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2009年1月号 「負けに『不思議な負け』は無し」

 

■こんなこと、ありませんか?■

 日本にいたときも塾に通っていた。有名な大手進学塾。1クラスは30人くらい。6クラスに分かれていて、下から2番目のクラス。3ケ月に一度、クラス替え試験があるけれど、一度も上位クラスに上がれず。塾の先生と面談をすると決まって「次こそ見ていてください」といわれたけど、一度も埒が明かず。試験で失敗したときは、本人ではなく塾の先生が「いつもはできるのにね」「今回はたまたま間違えちゃったんだよね」と言い訳してくれる。本人は、無表情。

 成績向上の兆しが見えないので、親の方が耐えかねて中堅塾に変えたところ、まあ、なんとか納得のいく毎日を過ごすようになった。で、第2希望ではあったけど受験突破。毎日楽しく学校に通っていた。「進学したら自分で勉強しようね」と約束していたので、受験が終わってからは塾に通っていなかった。その後、突然の海外赴任。ドタバタで渡米。渡米後は毎日が戦争。日本の勉強?そんな時間は微塵もなく、進学塾?ena?トンでもない!!!そんな余裕は全くありませんでした。補習校は行っていたけど、まあ、ねえ。ってかんじ。現実的には「日本の勉強は、離日以降、ストップ」という状態。初めての海外生活だったから、親も子も四苦八苦。「子供の勉強を見る=現地校の宿題を見る」ということだったし、週末は家族旅行やらパーティーやらで時間は無くなり。。。最近、やっと現地校生活が軌道に乗れたかなと思うようになり、それじゃあ、っていうのでenaの「学力判定試験」を受けて見た。そして。。。ある程度は予想していたことではあったが、その成績の悪さにビックリ!!「目玉」は飛び出てどこかに転がっていってしまいました。当該学年の学力なんて、まったくもって身に付いていない。(考えてみれば当たり前です。やっていなかったんだから)でも、受験はしたいし。。。希望が消えていきます。。。

 我が子、親の自分が言うのも変ですが、とにかくやることが遅い。何をやっても時間がかかりすぎ。字を書くにも、計算をするにも、ご飯を食べるのも、お着替えをするにも、とにかく遅い。そして、なんでもかんでも片っ端から忘れていきます。そのせいで、現地校への適応は、どれほど苦労したことか。。。覚えるのが遅いのに折角覚えたことをどんどん忘れていきます。全てのことは遅いのに、唯一、「忘れること」だけは早いのです。要領が良いお子さんを見ると涙が出そうになります。  

■犠牲者■

 さて、如何でしたか?『うちのこと、書いていません?!』と思われたご家庭があったりしますか?でも、一つ一つの内容は、これまでお話ししてきたことばかりです。例えば、塾や通信教育や、家庭教師などを使うなら「3ケ月は様子見てください」とお話ししています。その3ケ月で「勉強方法が改善していった」「模擬試験の成績が上がった」「机に向かう時間が増えた」などという「成果」があれば、その補助教育機関は我が家にとっては「あたり」。そんなことも、お話ししてきました。世間から評価されている塾が、我が子にも「あたり」になるとは限りません。ましてや海外生活という特殊な環境、さらに海外にある「日本の進学塾」などという特殊なものを利用するなら、「他の人と同じようにすること」が成功への秘訣とは言い切れません。そういうことも、お話ししてきました。

 何度もお話ししていることではありますが、勘違いして頂きたくないことがあります。『家庭学習は何もせず、親も協力せず、塾の指導を無視して、これまでと同じスタイルでの勉強を続けて、ただ時間的に3カ月が経過しただけの状態』において「成績が上がらない!」となっても、それは「お話しにならない」ということ。子供が犠牲者になっているだけのことです。でも、実は意外に多いのです。中には「家庭教師」「通信教育」「補習校」「ena」「個人塾」などなど、DCエリアで考えられるありとあらゆる方法を試されたご家庭もありました。試すのは良いのだけれど、上記の通り、結局は「我が家のやり方」を通すものだから、成績向上には全くもって効果無し。  

