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2007年11月号 「勉強の仕方・させ方」
「あの子、凄いねえ。K大付属だってさぁ」「あの子なんて、W大付属に進学したんだってよぉ」
周りから、こんな声が聞こえる4月。私たちenaでも「入試報告会」なんてものをやるから、余計に意識しちゃったりします。で、11月。受験生は、とっくに志望校を決定し、全開モードで突き進んでいます。(。。。のはず)さてさて。では、非受験生たちは何を考える時期なのでしょうか?
enaのクラスの内でも、色々ですね。海外で身につけた経験や日本の勉強の濃度は様々ですし、場合によっては日本への帰国先がバラバラ。(関東だったり、東北だったり)そうなると、同じAクラスの中でも、勉強に対しての意識は違ったりしています。その中で、例えば偏差値70近くの学校を目指している子供達は、小4や中1の段階でも皆、親の力を借りずに自分で学習計画をたて自分のペースで学習を進めている子供達ばかりです。また、こういった学校は自学自習のできる子を求めています。
では、親が学習管理をしなければならない子供達は、どういうタイミングで偏差値70レベルの子供達に追いつくことが出来るのでしょう?そもそも、それは不可能なことなのでしょうか?
子供達の中には、成果を得るために毎日こつこつ頑張っている連中も居ます。お父さんやお母さんが傍でマル付けや成果の確認、場合によっては宿題の取捨選択、学習計画やミスノートの作成、弱点補強問題の作成などなどで必死になっていらっしゃる場合もあります。ところが自学自習が完成しているご家庭では、健康管理をきちんとされていらっしゃる以外、勉強に関しては放任されている場合が多く見られます。塾に任せるだけ、とか。テニスやお料理教室、映画鑑賞などなど、ご自分の時間を楽しんでおられる場合が多く見られます。
偏差値55までは来た。さらに、上のステージを目指す為にも、親として子供が自力で勉強できるようにするにはどうしたら良いのでしょう?
保護者面談の時期です。このようなご相談は良く受けます。ここでハッキリと申し上げているのは「皆さん、それぞれに悩みを抱えていらっしゃるわけで、全てのご家庭が順調なわけではありません」ということです。偏差値70を越えている生徒のお家でも、何かしらのご相談があったりします。それは志望校のことだけではなく、勉強のことであったり、現地校とのバランスのことであったりするわけです。例えばスランプなどもあるわけです。そんなとき、親がどう動くか?現地校とのバランスで悩む時期もあります。そんなとき、「何かおかしい」と誰かが感じるだけで、それを問題視することで、その後の道は大きく分かれるのです。もちろん、子供自身が自分で動いて現状を打破してくれるのが理想ですが、海外生活は足かせも多く、無理なことが多い。ましてや小学生の場合、自力で解決は不可能ということが多く見られます。
でも、実はここがネックだったのです。「ボクは親に勝手に連れられてきて、現地校をガンバレって言われて必至にやってきた。それなのに今更。。。」という消極的な姿勢に、親がはめ込んでしまったのです。子供が動けないのは、子供に動く方法を教えていないからです。本来どうあるべきなのか。何を、どうすれば良かったのか。今、どうなっていなければならないのか。それをせずにいると、どうなるのか。そこまで納得させていけば良かったのです。刹那主義、その場主義で、「とりあえず」と生活しているから、結局なにもかもが中途半端になり、目標を見失い、失速するのです。そして、また一人の子供が犠牲者になるわけです。
それは乗り越えている。でも日本の勉強は際限が無くて、親が手伝わないと出来ていない。このままではダメだと思いつつ、ずるずると。。。さらに、上のステージを目指すためにも親として子供が自力で勉強できるようにするにはどうしたら良いのか?考えてみましょう。
周囲をよくご覧になって下さい。私たちが「成功談は聞くだけで、頼るべきものではない」と言ってきましたが、兎に角、聞いてみましょうか。優雅なご家庭が多いですよね。昼は、テニスやお料理教室に、映画鑑賞。夜は、早々に就寝。もちろん、子供達が参加する場合もある。それでも、いざ模擬試験を受けてみると偏差値70を取ってしまう子供達。親の力を借りずに良い成績を取れる子供が現実にいるわけです。それなのに、我が家は傍についてセコセコ頑張っている。この違い、この差、どうしてくれる!神様は不公平だ!と言いたくもなります。
そんなとき、子供たちは親のことを何と思っているのでしょう?オリコウな子供達のことですから「自分のことは、時分でやるしかないからね」なんていうのでしょうか?いやいや、実は違ったりします。
