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2010年09月号 「受験屋の秋・・・進学塾が考えていること」

 

■さて、9月

 始まりましたね。現地校の、新学期。ワクワク?どきどき?夏に日本からいらっしゃったご家庭は、まだまだ生活の立ち上げで「てんやわんや」ってかんじですか?あと少し!がんばってくださいね。

 それはそれとて。校舎のなかは日本!のenaでは、9月と言えば、受験体制本格化っていうかんじです。帰国枠受験は早いところだと11月下旬から開始。そうなると受験まで100日を切っちゃっているわけです。まさに、カウントダウンってかんじです。

 さてさて。そうなると、この時期の一番の話題は「滑り止め、どうしよ?」とか「併願校、どこにすべき?」というような話題。進路指導って、受験屋の一番の売りの部分なのですが、今回は大サービス!ちょっとだけ、enaの進路指導を味わって頂こうというものです。  

■非受験学年であっても

 現在5年生であったり、中2生であったり、いわゆる非受験学年の生徒の場合、一時帰国を利用して、出来る限り「学校見学」をしてくださいとお話しします。日本であれば、塾のお友達・塾ママ友などから情報が入ったり、中学校の先輩から影響を受けたりすることが多いのですが、海外生活だとどうしても限界がある。今月enaで開催される「教育講演会」「海城ミニ説明会」などは、非常に貴重な機会であることは間違いないのだけれど、子ども達自身が肌で感じ、モチベーションを高めるためには、どうしても学校見学をしてきて欲しいのです。

 ただ、例えば11月下旬にNYなどの「海外入試」などを利用したりすると、2月、3月まで続く入試。とーーーーんでもなく、ロングラン入試ですね。計画を失敗すると、第一志望の学校が遠のいてしまうことも多々あります。どのタイミングで日本に帰るか。本帰国?それとも受験のために一時帰国?現地校は、どうする?どのタイミングで、どうすべき?などなど、1年くらい前から調べて準備しておくこと・考えておくべきことが多々あるわけです。  

■結局パターン化する入試

 「でもぉ、みんな同じだよねえ」当地の話だけではなく、NYやLAであっても、帰国生の受験パターンは似通ってしまう。それは何故か。簡単です。一つには、人気が偏っているということ。海外に赴任するエリート家庭が、「行きたい学校、どこでも良い」とはなりません。「線」が存在します。とある、帰国枠入試に歴史のある学校の帰国生担当の先生が「結局、WとかKにもっていかれちゃう」とこぼされています。上位有名難関校がターゲットに入っている受験生・プレ受験生(小5と中2を、こう呼ぶことにします)であれば、まあ、そうなりますよね。

 11月下旬から1月中にかけて、帰国枠であり、滑り止め校として「最後は、ここに進学することになっても、悔いは無い!」と言える学校があれば、万々歳。そして、その学校に合格できれば、残った時間で「とんでもない集中力」で準備すれば良いわけです。これは、毎年の首都圏帰国枠受験生が考えること。  

■併願大作戦

 例えば11月下旬なり、12月頭なり、または1月中旬なりに、滑り止めが確保できたとしましょう。そうなると、実力相当校や挑戦校に向けて、がんばる!というわけです。が、ここで問題が発生することが毎年あるわけです。受験日程です。例えば第一志望校の受験日は、2月3日。第二志望校の受験日は、2月1日、第三志望校が2月2日だとしましょう。この日程の場合、既に滑り止めが確保されているのですが、それ以上の気持ちがある学校で、先に第三志望の結果がでてしまうわけです。第二志望がもし失敗だった場合、2月2日に再受験できるということもありえます。もし、第二志望校に合格できた場合、発表は2月1日の夜にわかるとしまう。即日発表校なんていうことも、例えば中学受験の場合多くなりましたね。すると、2月2日は、もう受ける必要がなくなるわけです。

 ここで、皆さんが疑問に思うのは、またよく質問として聞かれるのは、翌日に本命を受験するにあたり、2月2日をどうすごすのがベストなんだろう?ということです。滑り止め確保の後、第一志望校まで、どう計算しておくか、ということです。  

■声・こえ・コエ

 いろんな意見がありますね。いろんな視点があるからです。ましてや海外生の場合、学力試験が実施される場合は学力重視ではありますが、英語の出来具合などで合否予想が大きく左右されることもあり、皆さん結構緻密に考えられることも多いのです。あるアドバイスは「日程を空けずに受験したほうが、緊張感が保てるから、2月2日はチャレンジ校として、レベルをあげた学校を受験したらどうか?」ということもあります。逆に「連続はきつしし、最悪の滑り止めはあるのだから、空けておいたら」というアドバイスもあります。また「まだプレ受験生なんだから、そんなにきっちり決めないでもいいでしょう」というアドバイスもあるかもしれません。

