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2004年8月号 「ちょっと気になる他人の様子」

有名難関中学・高校に合格した人たちは、どれくらい勉強していたのか?合格するまで、どんな生活をしていたのか?だれも教えてくれないことだからこそ、一番気になるところです。と、そのとき、あるデータを見つけました。合格発表で調査したアンケート。情報は多少古いものですが、それでも参考にするには十分です。それでは、早速見てみましょう!  

■中学入試編■

アンケートは「麻布中」「開成中」「明大中野中」「大妻中野中」「桜蔭中」「跡見学園中」「成蹊中」で実施されました。男子52人、女子49人、計101人のデータをもとにしています。帰国枠受験生を主体としたアンケートではありません。  

☆やっぱり塾は必要?!塾通い成功のコツは?☆

   「受験するにあたって、塾に通いましたか?」という質問に対して98%の人が「通った」と答えています。塾に通い始めた時期については、以下の通りでした。

   小1から・・・ 3%    小2から・・・11%    小3から・・・28%    
   小4から・・・37%    小5から・・・21%     小6から・・・ 0%

 一番多いのは小3の2月からだそうです。これは学校のカレンダーでいう2月。中学受験を中心の塾は、2月新学期開始のところがほとんど。これは首都圏の場合、受験が2月1日を中心としているため、1月末で修了するようになっているからです。上のデータでは小4から始めた生徒が37%と一番多いようになっていますが、塾での学年が小4ということであり、学校の学年では小3の2月ということになるわけです。
 小4から始める生徒が一番多いのには、実は塾側に理由があります。小4の1年間で塾のある生活になれてもらう。講義中心の授業スタイルになれてもらう。大量に覚えてもらう作業や、板書などになれてもらう。それが4年生の目標なのです。よって入塾を勧めるときに「小4から始めるのがベストです」ということになっているわけです。もちろん、塾のある生活を軌道に乗せるという意味では、小3から初めても良いわけです。ただ、小3以下の学習内容が直接入試問題に取り上げられることはありません。具体的な入試で使う考え方、つまりは「技」については、小4でももちろん学習しますが、まだ数は限られます。具体的な「技」の習得は小5からの2年間でマスターすると思ってください。このときまでに「塾生活への適応」がなされていると、スムーズに習得されていきます。「適応」とは「宿題のこなし方」「暗記の仕方」「漢字練習と計算練習」「教師と生徒の程良い距離」などを指します。これらが受験レベルにおいて申し分なく身に付いているのであれば、小6から受験準備をしても間に合うという言い方もできますが、現実は厳しいです。(塾に通わずに有名難関中学に合格する生徒は沢山います)  
 帰国枠入試では「技」の使われ方・使う種類が限られているので、小6からの塾通いでも志望校合格は可能です。やっぱり帰国枠受験はオイシイということです。反面、有名難関校における一般受験は、上記のような「しのぎを削る世界」が繰り広げられているということです。小6から塾に通い始めた生徒がいないという事実。これを、どう感じますか?
 オイシイ帰国枠での受験を考えているとしても、考えておくべきことがあります。希望する学校が国際学級などの帰国生の閉鎖クラスであれば、問題は少ないでしょう。しかし、帰国枠を設けている多くの学校では、一般受験で入学した生徒と机を並べるわけです。理科も社会も勉強してきた、国語と算数はずば抜けた実力を持つ生徒と互していかなければならないわけです。英語がちょっとできるから、だけで対等といえますか?足を引っ張る強化のほうが多くて、居心地の良い学校生活が送れると考えられますか?ちょっと考えてみたら大変なことだと想像できるでしょう?私たちがずっと「中学に進学してからのことも考えて準備せよ」と話してきたのはこのためです。帰国枠受験のメリットが大きい中学受験であっても、落とし穴はあちらこちらにあるわけです。DC地域にありがちな「のーんびり」ということでは首都圏の中学受験は、例え帰国枠を使ったとしても茨の道となりがちなのです。ましてや帰国生救済システムの整っていない地方であれば、首都圏以上に選択肢は限られてしまい、首都圏に帰る生徒以上にやることが決まっているわけです。こうしたことは、再三お話ししてきました。(バックナンバー参照のこと)  
 さてさて。塾替えは31%の人が経験しています。小4までは公文教室だったとか、家の近所の個人塾だったりすることが多く見られます。逆に最近では、小4で大手の塾に通っていたのが、自分にあわないということを理由に、近所の小さな塾に変えるというケースもあります。
 海外の場合、塾といっても皆、個人塾のようなものです。(enaであっても、各校舎は個人塾のように地域密着型の校舎として展開しています)日本に完全帰国してからが、大手にするか小さな塾にするか、悩むところです。中学受験における帰国枠受験指導ができる塾は限られています。帰る地域に帰国枠受験指対応の塾がない場合は、情報収集から何からすべてをこなしていかなければなりません。相談する先も限られています。現実を知らないお役所関係のサービスは、大丈夫ですよと軽く言います。志望校によって準備すべきことは全く違うのに、です。また進学を希望する学校に直接相談しても「大丈夫ですよ」と軽くいわれることがあります。これも怖い一言です。鵜呑みにしてはいけません。きちんと準備しておくべきです。入試は競争です。競争相手が自分以上のものを持っているとすれば、持っていない自分は不合格になってしまうわけです。おっと、またアンケートから逸れてしまいました。軌道修正しましょう。
 塾通いを成功させるコツを聞いてみました。まず圧倒的に多かったのは「ライバルといえる友達を作る」ことでした。その他には「塾の先生と仲良くなる」「なるべく近い塾にして、しょっちゅう通う」「母に美味しいお弁当を作ってもらう」などがありました。  
 家庭教師を利用した人は7%しかいませんでした。海外において「英語を見てもらうため」の家庭教師とは違います。あくまでも受験のための家庭教師です。具体的には塾と併用し、例えば塾の勉強のフォローをしてもらったりしています。  
 1週間の通塾回数の平均と、1日あたりの家庭学習時間の平均を調べてみました。

