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2010年03月号 「選択!」
■どちらが良いものか。。。
補習校とena。両方されているご家庭もありますが、高学年となると両立は難しく、どちらかだけを選ぶことが多いようですね。
補習校は土曜日で、朝から夕方まで。レベル的なことはさておき、多くの日本人と時間を共有することで、日本語力を維持していきたい。補習校を選択された方は、そんなふるいのかけ方をされているのではないでしょうか。一つだけ注意です。間違った解釈をされている方が居ますので、訂正します。「補習校に行くのは義務」というような噂です。これは間違っています。補習校は「塾」と同じです。通学に関しては任意です。全日制日本人学校とは違います。また、修了書(場合によっては卒業資格と思われているご家庭も有り)みたいなものがいただけますが、それは受験に必要な書類にはなりません。願書出願に提出できるものではありません。存在自体は塾も補習校も同じと言い切って良いのです。
enaは進学塾です。教材は受験を前提としたもので、教科書レベルではありません。週に1度というスタイルは補習校と同じ。宿題がでることも補習校と同じ。補習校では行われていない「理科」が小4以上で履修可能。小1から模擬試験を使って日本にいる生徒の中での位置など、客観的な学力を把握することが可能。受験・進学に関する情報は圧倒的。職員は専業。しかも2,3年で移動することは少なく、当地の現地校事情にも精通しているので相談にものってくれる。北海道から沖縄までにも教え子を送り出しているので、首都圏以外の地域へ帰る場合も相談が可能。補習校より費用が高い。
■親子で迷う
例えば日本を出るときに、上位成績にてが届き始める偏差値「58」くらいの生徒がいたとしましょう。数ヶ月のアメリカ生活のために、あっという間に偏差値54くらいになってしまうことは十分考えられます。
もし、今すぐ日本に帰り、塾に行ったら。。。偏差値65くらいの子たちのクラスには入れてもらえず、ということが起きるかもしれません。もし応用と基礎の2クラスを持つ塾に通ったとすると、微妙な成績のため、応用クラスに入れられることでしょう。でも、そうなると、クラス内では下から数えたほうが早く、授業についていけてないということも起こります。かといって基礎クラスにすると、学校の教科書のやり直し程度で何のために通っているのかも分からなくなってしまうかもしれません。
そうなると自信喪失すること間違いなし。お父さん・お母さんも、微妙な状況であれば、判断に迷われることでしょう。ましてやそれが、アメリカだったら。。。現地校で苦しんでいるから、せめて補習校で生き抜きをさせたい。現地校での内容では日本に帰ったときに苦労するのは見え見えだから、塾でしっかり帰国準備をさせておきたい。教科書がやっとわかる程度でも良い。それじゃあ困る。などなど。。。
春間近。新しく赴任されるご家庭もあるでしょう。今月は、「補助教育機関、本当にココで良いのか?」というテーマで考えてみます。
■不安が募るとき
成績が下がってきた。子供が自信喪失。子供のやる気がない。情報をくれない。アドバイスをくれない。またはトンチンカンな話ばかりされる。学級崩壊。授業が成立していない。
今の補助教育機関(塾や補習校のこと)に入れたことを後悔し、選択に失敗したと思い始めたとしましょう。この状況で、親は何をすべきか。
もし「現状では、何かおかしい」「このままだとマズイ」とお子さんなり、お父さん・お母さんが感じていらっしゃるのであれば、何かは変える必要があります。子供たちによく言うのですが、「変えなければ変わらない」ということです。変わるのを期待して、待っているのであれば、ずっと放置されます。変わることはありません。
例えば、いまenaに通っている。例えば、いま補習校に通っている。例えば、いまは現地校だけで手一杯。どの状況でも結構です。いずれにしても「いま、変えないといけないんじゃないか」と思っているとしましょう。
これからの対策を考えるにあたり、順番に確認していきましょう。
まずやるべきことは、不安になっている根本が『補助教育機関自体に問題があるのか』という点です。一番最初に書きましたとおり、例えば「義務だと思っていた」とか「卒業証書が必要だと思っていた」ということに「しばられて」いたのであれば、これは変えなければなりませんね。実際は期待していたものとは違っていた。良くあるのは、「面倒見の良さ」などという言葉をキャッチフレーズにする塾。じゃあ、これに焦点を当てて考えてみましょう。
