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2008年3月号 「斬り!」

■ご指摘を受けて、復活。。。■

 「最近、毒がないんじゃないのぉ」と、あるご家庭からご指摘を受けました。「まえはガンガン煽ってくれたのに、最近は大人しいんだもの。ちょっとしらけちゃうよ」とのこと。あらぁ、やられました。そうですか。そうですね。たしかに、ここのところ「当たり障りのない話題」ばかりが中心でした。「毒のある読み物」からは逃げていたといっても良いでしょうね。とうぜんこれには理由があります。

 自分の子供が現地校に通い始め、それを通して生徒達の「大変だあ」という気持ちが何となく感じてきたのが理由の一つなのかも知れません。また、こんなこともあります。ご家庭の「価値観」が多様化してきたことを感じ始めたということ。これも理由の一つ。「受験だけが人生じゃない」と言い切るご家庭も増えてきましたもの。このこと、中学受験においては顕著です。例えば帰国枠で有名だった某A中学とか某B中学とか、斜陽ですもの。(失礼!)受験生が激減。日本だったら偏差値60を下らない難関校だというのに、帰国枠受験希望者は減る一方。ご家庭の「どうせ優遇措置を使うなら」って気持ちの表れで、某C中学ぐらいにしか、受験者が集まらないのです。中学受験で「勝ち組」になっているのは「BIG4」といわれる学校しかありません。「一般受験」をされるご家庭も増えました。帰国枠を、滑り止め程度にしか使わないんです。かつては滅多にありませんでしたよ。あったとしても、そういうご家庭は「日本を出たときから日本を向いて」というご家庭でした。でも、これまた様子が違ってきました。現地校生活を楽しみながら、お稽古ごとをしながら、日本の勉強も「それなりに」しながら、御三家の受験をしちゃう。そういうご家庭も存在し始めています。

 高校受験は昔から帰国枠の優遇措置がない受験。それを知っていても「無理はさせない」という方針のご家庭が増えた。現地校の成績が抜群と言うことではない。でもオーケストラをやったり、スポーツをやったりで「楽しんでいる」ようす。日本の受験は「時期が来たら考えれば良いか」というかんじ。中学受験にしても高校受験にしても、ご家庭の根底にあるのは、「まあ、受かるときは受かるし」「受かっている人もいるし」ってことなのかしら。。。

 では、ここで質問。はい、「毒」の復活です。有名難関校に受かるってことは、どのご家庭にもありえる「普通」のことなんですかねぇ。

 さてさて、では参りますよ。  

■補習校の宿題も終えられない君に■

 補習校の先生は大変です。普段は他のお仕事をされていて、その合間を縫って授業の準備をされています。そして土曜日という限られた時間内で、あの教科書を使って授業される。しかも日本の学校なら週に3〜5時間あてられるものを、土曜日にちょこっとやるだけ。さらに永住希望の子供やハーフの子供や受験希望の子供まで交ざった「学力差が極端にあるクラス」を担当します。その上、進路指導をして!とせがまれたら必死に調べものをしたりします。専門じゃあないのに、本当に大変そう。

 私たち塾も年間40回の授業ですし、1回の授業時間は50分から90分が普通ですから、同じように見えるかも知れません。でも塾は「入塾試験」などを実施して、クラス内の学力差を無くすようにしています。また、塾であれば生徒達・ご家庭は「日本への進学をご希望するご家庭」であり、永住のご家庭・ハーフのご家庭はありえません。ご家庭が「受験屋が必要か」をお聞きし、塾が「受験屋」であることを承知して頂いた上で、入塾していただくわけです。そうなると、授業進行も格段に違います。日本語サロンじゃないし、託児所ではないですからね。宿題の出し方も、ただ乱発するわけでもないし、近年の受験事情を考えた上での指導もします。例えば「あいさつ」の下手な生徒は指導対象。特に女子であれば。最近、面接などで五月蠅くなってきていますからね。

 さて。学校の教科書と志望校の過去問、見比べてみたことはありますか?学校の教科書と塾用の教材、見比べてみたこと、ありますか?かつて「教科書内容削減」のときに流行った言葉を借りるのならば、今の教科書は「ミニマムスタンダード」です。練習問題なんてありゃしない。今から30年前の教科書なら「勉強すべき事は、すべて教科書に書かれている」と言い切れたのですが、今の教科書では「何も載っていない」と言えちゃう。その教科書を元にした補習校の授業です。ミニマムスタンダードの授業です。「公立中学校と同じ事をしている」と勘違いしているご家庭・生徒もいるようですが、とんでもない。そこまでのレベルが維持できていれば、塾など海外に進出する必要は無いわけです。授業時間も少ない。そんな教科書レベルのことも勧めるのには苦労する。

