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2010年08月号 「キター」

■いよいよ始まります

 キタキタキタ!キター!何が来たかって、現地校が始まる9月が目の前ってことです。STAPLESとか、バックtoスクールセールが始まりましたもんね。町中、新学期に備えて!みたいな雰囲気むんむんです。6月から始まった夏休みも終わりに近づき、考えることも色々、ってかんじかな?

 日本と違って、アメリカの新学期は9月。ピカピカの1年生もいるだろうし、どんどん難しくなってきた高学年生もいるでしょうね。さてさて、そこで問題です。課題です。『日本の勉強、大丈夫?」ってことです。毎度毎度、おなじみですけどね。  

■勘違いしないでね

 私たちが煽っているといわれたり、厳しいといわれるのは、当然です。アメリカの教育方針と違うから。だって、enaの玄関を入ると、そこは日本なんだもん。日本に帰るならば、日本の勉強の仕組みを理解しておかないとダメでしょう?よく「現地校の勉強をしっかりやっておけば、受験なんて突破できる!」って勘違いしている人がいるんです。でも、それは間違い。学校側にたって、考えてみてください。授業についていけない生徒を欲しいと思います?「ニホンゴ、ヨクワカラナイ」という生徒は、厳しい言い方をすれば学校にとっては「お荷物」なんです。「救済校」といわれる学校であれば、そういった生徒を助けるために、奮闘努力してくださいます。そのための設備、職員をしっかり整えて、対応してくださいます。でも、皆さんの望んでいる学校は、そういう学校ではないんでしょう?某有名難関私立校だったりするんでしょう?そういう学校って、やっぱり、お荷物は欲しくないんです。現地校で「ずば抜けた」英語の力を身につけて、更に日本の学校でも遜色ない「日本の勉強の知識」をも備えて。。。そんな生徒を欲しているわけ。要するに「優秀な生徒」が欲しいんです。優秀な生徒は、何処に行っても、何をやらせても、キッチリした成績をおさめているから、です。

 あなたは、優秀な生徒ですか?それとも、それなりの生徒?某帰国子女教育に歴史のある学校の先生が「DCからの生徒は在米期間が比較的短いので英語の力が他地域の生徒と比較して劣っていることがままある」とおっしゃっていました。その事実を、どう考えますか?

 かといって、私たちは「現地校なんか、どうでもいいじゃん」とは言いません。言っていません。このことは、日本国内であっても同じ事。「学校なんて、どうでもいいじゃん」と指導する塾に、まともな塾はありません。学校は学校。塾は塾。けじめをつけ、やるべきことをきちんとやる。それを、もっともっと、見つめて欲しいと言っているだけなのです。もっと具体的に言いましょう。「現地校が忙しかったから、宿題出来ませんでした」などという言い訳をする生徒が、ダメだといっているわけです。日本国内で頑張っている生徒は、部活もやります。生徒会もやります。体育祭の練習もあるし、当然、学校の宿題もある。「今日は学校行事が忙しいので、塾は休みます」と年がら年中言っている生徒で、優秀な生徒を見たことがありません。上位クラスの生徒は、学校生活の多忙をかいくぐって、塾を休まず、宿題と奮闘します。

 繰り返します。勘違いしないでください。私たちは現地校を否定していません。中途半端な状態を否定しているだけです。結果的に、中途半端に手を出して、どれもがいい加減になっている生徒が見られます。それは、人間形成においても、受験においても、良くないことだといっているだけです。

 さあ、あなたは、何を見つめますか?  

■英語のこと

 この夏、始めての海外赴任!というご家庭は、ここしばらくはドタバタが続くはずです。生活の立ち上げ、現地校に慣れるまで、子どもによっては半年から1年も係ったりする。で、多くのご家庭が思われているのが「せっかくアメリカに来たのだから、英語の力は身につけて帰りたい」ということ。では、今回は、そこに目を向けてみましょう。

 最初は戸惑いながらの現地校生活が、なんとか軌道に乗ってきたとします。英語にも自信が持てるようになった。うれしい!アメリカ人と意志の疎通が図れる!現地校の宿題もひとりでできるようになった!