まず、ベクトルを自身に向けて、入塾する前に、「面倒見の良い塾である」と判断した基準値を思い出してください。何と何を比較して面倒見がよいと思ったのか。どのように確認したのかを思い出して下さい。塾の責任者、または担当の先生との間で、「しっかり面倒をみていきます」「何かあったときは、○○まで連絡するように」といった具体的な確認がなされていたかどうか?よくあるのが、例えば、こじんまりと「少人数」という理由から、親が勝手に「面倒見の良い塾である」と判断してしまうこと。そういうことはなかったでしょうか?もし、そうだったとすると最初の塾選びが間違っていることになります。もしフランチャイズ塾や、日本国内であれば、隣の駅に別教室があるとなると、「転校」が考えられますね。A校ではなくB校に行かせてくれ、とかです。ただ、「面倒見」という漠然とした言葉への対応となると、補助教育機関の方針にも関わることなので、転校では解決できないことがあります。そうなると、塾換えになります。
補助教育機関の問題なのか、それとも最初の親の見立ての問題なのか、ここをまず明確にするということが大切です。これは最初の入塾時の話ですが、極端な話ですが、「わからないことがあれば、質問にくるように!」なんて先生から頼もしい言葉が聞けたからって安心してはいけない問題です。なぜなら、授業前に質問しようといくと、先生は他の授業に入っていたなんてことだってあります。結局質問ができない。そこで、こういう場合は、安心する前にもう一声が必要なのです。「いつの時間帯に、質問にいけばいいでしょう?」ってね。enaならば、火曜日から土曜日まで、ずっと担当教師が校舎にいますから、自分の授業が無い日でも自習に来て、質問することが可能です。補習校の先生は副業だから、こういうことはできません。校長先生を始めとする日本からの派遣の先生に、保護者が進路相談することはあっても、子供自身がふらりと校舎に自習に来て、というようなことはできません。今から補助教育機関をお考えの方には、ぜひここは押さえてほしいと思います。
■教えるのは難しい
では、補助教育機関自体に問題がないのであれば、次に考えるべきは『先生に問題はないのか?』ということです。補助教育機関の方針自体には不満はないけれど、担当・担任との相性が悪いということがあります。通学義務のある「学校」であれば、我慢しなければ行けないこともあるでしょう。でも、任意のものである「補助教育機関」であれば、先生を変えてもらう・校舎を変えてもらうということもお考えになるかもしれません。
でも、もう一度考えてみてください。「校舎や担任が替われば、成績は上がるのか?」ということです。実は原因はお子さん自身にあったという場合、また、同じようなことを違う先生からも指摘される可能性があります。「うちの子は誤解されやすい性格なので」とおっしゃるご家庭もありますが、幼稚園時代から今に至るまでずっと、ということであれば、それは「誤解」ではありません。あきらかに「ご家庭」が現実拒否をされているだけです。例えば
・ 算数の偏差値が58→54くらいに下がった
・ 同じクラスには65くらいの子たちがいる
という状況で、上位クラスの授業には「ついていけない感じ」ということであれば、校舎を替わって、かつ、今よりも下のクラスに行くことを前提にすることになります。では、そうすれば、今よりも成績は上がるのか?と考えると、現実的には無理、となります。基本問題を繰り返しさえすれば、応用問題ができるようになるのか。いえ、違います。教科書にある、ほんの少しの練習問題を何度も繰り返せば、入試問題は解けるのか。無理です。「易しい問題を中心にする」という補助教育機関にしたら、分かる問題が増える。当たり前です。簡単なんだから。で、その簡単な問題を繰り返せば、求める成績に到達できるのか。そこです。 先生との相性は無視して、事実だけで考えてみましょう。
・ 同じクラスには65くらいの子たちがいる
・ 算数の偏差値が58→54くらいに下がった
こうした環境にいる、こうした成績下降の生徒がいる。推測ですが、授業の内容をしっかり聞き、家庭学習をしっかりすれば偏差値65はとれる内容になっているということが考えられます。ある意味、授業を担当する先生の「授業の質」には問題がないということにもなります。もし、そうだとすれば、問題は「授業の受け方」や「家庭学習のやり方」が問題かもしれない。もちろん、悪い先生は居ます。相性が悪い先生も居ます。
でも、迷ったときは、必ず、客観的に、先生だけでなく、自分たち親子にも必ずベクトルを向けて、考えることを忘れてはいけません。すでに塾に入る最初の「目の行き届く塾」という狙いはボタンのかけ違いが起こっています。海外であれば、噂が先行し、とりあえずみんなと同じ事をしておけば安心と思いがちです。でも蓋を開けてみれば成績向上などありえない状況だったということも。それに気づいても、なかなか修正する勇気が持てず、だらだらと時間だけが過ぎ去る。そして帰国が見えたところで一念発起して。。。でも、時既に遅しということも多々あるのです。それは、すべて、子供に負担をかけることになる。私たちがずっと警鐘を鳴らしている、犠牲者という話になります。
■軸のずれ