あるとき、「お母さんだけ、遊びに行きやがって!」と少し押さえ気味にいった子どもがいました。私は煽るように「『お母さん』じゃないんじゃないの??」そうすると、ニコッと笑って「そうでした、クソババァだけ遊びに行きやがって!でした」。そんな風にいいました。確かに、自分の勉強だしという気持ちはあるものの、どの子供だって、みんな同じです。大変なものは、大変です。ましてや現地校との両立は、全員が全員、簡単なことではなかったはずです。まわりに遊んでいる人間がいれば、集中できないのは当然。兄弟が遊んでいれば勉強できない。では、そんな普通の子供なのに、どうして成績優秀なのでしょう?答えは簡単です。親の替わりに誰かしらが勉強の面倒を見ているだけの話です。
海外では「お父さん先生・お母さん先生」が活躍されています。でも、実際やってみると、これまた難しい。しかも「感情」という勢いが付いてしまうものですから、これまた大変。「なんでできないんだ!」と、冷静になるべき先生が、一番熱くなっちゃったりします。そして最後には「もう、お母さんとは勉強したくない」なんてことにもなりかねない。
だからこうしたご家庭には、アドバイスしてきたわけです。自分でやりきれないのであれば、補助教育機関を上手に使えばよいだけです、と。
極端な例では、こんなご家庭もありました。ある家庭教師の先生が「先生、今日に限り延長は30分以内でお願いしますね」と言われました。お母さんの話をよく聞いてみると、土日の朝9時から夜11時まで、「家庭教師」を複数頼んでいたらしいのです。英語のチューターから日本の勉強。一人の方にお願いする、ではなく「良い」と評判の先生を上手に組み合わせて使われていたらしいのです。それぞれの家庭教師の交代の間が30分だったわけです。食事は、家庭教師といっしょにいただきます。栄養を考えたお弁当を前の晩に用意されていたりします。決して「マ○ドナル○」からチャラっと買ってきてということにはなりません。
プリント整理や教材のコピーは、お手伝いさんが担当しているご家庭もありました。時間の節約。優先順位の遵守というかんじでしょうか。お母さんが旅行に行かれたときは、お父さんは居残りで、お母さんの替わりに管制官をしていらしたご家庭もありました。普段からご夫婦で情報交換をされていたからこそ、交代が出来たわけです。「いつもは私がして居るんだから、たまにはアナタしてよ!」と突然押しつけられても、管制官にはなれません。衝突事故を起こすだけ。このご家庭、そういう意味で見事なご家庭でした。海外においては家族の絆が強まると聞いていましたが、まさに、お父様とお母様がしっかり手を組んで、お子様を見守っていたんだと感じたものでした。
誰かが子供の勉強の進捗を、現在の状態を把握している体制であれば良いわけです。それを親が一人でやっているか、その他大勢でやっているかの違いだけなのです。塾に通えば、そのことが周りから見えやすい。でも、塾で勉強すること以外は?外から見えるのでしょうか?
私たちの経験上、成績が良い生徒やその親は、家での子供の勉強の様子は語りません。いくら仲が良いからって、全部を話しているとは限らないのです。親の兄弟姉妹にだってさえ、そういう中の状況を見せないことも多かった。親の兄弟の家に指導に行っても、情報なんかは行っていないわけです。それを海外にいると小さな「噂」まで鵜呑みにしてしまうご家庭がある。「あの学校は現地校の成績さえ良ければ合格する」「あの子は現地校でスポーツを頑張ったから、あの学校に進学できた」なんて「誰かの勝手な憶測」を真実と思いこんでします。それだけで済めば良いのですが、それを我が子にも押しつけてしまう。「あの子が出来たんだから、我が家も!」って。そして受験期になって慌てる。もう少し早く、私たちの警告を聞いてくださっていたら。。。
また、成績がトップレベルの生徒は、こんなことを言っていました。「テスト前に、人前で最終確認はしない」と。つまり、模擬試験当日、休み時間などにテキストをめくるようなことはしないと。トイレに行って、水を飲んで、気持ちをユッタリとするだけ。テキストを開けてしまえば、自分の山を張ったところを人に見せてしまう。テストは競争なんだということを、こういった生徒は良く分かっているわけです。学校や塾に行けば、もう勉強する姿は見せないのです。
実は親も同じです。保護者面談では、「家では子供に対して、あまり勉強のことは言いません」などとおっしゃいます。例え、夜遅くまで勉強につきっきりで寝不足なのにです。そういうご家庭の方が、圧倒的に多い。皆さん、どのご家庭も試行錯誤していらっしゃる。情報は多くなったけど、我が家に当てはまるか分からないから、必至になっていらっしゃる。でも、それを開き直ったりはしない。子供と一緒に、苦労している。これが多く見られます。
こうしたことは、本当に外から見えるのでしょうか?