 で、話を戻して、そんな補習校の宿題でさえフーフーいっているアナタ。ここまで読んで、どう思います?はい、そうです。少しは感じてくれました?進学する気なら、日本の学校に進学するつもりなら、その程度のレベルで泣いてんじゃねーぞ、ということ。

 「帰国枠」という言葉に酔っている輩が、まだ生息していたとは驚きです。これだけの情報網が発達した世の中で、何を見ても「誰にでも有名難関校に合格できるのではない」とあるのに「英語が出来れば合格できる」=「現地校の成績さえ上げれば有名難関校に合格保証」とすり替えがおきているんですから。考えても見てください。日本で偏差値65を下らない学校が、いくら英語が出来るからといって、数学と国語の偏差値が40未満の生徒を欲しがると思いますか?かつての帰国生に見られた「歯を食いしばって日本の勉強をした」「根性のある性格」「現地の人たちに負けず必死に勉強した」ということが無くなってしまった現代帰国生に、学校が何を期待するというのでしょう。

 もう一度、はっきりいいますね。「補習校の宿題程度でヒーヒーいっているヤツに、合格できる学校なんて無いよ」です。甘いです。甘い。  

■現実を直視してみましょうよ■

 例えば「行きたいなあ」と思う学校があるのなら、その学校の過去問を取り寄せてください。いまはアマゾンとかもあるし、NYには紀伊国屋もありますからね。入手は簡単です。そして受験学年ではないにせよ、みてみると良いです。お父さん、お母さんなら、「うちの子供が数年後、この問題に取り組めるのか」という視点で考えてください。特に国語や社会ですね。英語は「これ、答えどれだろうねえ」と聞いてみてください。明確な答えを言えれば、それで良し。それを「なんとなく、こういうよ」「現地校ではね、こういっているよ」「これはヘンだよ。このなかに答えはないよ」という「感覚」を全面に出した答え方をしたら、今すぐ受験勉強を始めさせて下さい。日本の受験勉強をしないと、取り返しのつかないことになります。日本の学校英文法を拒絶すれば、高校受験では不利に終わります。

 客観的な数字は一番納得がいきますよね。大手の塾が主催している模擬試験で「それなりの」成績が修められているのであれば、一安心。そうでないなら、今すぐ勉強開始。

 お帰りになる日本の地域を考えてみて下さい。その地域から通える学校を調べて下さい。受験した模擬試験に付録として着いている偏差値ランキング表を出して下さい。通える学校をランキング表にマークしていきます。いまつけたマークは、偏差値幾つから、幾つまでの範囲にありますか?加減の25〜上限の75まで、均等に存在するという地域であれば、安心して下さい。どんな成績であっても、学力に見合った学校が存在します。だいじょうぶ、というのは、ここまで見極めて初めて言えることです。

 ところが、あるライン以上にしか学校が存在しないとか、ある成績層に集まっているという場合、問題が発生します。お子さんが、その成績層に入っていなかったら。。。  

■理社は、どうすんのよ?■

 「とりあえず」。この言葉、私キライです。今は忙しいから、できることだけをするってことでしょう?でも、進学において「忙しいから後回しにして良いこと」って、何でしょう?理社は後回しにしても良いって、どう判断しての答えなのでしょうか?覚えることが好きで、本を眺めているだけでバンバン記憶しちゃう子供における話、というのであれば分かります。でも、そうじゃないですよね。たいてい「暗記が苦手」というお子さんでしょ。

 「日本語は、日本を出たときと同じレベルしか維持できない」って聞いたことはありませんか?英語も同じですけどね。日本に帰ったとたん出てこなくなるって。その英語年齢で止まってしまうって。で、その理論から言うと、理社の知識は日本を出たときのまま。それって、問題ではないでしょうか?アメリカにいるときも英語を入れるのと同時に日本語も理社も、もちろん数学も詰め込んでいけば良いのですが。。。

 それができちゃう生徒もいるんですねぇ。これが。そういう生徒がアメリカでも成績優秀・日本でも成績優秀だったりします。私たち、そういう優等生には何も申し上げることはありません。まさに、がんばれ!と応援するだけ。我々を使ってくださいとお願いするだけです。偏差値70を軽々取ってしまう生徒に、説教は不要ですもの。

 で、問題は英語も偏差値60そこそこ。数国は偏差値50いくか、いかないか。理社の知識は殆ど皆無。そういう状態にあるアナタのことが心配でたまらない。ああ、心配。とーーーーっても、心配。

 ちょっと考えてみましょうよ。仮に、英語だけはずば抜けていたとしますね。TOEFLもTOEICも英検も、自慢できるレベルを持っていたとします。当然現地校のESOLは、とっくに卒業。その上で、受験できる学校を考えてみてください。「英語の力があれば、他の教科の学力は関係ありません」と明記している学校をあげてください。仮に、そういう学校があったとします。合格したとします。進学後は?英語だけの授業?中学校では「英数国理社音美体技家」ですよね。高校に行けば、もっと細分化されます。そのなかの英語だけが自慢。他の教科は?一般受験で入ってきた生徒に比べて、ちょっと劣る程度なら挽回できるかも知れません。でも、隣の机のヤツは理社も偏差値60越えているのに、該当学年の3年下の知識さえままならない状況で、どうするのでしょう?