■責任の在処■

 こういうご家庭は、成績が上がらない理由がご家庭そのものにあるということを理解されていない、ということです。塾の先生にお願いする場合だって、ただ「お願いします」だけではなく、「家では必ずこれをやらせます」とお願いする一方で、家庭でやることもあわせて約束し実行するのが『筋』というものです。授業は聞かず、宿題もやらず、3ケ月通っても成果がない。だから「塾をやめさせていただきます!」と言えば、塾のほうでは、喜んで「どうぞ!」となります。「我が家は勉強方針が決まっていますので」といい、塾で進める方針を頭から否定する。言われたとおりにやらず「おとうさんが、やらなくて良いといったから。。。」となっていけば、当然効果は現れないに決まっています。そこまで押し通すなら、塾に通う意味など無いでしょう?お父さん先生の力で、十分成績向上が狙えるはずです。

 3ケ月という期間、塾でも家庭でも精一杯やってみて、まったく効果も成果もなければ、塾や家庭での勉強のやり方のどちらかか、もしくは両方が子供には合っていないということです。あっていないのに通塾させるということは、子供にとっては「苦行」です。苦行を強いて、子供が潰れてしまったら、また「犠牲者」を作り出してしまったことになります。これ以上犠牲者を増やさないためにも、その勉強方法、即ち、『子供の成績向上にあわない補助教育機関』の利用は即刻中止すべきです。塾に通いさえすりゃあ良い!では無いのです。何度もお話ししているように、各ご家庭での進路設計が「始めにありき」です。そこに塾の必要性があるか否か、なのです。  

■理想と現実のギャップ■

 「補習校では物足りないから」「日本人として、最低限のレベルは身につけさせたいから」というような発想。ついていくことができる子供であれば良いのです。要領の良い子供であれば、何も言いません。でも、違うでしょ?実例として、同じ学習単元内容において、補習校のやり方と現地校のやり方と親のやり方の3つが全く違う方法を押しつけられている子供が居ます。旨く切替が出来れば良い。でも、できない。よくよく話を聞いてみると混乱真っ最中。でも、それぞれのところでは、その指示通りにやらないと怒られる。不安で不安で仕方がない。最後には「もう、何も分からない」と涙する子供もいるのです。まさに「犠牲者」です。親の身勝手な判断で、こういう子供を生み出してしまっているわけです。もっともっと、子供を見つめる必要があったのです。

 我が家の進路設計に、必要なもの・不要なものを見極める必要があるのです。「とりあえず」「enaの指導を受けておけば安心」「子供の進路に日本の受験勉強は不要だけど、親の受けた教育を子供にも受けさせたいから、だったらレベルの高いものを。。。」などという「安易な発想」「親の見栄」「身勝手な浪漫」を安易に子供に押しつけてしまうことが多々見られます。子供が耐えられる子供であれば良い。要領の良い子供であれば何とかなる。でも、圧倒的に、耐えられない子供が多い。さらには、子供の悲鳴に気が付いていない親も多い。授業の後、子供達がボソっと私たちに漏らす声。「お母さんに教わりたくない」「現地校の勉強も分からなくなってきた」などなど。それでも、逃げられない。逃げ出したいのに逃げられない。廊下に親の姿を見るとびくつく子供。疲れ切って、目が死んでいる子供。もう、こんな子供達を見るのはたくさんです。  

■原因と結果■

 有名大手塾から中堅塾に変わり、「塾の先生の多大な努力によって第2希望の中学」に合格。結果的にいえば、転塾して正解でした。しかし、それからがうまく行っていない。それは当然といえば当然です。なぜか?それは、『何も学んでいない』から、です。子供が、ではありません。『親が』、です。

 転塾して、うまくいった。第1志望は無理だったけど、子供が喜んで学校に行った。でも、その時点で親は「世間で言われている塾替えの必要性は本当だった!」「あの塾は子供に合っていなかったのね!」程度の認識で終わってしまっている。受験で、運良く、面倒見のよい塾の先生に出会い、合格した。それで終了。受験勉強をすることで、勉強方法が身に付き、自学自習が出来るように育っていたら、心配はしていないでしょう。でも、渡米して、時間が出来て、少し取り戻そうと勉強を始めようとしたとき、何をしたらよいのか分からない。もともと「覚えることがスローだ」ということであれば、尚更。受験が終わって「進学したら、その後は自分で勉強しろ」だけでは、良い状況になるはずがありません。

 目の前で起こっている出来事の1つ1つから何かを学び、親自身がノウハウを蓄積していくことが大事です。これこそ、確実に成績を上げるための「技」です。

 なぜ大手有名塾はダメだったのか。中堅塾のやり方の中で、我が子にあっていた方法は何だったのか。学校に通い始めて、塾でやっていたことを自分の力だけで続けられたのか。そういうことがなければ、例えば「お受験」での失敗は「中学受験」で再発し、「中学受験」での失敗は「高校受験」で、「高校受験」での失敗は「大学受験」で再発するのです。反省し、改めていかなければ、必ず同じミスを繰り返します。失敗の根本的な原因を突き止め、それを駆除していかなければ、再び感染するのは必至です。ビジネスの世界で戦っているお父様であれば、こんなことは当然のことと思われることでしょう。お子さんについても、全く同じです。