これまで書いてきたことは、一例に過ぎません。ただ、上を目指すためにも「自学自習」を完成させたい。それこそが、上を目指すために必要なこと。そう考えていらっしゃるご家庭は多いと思います。私たちも「自学自習を目指してください」とお話ししてきています。
ただそれは、講義スタイルの授業に慣れている生徒であるのが前提条件であったり、徐々に軌道に乗れたせいとであったりします。決して、いきなり「ポン!」と自学自習が出来るようにはなりません。小1や小2からenaを始めたのも、そこに照準があるからです。受験勉強自体はもっとスロースタートでも良いでしょう。でも、自学自習を完成させたいということであれば、早めのスタートを切って、軌道に乗っていくのが理想でしょう。中学受験では小2や小3から、高校受験では小4からが理想でしょう。
鍛えている段階において、軌道に乗せている途中の段階で、親が学習管理をして偏差値70が出るのと自力で学習して偏差値70が出たのと、どっちがすごいのか?どっちでもないでしょう。同じです。親が学習管理したら70は出ないけど、自力なら70が出るなどということもありません。
私たちが「偏差値60」を基準にしているのは、経験に基づく理由もあります。偏差値60を越えれば、子供には明らかに自覚は出ます。やっている勉強に対しても、意欲的になることも多い。授業を受けても、解説を聞いても、授業の大半は、授業中に理解できることが可能になっていく。そういう意味もあって、偏差値60を基準値としてみているのです。偏差値が上がれば上がるほど、「テストで解ける問題」にするまでの時間は短縮できる。とても単純なことです。
ただし、簡単すぎるテストで好成績を修めても意味はありません。まともなテストになった瞬間に撃沈します。私たちが模擬試験受験をお勧めしているのは。日本にいる生徒達の中での成績をつかむべきだと言うこと。問題集の後ろにあるテストをチャラっとやって「できた」と思ってはいけません。日本の進学を無視した、絶対評価だけで「よくできました」とするのも間違っています。海外にいるからこそ、相対的に(周りと比較して)考えていくべきです。中学生に駿台や5教科模試も受験を勧めているのは、あくまでも日本にいるライバルを意識して欲しいから。保護者会も利用しない。面談も使わない。模試も受けさせていない。帰国間際になったら考える。まさか、そんな風にしているわけではないでしょう?手遅れになりますよ。親がやっている。全部やっている。でも子供は何も覚えていない。ena模試では成績が良かったけど、駿台は壊滅状態。5教科模試をやらせてみたらボロボロ。これじゃあ国公立は無理。なんてことが分かるわけです。
百歩譲って、勉強する場所や、その方法などは厭わない。ボクシング界のお騒がせ一家じゃないですが「勝つため(偏差値60を越すため)には、手段を選ばない」で結構です。それで良いです。だったら、今のやり方で偏差値70をさっさとたたき出しましょう。3ケ月も同じ方法をやってみて、効果が現れないなら、さっさと方法を変えましょう。しっくりくるやり方などと子供に振り回されてはいけません。しっくり来るやり方とは即ち、偏差値が伸びたかどうか、です。成績が向上して初めて「自分にあう方法」なわけです。
家族一丸になること。同じ方向に向いて突き進み、合格を我がものにし、受験が終ってから、テニスや映画にお料理教室を堪能されたら良いのではないでしょうか???お父さんとお母さんの言うことがチグハグなご家庭において、成功した例を私は見たことがありません。お父さんは「公立高校で良いところがある」といい、お母さんは「国立よ!」といい、本人は「行きたい私立があるんです」なんて状態で、まともに成績が取れるようになるはずありません。
親子で一緒に戦う!結局、受験勉強が生活の大半を占めている今、それが親ができる子育てではないでしょうか?成績が良い「だけ」の子供を目指しているわけではないのですから、余計にそう感じます。海外にいる家族ですから、余計にそう感じるのです。
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