 「そんなの、学校が補習してくれるから!」といいますか?じゃあ、その学校は所謂「救済校」といわれる、成績が芳しくない生徒を受け入れてくれる学校ですか?違うでしょ?某有名難関大学付属の学校だったりするんでしょ。救済措置などあるはずありません。ましてや進学校といわれる学校であれば、尚更。

 だいたい受験の段階で、学力重視の学校は厳しい展開ですよ。高校入試だったら3教科のうち、1教科しか強みがないんでしょ。合格最低点にいかないでしょ。普通。3教科のうち、1教科足を引っ張るというのなら、まだ頑張れます。中学受験で「英語だけ」というなら話は別ですけどね。そういう受験をするなら、この話は無視。

 で、学力が必要な受験に対して、その基礎学力に欠ける生徒に対して、客観的な数字も測定せずに「頑張れば何とかなる」なんて甘い言葉で引き回しちゃう無責任な人間が存在します。その言葉で必死になれればまだしも、タラタラと勉強しただけで、受かろうと思っている受験生を生み出してしまうのだから、指導者にしても受験生にしても、「真面目な受験生」に失礼というものです。

 もう一度。「記述式が一般的になり、時事問題は常識になった現代受験事情。知りませんじゃあ通らないよ。インターネットのお陰で、地球は狭くなりました。日本の勉強は海外ではできませんでした、とでも言いますか?現地校に適応するまで日本の勉強は出来ませんでしたと面接で言い訳しますか?そんな前時代的な言い訳は嘲笑されて終わります。実力勝負の学校が増えている現実。やるべき事をやらなければ、無理ってものです。」と、ね。  

■だから、そろそろ始めましょ■

 いまの自分が、どのくらいの成績なのか。知っていた上で「現地校が!」というなら、まだ理解できます。それも知らずに、刹那主義で居るのは危険です。日本には帰るんでしょう?日本の学校に進学するんでしょう?某D大学が帰国枠を止めてしまったのは「帰国生の学力が低すぎるから」ということです。某E中学が帰国枠を止めたのも同じ。中学なのに成績不振者は留年させるこの学校。帰国生の留年率が年々上がっていたそうです。それで打ち切り。他にも2教科から4教科にした中学もあるし、出願資格を変えた高校もありますね。公立高校などは「何処を受けても良いよぉー」と好意的な言い方に聞こえる対応をしてくれる都道府県もありますが、裏を返せば「日本にいる受験生と何もかも同じだからねえ」というところも少なくありません。

 考えても見てください。海外から受験する生徒が無制限に多いのでしょうか?年々増加しているのですか?その少ない人数のために、入試問題を作ったり、願書を作ったりすることは、実は学校の負担だったりするのです。学校側の立場になってみれば、入試問題のレベルのことも、英語だけで合格できない事実も、納得はできるはずです。それを真っ向から「けしからん!」というのなら、現実逃避してください。この読み物もさっさと捨ててください。塾の言うことなんかいっさい聞かないでください。

 そうではない方。日本への進学に対して、一抹の不安をお持ちのご家庭。偏差値70を保たれていないお子さんを持つご家庭。(偏差値70もあれば、たいていの有名難関校は合格しますって)始めるのは、早い方が良いに決まっています。落ちてしまった学力を元に戻すには、時間がかかります。一朝一夕にはいかないでしょ?

 まずenaの学力判定試験を受けてみましょうよ。偏差値や順位などの客観的なデータが分かるし、該当学年においての不足している単元が明確に分かります。このデータをもとに、enaからの学習計画もご提案できます。

 塾を試して下さい。私たちも、全てのご家庭に完全なサービスをご提供できるとは思っていません。お子さんと塾との間に相性があるでしょう。講義形式にはあわない生徒も居ます。私たちの思うことは唯一、「生徒の第一志望校進学のお手伝いがしたい」ということだけです。その方法として、塾ではなく家庭教師だろうと判断した場合、そうお話ししています。塾を試して頂くには、例えば3月中旬にある春期講習を利用されても良いでしょう。また、通常の授業を「体験授業」で試してみるのも良いでしょう。お父さん・お母さんに対しては「無料進学相談」をお勧めです。帰国枠受験の素朴な疑問・学習相談・カウンセリングを学外生に対しても、無料で行っています。

 そろそろ、はじめるべきではないですか?受験、間に合わなくなりますよ。

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