 だいたい、そのあたりで2つに分かれていきます。「日本の学校英語」の扱い方が、です。1つは、これまでよく話題にしてきた「こんないいかた、現地校ではしない!」と拒絶反応をしていくパターン。もう1つは「なるほどね」「自分の英語、まだまだなんだなあ」と貪欲に、片っ端から吸収していくパターン。後者の場合、いろんなところで「成績の上昇カーブ」が見られます。何しろ、興味津々な訳ですから、それが日本の学校英文法(受験英語)であろうが、生活英語であろうが、「ふーん、そうなんだあ」と素直に覚えていこうとするわけです。この生徒は、強いです。帰国枠入試における「求められている英語の力」とは、こういう生徒達が持っている学力です。読み・書き・話し・聞くという4つの力がきちんと機能している力、とでもいいましょうか。決して「話す・聞く」だけの力ではないわけです。前者の「拒絶する」ケースでは、これまでもお話ししてきたとおり、受験では評価されないことが多く、英語が好きであっても、満点は取れません。最悪の場合、平均点未満で終わることもあります。学校によっては「英文法」を大量に出題することもあり、そうなるとケチョンケチョンになることもあります。

 ここで、ちょっと視点を変えてみましょう。こうしたことを書くと「だから、日本人の場合、文法は強くて会話が弱いといわれるから、それを克服するために、現地校重視でやってきているんだ」という声を聞きます。ここには、落とし穴があります。  

■エデュケイテエッド イングリッシュ

 私は母国語が日本語なので、日本語で考えています。日本語であれば、敬語と流行語の違いは分かります。もし英語が母国語の方であれば、同じ事が英語でもいえるとおわかりになりますね。

 何が言いたいのか?「英語には敬語が存在しない」なんていうことを本気で思っているのであれば、既に負け、です。受験でも出されるくらいの知識が無いのですから。目上の人には使ってはいけない言葉がある。そういうことです。では、現地校で学んでいる「英語」が、いわゆる「きちんとした英語」であるならば、受験英語にも応用できているはずなのです。ところが「拒絶反応」する。それは、たいがい、ESLなどで学んでいる「生活英語」だからです。文語と口語の違いが分からない。そういう生徒は読めるものと読めないものが区別されてしまう。年齢以上の、教養のある、きちんとした英語を使える人だけが読めるもの。そういうものもあるのだと知っているか、ということです。読めれば良いということではないわけです。

 そうなると、実は学校英文法を「がちがち」に勉強した人にメリットも出てくるのです。例えば前置詞です。onとatで使い方が違う。意味が変わるなどということを知っていれば、会話でも、本を読んでいるときでも、もちろん入試問題を解いているときでも変わってしまうことがあるはずです。fewとa fewの違い。これも大きな違い。受験では当然の知識。でも生活英語に使いこなされていないなら、その英語力は中途半端ともいえるわけです。  

■おもしろいことと必要なこと

 言葉でも、数学でも、体育でも、どの科目でも良いです。「おもしろい」と感じることだけを勉強したら、どうなるでしょうか?アメリカ人の犬に対するイメージカラーは「白」だけど、日本人は「茶」なんだねえ。おもしろい。日本では添削で「赤」ペンをいれられるけど、アメリカでは「青」ペンなんだねえ。おもしろい。興味を持つことは大事なことでしょうけれど、それだけでは、前に進まないことが多いのです。「ゆとり教育」で、日本はどうなりましたか?その前の時代、今のお父さん・お母さんの、ちょっと前の時代(。。。って、私の時代なんでしょうけど)であれば、1000本ノック当然の時代です。今の子ども達からすると、意味のないと言われてしまうことを沢山させられました。漢詩を暗記させられました。平方根を暗記しました。ドリルを死ぬほどやらされました。写経じゃないけれど、書写なんてことも沢山させられました。それらは、実は見えないところで土台になっています。でも、今の子ども達には、それらがありません。だからノートのとり方も知らない。授業の受け方も知らない。おもしろいこと『だけ』に耳を傾け、面倒なことからは逃げる。これでは、世界に誇った日本の教育水準は落ちる一方です。