    小3の場合 週に2.1回 家庭学習時間は1日あたり1時間20分
    小4の場合 週に2.8回 家庭学習時間は1日あたり1時間54分
    小5の場合 週に3.6回 家庭学習時間は1日あたり2時間30分
    小6の場合 週に4.2回 家庭学習時間は1日あたり3時間25分  

 もちろん、受験間際になれば「家庭学習時間?ずっとだよ」という声も入っているようで。。。海外となると現地校とのバランスを見なければなりません。お稽古ごとも絡みます。日本の勉強を、毎日2時間するということは人によっては難しいかも知れません。週末に、まとめてやっつけるというのが現実なのかも知れません。ただ、日本にいる小5以上の受験生は、毎日ここまでやっているんだという、一部の事実も認識しておく必要があります。オイシイ帰国枠ではありますが、楽とは言えません。安直な考えは捨てたいものです。
 「もう一度受験するとしたら何年生から塾に通いますか」と聞いてみました。一番多かったのは「小3から」という人でした。29%でした。次いで「5年生から」が24%、「4年生から」が17%でした。実際に、自分が塾に通い始めた時期よりも「早く始めれば良かった」と解答した生徒が26%もいました。まだまだやり残した感があるのでしょうか。これに対して「塾には通わない」と答えた人は12%、「受験はしたくない」という答えも3%ありました。  

☆悩み事はお祝いで解消?リッチマン?!☆  

 中学受験をする!と決めた時期はおおむね塾に行き始めた時期と一致していました。受験する理由としては「高校受験をしたくないから」「公立中学校では進学も学校生活も不安だから」「大学受験や将来のことを考えて」というのがベスト3です。  
 受験というと何かと悩むことが多そうですが、実際は28%の人が「悩まなかった」といっています。悩んだ人に聞いてみると、悩んだ時期は6年生に集中しています。理由は成績のことが中心でした。海外の場合は日本の生活のこと、それに適応できるかの不安という悩みも見られます。  
 役に立った受験情報は、ほとんど全員が「塾からの情報」と「学校説明会でもらった情報」とをあげていました。市販の受験情報誌などはあまり参考にしていないようです。インターネット上での情報もありますが、やはり限界があるようです。情報源が限られている海外に住むものとしては頭の痛いところです。通えるところに塾があればよいのでしょうけれど。。。  
 受験が終わって一番やりたいことを聞いてみました。遊ぶことに関してが一番多く、「ファミコン」などのゲーム系が70%を占めます。ごく少数に「ゆっくり寝る」というのがありました。  
 合格したら何かお祝いしてもらうと約束していた人は77%。辛い受験勉強も、ご褒美があるとがんばれるようです。その約束とは「旅行」が一番多く55%にのぼりました。行き先はヨーロッパなどの海外旅行が目立ちました。  
 さてさて、ここで気になる受験生のお財布の中。なんと、お小遣いをもらっていない人が、各学年とも30%前後いました。参考書や問題集はいつでも買ってもらえるので、自分のためのお小遣いは必要ないというわけです。平均金額は次のようになりました。

    小4 平均額 662円 最高額2000円 最低額 300円
    小5 平均額 900円 最高額3000円 最低額 500円
    小6 平均額1165円 最高額3000円 最低額 500円

 4年生で400円、5年生で500円、6年生で600円というような段階で値上げしてもらっている人が、全体の15%もいました。
 受験生のお母さんの職業を尋ねてみました。専業主婦が全体の84%を占めました。公務員が4%、教師3%、パート他などが9%でした。働くお母さんは意外に少ないという事実です。親の受験といわれる中学受験ですから、働くお母さんには厳しい現実があるのかも知れません。  