 反省がないと、どうなるのか。簡単。『出たとこ勝負』『運まかせ』になります。一つずつ、科学的に考えて行けば、答えは自ずと出ます。

 『中学受験は納得した結果にはなった』『中堅塾に変えたから』『面倒見の良い塾に通えば、何とかなるものだ』『受験が終わったから、あとは自分で勉強しよう』『・・・ここが肝心・・・』『あら、海外赴任』『忙しい』『生活立ち上げが優先』『そのために、ここまでの勉強方法は、一時中断』『さて塾にでも行かせてみようか』。。。玉砕。。。

 上記の「・・・ここが肝心・・・」のところに注目です。このときの親は「面倒見のよい塾(先生)であれば、良い結果が出る」としか考えていません。大事なことに目を向けていないのです。それは「子供は、自学自習できる状態には達していなかった」「1人で勉強する姿勢が出来ていなかった」「一人で勉強するだけでは良い結果を出せるレベルには達していなかった」ということです。それなのに、受験が終わったからといって「自学自習しなさい」と放置してしまった。となれば、目の玉が転がり落ちても特に不思議はありません。必然です。現状を打破したいのなら、自学自習が出来る状態に仕立てる必要があります。それにはちゃんとしたサポートをしてやることが必要です。コーチングをし、自学自習が出来るようになったことを見届けて、放任すべきです。そのサポート役が塾なのか、親なのかは、状況から決めれば良いことです。アメリカに来てしまって、現地校の勉強のフォロー(=日本ではあり得なかった、学校の勉強のフォローです!!)もしてもらった子供が、つまりは、これまでの勉強方法の全てを「受け身」で過ごしてきた子供にいきなり「自習自学をせい!」といったところで、無意味だと思いませんか?  

■リベンジへの道■

 1つの出来事から何を学ぶか。大事なことです。受験という出来事から学んだもの。塾替えから学んだもの。家庭学習方法を変えてみて学んだもの。子供自身が気が付いたこともあるでしょう。親であれば、子供以上に色々と気づくチャンスがあったはずです。この子は、こんな先生だったら頑張るとか、こんな指導方針が合っているとか。よく思い出して考えてみて下さい。そういう「反省し、改める心を持つべし」ということなくして、進化はあり得ません。

 考えた結果のノウハウの蓄積があれば、そのうまくいった環境を揃えてやれる。それこそが、子供の周りにいる大人の役目です。先人の務めです。野球人の「野村克也」さんの言葉に次のような言葉があります。『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。』偶然が見方をしてくれて、逆転勝ちすることがあります。実力以上の力を発揮することが出来て、たまたま合格したということが実際にあります。そのことを「運も実力のうち」と本気に思いこみ、自分の力で勝てたのだと錯覚すると、次は酷い目にあうのです。「うちの子は、叱りすぎると余計に酷くなるから。。。」と反省もなく、改善もせず、同じ過ちを繰り返すのであれば、間違いなく失敗します。結果オーライばっかり。成功することを「待ち受け」るだけでは、子供の成長もありません。受験における副産物である「勉強方法が分かった」「諦めないことが大事だと分かった」などという経験は、逆立ちしても経験できません。成績が良い子供の親になるためには、子供をもっともっと、戒めなければならないということです。それ以上に、ご自分を戒めなければならないということです。これこそ、受験は「根性論だ」といわれる所以です。

 「目玉が飛び出す成績の悪さ」すなわち「負け」に不思議の負けはないのです。負けるべくして、負けたのです。その事実から逃げてはいけません。もし、これを読んでいるアナタのお子さんが小5未満の小学生であったり、中1生であるならば、今ならば、少しの労力でペースを取り返すことができます。まずは、それを誰にやってもらうのか、考えてみましょう。お父さん先生・お母さん先生の登場ですか?補習校に頼りますか?家庭教師?通信教育?個人塾?それとも現地校のことにも帰国枠受験のことにも精通して、圧倒的な情報量を誇るenaを利用してみますか?その決断からスタートですね。

 今年も、海外で頑張る受験生を応援します。世界中で頑張る君たちを応援する塾。それがenaです。

 

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