合、失敗してしまいます。受験が数ヵ月後に迫っているからといって、○○高校合格が先に来て、そこからの逆算だけで目標設定すると、スタートする前に、やっぱり子供は、「できるわけねーじゃん!」となりますから。目標のレベルの高い低いは、それこそ外部の基準。どう足掻こうが、子供の今の状態からの設定には、親の我慢と辛抱と協力がいります。受験生は誰だって不安。矛盾しているようですが、勉強が進んでいる子供より、進んでいない、努力していない子供のほうが不安を持っています。あんなに勉強していないお前が言うか!!と感じることもたびたびです。それに付き合えるのは、誰か?ある意味では「そのとんでもない」悩みに耳を傾けてやれるのは誰か?

 海外にいる子供たちを応援する塾。私たちは今も昔も、そう有り続けたいと思っています。

 

 

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