 現地校が忙しいから日本の勉強は二の次にする。日本の学校英語はヘンだから、学ぶことがない。そういう後ろ向きな態度を止めさせましょうよ、といいたいわけです。日本に帰るのであれば、日本にいる同級生と同じものは持っているべき。そして貴重な海外生活体験を「加える」べきではないでしょうか。生活体験『だけ』になってしまわないように、「必要なこと」をきちんと、身につけさせて欲しいと思うわけです。  

■刺激、きっかけ、見据えるもの

 知的好奇心は必要です。もし、渡米によって英語に興味を持ち、もっともっと勉強したいという気持ちが芽生えてきているのであれば、勉強すれば良いだけです。色々な方法があります。色々な視点があります。先に述べたように、受験英語から入るのも方法でしょう。ESLからでも良いでしょう。アメリカの本屋さんで入手できる「問題集」からでも良いし、日本人の家庭教師から習っても良い。それらが「刺激」となり、自ら学んでいこうと動いていくのであれば。

 そう、ここが大事なのです。いつまでたっても「受け身」であれば、何にしても限界は低いのです。受験勉強でも同じ。質問に来る。でも、実証はしない。教わって、聞いたつもりで、分かったつもりで、おもしろかったなあと思ったつもりで、5秒後には全ての記憶から消去されている。これでは、いくら「おもしろい」と興味を持っても、血肉にはなりません。受験にも使えない。学問としても成立していない。エンターテイメントだけ。それでは意味はないんです。  

■いきまーす!

 入試に出る勉強をする。編入試験に備える。模擬試験で良い点数を取る。これは1つの、そして大事なモチベーションを保つ方策です。「現地校を頑張る」などという「ぼわん」とした「勉強する意味」では、特に学年が小さい子どもほど「???」となります。中学生でも「はあ?」となります。それであれば、「日本にいる○○ちゃんと同じ事をやっておかないと」「帰国時期は分からないけど、受験準備はしておかなきゃ」としたほうが、子ども達にも「具体的に」分かります。ここで先ほどから書いているように、「今日は忙しいから、これはやらなくてよい」などと、「勝手な」判断をしていないか考えてみましょう。「これは、もうできることだから、練習しなくて良い」なんていう態度を子ども自身がとったら。。。怖いです。ドリルの存在、なくなりますよ。そういう子どもに鍵って、練習不足から計算ミスとか、漢字のトメ・ハネなどのミスをするんです。

 新学期を迎えます。どうぞどうぞ、お子さんの好奇心をいつまでも深める種まきを怠りなく。英語の話の続きですが、冠詞や前置詞の使い方で意味が違ったりすることだけではなく、例えば受験でおなじみの「関係代名詞の制限用法と非制限用法」などもありますね。また受験では同じとされているhave to と mustの違い。1ワードのeverydayと2ワードのevery dayの違い。これらは辞書を「読む」と分かることなのですが、電子辞書で「見る」だけの習慣しか身に付いていない子どもには、素通りしてしまうことです。言語の習得方法には諸説あるし、個人差も大きい。英語を学ぶには、「この方法!」というものが存在しないので、受験のみ成らず、多くの人々が苦労して身につけています。それを好奇心だけで「なんとなく、感覚で♪」などというたわけたことを抜かすふとどきものは、滝に打たれて根性を入れ直し、しーーーーっかり勉強させた方がよいのです。(笑・冗談です。そのくらいの気持ちで、ということです。念のため)その子どもは、英語だけではありません。他の勉強も「なんとなく」で終わらせているからです。出来るだけ早く、対処しましょう。

 塾の新学期は2月でしたから、既に半年が過ぎています。どの学年においても内容が難しくなる後期。そして現地校も新しい学年になる。勝負です。特に日本でいうと小5の君!中2の君!ここでライバル達と差がついてしまったら、取り返すことは非常に厳しくなるんだよ。中学受験をしないからといって、漢字が書けなくて良いわけじゃない。高校受験をしないからといって、品詞分解が出来なくて良いはずがない。

 がんばりましょうよ。がんばってみましょうよ。勉強って、悪いものじゃないはずです。頑張る事って、悪い事じゃないはずです。

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