 ただ、一時帰国を頻繁にしているご家庭では無いならば、早めに志望校を決めておき、一時帰国の際の学校見学チャンスを最大限に生かして欲しいと思うのです。通学距離や雰囲気なども考えて、いろいろ見学して、受験した学校のどこに行くことになっても、納得できるようにしておきたい。皆さんお考えになることです。そう考えると受験生になってから併願校を考えるのだと、非常にあわただしく感じます。6月末の現地校が終わるまでお預けということであれば、ものすごくタイトです。現地校が終わって本帰国するならまだしも、受験ギリギリまでアメリカにいるのであれば、夏を無駄にしてしまう危険性もあります。

 もちろん、最終的な受験校はギリギリとなっても仕方がないでしょう。実力テストになる、合否判定試験になる受験学年の9月の成績から考えていくのが現実。でも、そこにもっていくまでの道のりが、いつもお話しする「はじめに志望校ありき」と、「なんとなく現地校崇拝主義で刹那主義」という2つとでは、明らかに準備の濃度が違ってしまう。それは、結局子ども達に余計な負担をかけるし、「こんなはずではなかった」と、進学してから後悔することになりがちなのです。

■シミュレーションは良いことだ!

 「もし、こうなったらどうしよう?」と想定しては対策を考えておく。いわゆる、シミュレーションというものです。これは、とても大事なことです。海外生活をするものにとっては、非常に大事なことですね。何かが起こってからでは遅い。起こる前に、可能な限り準備しておく。ほら、海外生活マニュアルだって、そうでしょ?あらかじめマニュアルを読んでおけば、流れは分かる。分かっていれば、どのタイミングで荷物を、どうやって処分するのが効率的か、わかるわけじゃないですか。それを、帰国直前になって「ああ!どうしましょ!」とやるから、パニくるわけです。

 もちろん、その場にならないと、本当のことはわからないんです。でも、シミュレーションして、準備しておけば、その通りにならなくても、何通りかの手が打てる可能性があります。少なくとも帰国生受験においては、受験資格が存在します。シミュレーション無しに、その場しのぎでやってきたあげく、受験資格を得るには滞在期間が1週間足りなかったという話が、現実、当地でも起こっているんです。

 もちろん、シミュレーションをする際には、注意点があります。それは、『先のことを考える「だけ」で終わらないこと!!』です。先のことは、想像こそはできてもあくまで『予想』にすぎません。「こうなったら、〜しよう」と先のことばかりを考えてもダメです。毎日の生活を考えれば、現地校との両立もあるし、当然お稽古ごともあるし、旅行もあるでしょう。それらは、考えてみれば日本にいる同級生のご家庭だって同じ事。たしかにアメリカ人の中で揉まれて、という体験はしていないけど、そのかわり「部活でしごかれた」「文化祭実行委員で、遅くまで頑張った」「家族旅行に行った」「ピアノはギリギリまで続けた」などなど、同じようなことはしているわけです。そのなかで、皆さん咲紀のことを考え、情報を仕入れ、備えようとしているわけです。「○○ちゃん、塾に行き始めたらしいよ」ということも、情報源であり、備えようとする行動のひとつとも言えますね。つまり大切なのは、『今、何をしておくべきか「まで」を考える!!』ことなのです。例えば「通学距離や雰囲気なども考えて、いろいろ見学して、受験した学校のどこに行くことになっても、納得できるようにしておきたい」と併願校を考えるだけでなく、だから今、学校について時間をかけて調べ、海外に学校が説明会をしにやってくるのであれば、志望校では無くても情報源のひとつとして入手すべきであるし、教育講演会があれば、視点を増やすためにも参加してみるわけです。先にやっておけば、後からは違うことに時間と力を注ぐことができる。情報を入手してから、取捨選択すべき。自分に都合の良い情報だけにしがみついて、あとで裏切られるのだけは避けたいものです。  

■では、塾屋としては???

 まず、海外生活をしている子ども達のことを考えると、言えることがひとつ。『滑り止め・保険校は、早い日程に』です。どんなにenaで模擬試験を受験したとしても、入試独特の雰囲気は体験していません。一時帰国をした機会に、「会場テスト」を受験したことがあるなら、話は別。しかも頻繁に一時帰国をして、いろんな会場テストを受けているなら、感覚は養えていると思います。でも、知らない人ばかりの中で、しかも日本人ばかりの、受験生ばかりの超緊張する感覚が初体験の状態で、第一志望を突破できる精神力を持っている生徒は、ごくごく僅かではないでしょうか。過去、滑り止めが、第一志望のあとの日程だった受験をしたケースがありましたが、ほぼ100%、ダメでした。無理なんです。海外にいて、子ども達は、あの独特の雰囲気を知らないのですから。飲まれてしまうのです。よって、まずは「保険校」とか「最後の模擬試験」のような感覚で、早い日程の受験を設定すべきなのです。