例えば、こんな生徒を見かけます。授業をしていて、説明していて、板書していて、「ここは大事だからね!」と振り返ると、ノートも取らず、ずっと手を挙げている生徒。「なに?」と聞けば、「質問なんですけど。。。」と。まさか「お前の質問はレベルが低いので、答える必要はない!自分で考えろ!」などという指導者がいるのなら、そんな補助教育機関は即刻辞めるべきです。でも、もちろん生徒にも教師にも個人差がありますが、授業中に質問をされることを嫌う先生は多くいます。なぜなら、授業の妨げになるからです。これは誤解を招くかもしれないので言っておきますが、子供からの非常に良い質問も多々あります。しかし、「それは今から説明するの!」という質問も実に多く発せられるのです。それが現地校でのアメリカ人の態度を真似て、「ああ、不思議と感じたら手を挙げておけば良いんだ」と学習し、なんでもかんでも、考えもせずに、感じたらすぐに手を挙げる習性を身につけてしまった。質問内容は授業とは全く関係のないことから、テキストに全く同じ事が書かれていることなどなど。それでも、親は子供の「積極的」な授業に望む態度に「おおぉ、やっとやる気が出てきたようだな」と『超勘違い』をし、子供の悪癖を放置。それはさておき、とても重要な、こちらが今から説明しようとした事柄を挙手してしまうようならば、それはTPOがわきまえられないという言い方もできてしまうわけです。流れが読めないともいいますね。ちょっと前の流行語で言うと、一種の『KY』です。ちょっと考えれば、それって質問する事じゃあないって分かることでも、言わずにはいられないってかんじ。
先生の説明を一旦飲み込んで、その上での質問なのかどうか?だからといって、決して子供に対して「内容のレベルが低い」と指摘することはありえません。ですが・・・一度、お子さんの授業態度について、もしくは質問内容について、親は確認する必要があるでしょう。子供は積極的に良いことをしているつもりでも、授業の妨げになっていると写っているのであれば、これまた大きなボタンのかけ違いです。日本に帰るのであれば、帰国する前に変えていかなければならないことの一つでもあります。これをやりすぎると、先生からも友達からも嫌われるからです。
■やっぱり大事なのは家庭学習
enaに通っただけで成績が向上する!と、いいたいところですが、世の中そんなに甘くはありません。通っただけでは100%成績向上はありません。どこかで「訓練」する必要があるし、「覚える」ということをしなければ成績は向上しません。補助教育機関に通って、宿題をする。これ、当然。で、宿題をやることで「復習」=「訓練・覚える」ということができて、はじめて効果として現れるはずです。だから塾替えをするときは、必ず「家庭での勉強」は、補助教育機関の授業についていくために十分になされていたのかを、しっかり振り返ってください。たいして復習もせず、塾から指示された勉強方法も厳守せず勝手に食い散らかし、家庭学習など授業日前日の30分程度ということであれば、成績向上などありません。
授業もしっかり聞いて、板書もしっかりしている。質問に関しても、授業を理解しながら巻gなえて行動している。しかも家庭学習は、授業を理解するためという視点で、量も質もこなしている。この2点について、お子さんは、どうなのかを考えた上で問題ない!と言えなければ、転校しても、転塾しても再び同じ問題が起こり、成績を上げることは厳しいのではないかと思うのです。
■受験・進学を意識するなら
もし5年生、もし中2ということであれば、当然受験を意識すべき時期ですね。そうなると、補助教育機関がどうかと迷っているよりも、たくさんの量をどうこなそうか、偏差値54をどう元の58までに戻そうかという点に集中して頭を悩ませないといけない時期です。臨戦態勢に入るというと物騒な、嫌な言い方ですが、でも選抜に勝ち残るためには、その学校が要求するハードルの高さを飛び越えるための跳躍力を身につけておかなければなりません。それが入試であっても、編入試験であっても、学科試験が課されるということは、「進学するのに必要な知識を持っていますか」と聞かれているわけです。そこで「現地校で貴重な経験をしたから、身につける時間がありませんでした」とは許されないのです。ここまで述べてきた点は、海外にいたとしても、日本に帰るのであれば、きっちり検証しておかねば、必ずこれからもっとも大事な時期に大噴火するのは必定です。
だからこそ、しっかり点検した上で、改めて、
日本の学校の授業についていく「学力」が足らないのか?
日本の学校の授業についていく「姿勢」が足らないのか?
も踏まえて、シビアに見極めた上で、対策をとるべきであることだけは忘れてはいけません。現地校と日本の勉強の「二足わらじ」を履かざるを得ない子供たち。補助教育機関が家庭と一体になって初めて、高くて険しい山に登る準備が整うはずです。
がんばってください!
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