■高校入試編■

アンケートは「慶應志木高」「開成高」「中大付属高」「日本女子大付属高」「青山学院高等部」「桐蔭学園高」「千葉県立千葉高」「埼玉県立浦和高」で実施しました。男子58人、女子38人、計96人からの回答がありました。  

☆しっかりしてくる目的意識☆  

 全体の98%の人が塾に通っています。しかも、そのうちの31%の人が、中学に入る前の小5・小6で塾通いを始めています。中学受験経験者の数が相当増えている証拠です。リベンジ組ともいわれます。中学校に入ってから塾に通い始めた人は98%のなかでの54%です。もし、志望校が地域の3番手ぐらいの学校であれば、もっと遅くから始める人もいるのでしょう。しかし、アンケートを実施したような難関高校であれば、特に私立上位校であれば早めの準備が不可欠です。入試問題(過去問)を見れば、その意味は分かります。  
 塾替えをした人はあまり多くありません。16%しかいませんでした。この数字は小学生の半分です。中学生ともなると「担任との相性」などと悠長なことはいっていられないということなのでしょうか。こつこつやるしか方法はないということです。  
 塾通いを成功させるコツを聞いてみると「休まない」が第一位でした。休めば分からないところが増えます。最近の塾では休んだ場合の補習サービスも充実してきてはいるようですが、それでも限界があります。学校は休んでも塾は休まなかったという人もいました。また「目的意識を持つ」ということも上位にあげられています。高校受験ともなると「本人の意思」が中心となります。親の受験ではありません。志望校に対しての熱い思いがあると、それだけ合格も近づくという当たり前のことが言えます。  
 毎日の家庭学習時間を調べてみました。

    中1 毎日の家庭学習時間=1時間12分
    中2 毎日の家庭学習時間=1時間40分
    中3 毎日の家庭学習時間=3時間25分

 小学生と比べると、あまり多くないように見えます。しかし、中3になると過半数の人が「週に4回以上塾に通っている」となります。中学受験と比較すると、高校受験は中3からの「追い込み型」といえる面があるのかも知れません。  
 「もう一度受験するとしたら何年生から塾に通うか」に対しては「中1から通う」が34%で最も多く、意外と「塾には通わない」という答えが24%もありました。  

☆志望校は成績次第?入試制度はワカラン!?☆  

 志望校を決めた時期は中3の9月から12月が一番多くて45%でした。海外でも例えば全日制日本人学校などで進路面談が始まるのも、この時期です。一番早い人で小5の9月に決めたという人もいました。  
 決定の理由は「校風があっていると思った」「親や塾の先生に勧められた」「自分の学力に見合っていると思った」がベスト3でした。平成不況を反映してか「納入金が安いから」という理由をあげた人もいました。  
 受験に悩んだ時期は、やはり中3の時が一番多いようです。「成績について悩んだ」「実力について考え込んだ」がほとんどですが、中には「プレッシャーに悩んだ」「友人が推薦試験に合格したので、焦った」というのもありました。  
 役に立った情報源は「塾からの情報」が群を抜いています。その他として「友達からの情報」「市販の書籍」「受験雑誌」など。これらを駆使してもわかりにくかったのが実質倍率や合格最低点などの「入試情報」「実際の高校生活の様子」「併願や推薦の基準数値」など。インターネットの掲示板で情報収集するとしても、限界がありそうです。一時帰国を利用して学校見学をしておくことを強くお勧めします。  
 合格のお祝いを約束していた人は全体の66%。パソコンや洋服など「何かを買ってもらうと約束した人」が、そのうちの56%を占めます。「旅行」を約束しても、そのうちの多くは家族旅行ではなく、友達と旅行に行くことを約束してもらったりとか。やはり高校受験と中学受験とでは違いがありますね。  
 中学時代のお小遣いの平均額を調べてみました。

    中1 平均金額(月額)1414円 最高額5000円 最低額500円
    中2 平均金額(月額)1947円 最高額5000円 最低額700円
    中3 平均金額(月額)2709円 最高額5000円 最低額900円

 お小遣いをもらっていないという人も、全体の10%いました。  

 最後に後輩への一言アドバイスです。  

●偏差値で選ぶより、自分のいきたい学校、この学校ならやっていけると思える学校を選ぶべき。

●試験場では、まずトイレを探そう。

●受験当日の朝は、ご飯をゆっくり食べる。そしてガムを噛みながらいくと頭がよく働くそうな。

●努力あるのみ。

●合格発表で自分の番号を見たときは、身体が浮き上がるような喜びでした。みんなも頑張ってください。

●プレステは我慢しても漫画は読むとか、何か一つは残しておく。

●中1と中2の基本知識の習得が大切。中3の追い込み時期に実感しました。

●3日以上連続で筆記試験を受けるのは、よほど体力・気力に自身がないと厳しい。

●英字新聞を持っていって、試験前に読んでいると周りがビビる。

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