 では、入試日程に「あき」が出来てしまったときは、どうすべきか。もちろん、これも帰国枠受験の場合、色々なケースがあり得ます。ロングラン入試ですから、「あき」は当然発生します。まずは「滑り止め・保険校」の合格から1週間・2週間ほど間があいてしまう場合を考えてみます。その間にいくつかの準備は、しておきます。もしも、万が一、滑り止めが「だめ」だった場合。保険校といわれる学校を準備しておくのがベストです。例えば1月中旬に「滑り止め」のはずの学校がスベった。こうなると、もう1ランク下の学校で、「止め」になる、しかも行っても良いな、と思える学校を受験することになります。はじめからある程度想定しておけば選択肢は作れるでしょうけれど、いきなり!となると「無いじゃん!!」と慌てます。これがシミュレーションの効果というわけです。ここで力を発揮します。

 例えば連続する入試の場合は、どうでしょう。2月1日に第2志望校を受験。3日に第1志望校。あり得るとすると第2志望校と第1志望校の間に、チャレンジ校を受験する場合と、1ランク下がった「もう1ランク上の滑り止め校」を準備するケース。もちろん、1日の夜にわかる第2志望の受験結果によりけり、です。もし、1日が不合格だったときに、2日をチャレンジ校とするなら、心理的に負ける危険性が高い。難しい問題に取り組み自信を無くすことがあっては、まったく意味ありません。では、1日が合格のときはどうでしょう?それならば、私たちはこういいます。「帰国生の機会を生かせる受験は、最大限利用せよ」です。もちろん受験屋です。企業です。合格実績が欲しいのは言うまでもありませんが、帰国枠受験のオイシイところを使うなら、上を目指せ、ということだと思うのです。ただ考えるべき事は、その翌日。本当の本当の第1志望校受験日である3日のこと。そこに照準を、どうあわせるか。

 精神的強い子。弱い子。緊張感を維持した方がよい子。リラックスさせた方がよい子。ケースバイケースです。だから数ヶ月しか付き合いのない生徒の進路指導なんて、できないわけです。enaでは、例えば受験学年の夏期講習以降は、受験生を受け付けません。上記の通り、子どもの「性格」などがつかみきれないからです。2年以上、お子さまをみさせていただけたなら、勉強の癖・模擬試験受験時の癖、そして何よりご家庭の方向性などが私たちにも十分理解できるため、こちらからも積極的にアドバイスさせていただいています。  

■そうなると。。。

 もう、お気づきになっていらっしゃると思います。首都圏の受験の場合、上記のような理由から「兎に角、多くの学校に出願しておく」ということが、パターンになっているわけです。そうなると、帰国枠を実施している学校が多い首都圏であっても、似通った受験パターンになるわけです。しかもそこに、「ある程度以上のレベルの学校で」というフィルターが入るわけですから、もっともっと、似通ってしまうわけです。

 一部のご家庭からこんな声が聞こえてきそうです。「成績の良い子どもは良いですけど。。。」なんてね。学校の成績が、特に日本の勉強に関しては、成績が今一歩芳しくなく、我が家としても、有名難関校ではなく、本人の学力に逢わせた学校に進学させたい。もちろん、そういうご家庭があって、当然です。ただ、実は、そういうケースの場合、むしろ「茨の道」であることが多いのです。中堅校以下であると、帰国枠を実施している学校が減ります。受け入れ経験も少ない。そうなると、合格し進学しても、自力で日本の勉強に追いつくしかないわけです。学校側の手厚いフォローや、帰国生への理解が期待できないことも多々あります。そういうことも、十分シミュレーションしておいてください。

 さらに。首都圏以外の地域の場合、入試日が重なってしまい、数校しか出願できない場合があります。そういう地域の受験は、首都圏の受験以上に、念入りに計画・シミュレーションをしておくべきなのです。一発勝負のところが多々あるわけですから。実力相当校・滑り止め校・挑戦校の3つのバランスを、プレ受験生の頃から十分に意識をし、東京の受験生母集団であっても良いから、模擬試験などをきちんと受験して、成績の推移をきっちり把握しておくべきだ、ということです。  

■つまり。。。

 これらのことは、受験屋であれば、常識であるに過ぎません。でも地域が違えば受験制度は違います。東京の塾に長年在籍していた先生が、関西の塾で進路指導をしろといわれても、なかなかできません。非常識であることに気が付かず、自分の常識だけで進路指導をしたとしたら。。。子ども達は間違いなく犠牲者です。

 如何ですか?enaの受験指導の、ほんの一端ではありますが、ご理解いただけたかと思います。日本に進学するのならば、圧倒的なデータと安心と実績の、enaに、是非お任せ下さい。

 

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