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2001年10月号 「はっきりと、言わせていただきますね。」

■暗いニュースばかりの「今」だからこそ。。。

 底なしの平成不況。汚職事件。そして世界を揺るがしたテロ事件。またまた起きた現職教師の犯罪。本当に暗いニュースばかりですね。

 だからこそ、です。今こそ「しっかりと勉強しておくべきとき」ではないでしょうか?というのも、これからの未来を生き抜いていくのも「流される」のも、君たち次第だからです。

 私立の学校も一つの「会社」のようなものですから、今後「潰れる学校」もどんどん増えるでしょう。近年言われている「卒業証書がただの紙切れにすぎない」学校がたくさん出てきます。そして逆に「価値のある卒業証書」をもらえる学校が生き残ります。そうすると生き残る学校は今まで以上に「狭き門」になるかもしれません。受験戦争という言葉は死語になってしまいましたが、ハッキリとした目標やしっかりとした学力がない者にとっては再び厳しい時代へと向かうかもしれません。国立大学だって5教科7科目の試験を復活させます。私立のAO入試も「入学する人物をしっかり見よう」という意識の現れですよね。こうしたことはいずれ、必ず高校入試や中学入試に降りてきます。もしかすると改革という言葉が新鮮に感じるうちにやってきてしまうかもしれません。

 勉強は悪いことではないはずです。学力を付けるということは悪いことではないはずです。基本基本といいながら、結局ドリルもしないような勉強は片手落ちとしかいいようがありません。お父さんやお母さんに聞いてみるといいですよ。昔は公立学校であっても、もっと宿題が出たものです。夏休みの宿題なんかは、主要教科しっかり出ていましたよ。やっぱり、どんな時代になっても、どこへ行っても、しっかりとした学力は持っていたいですよね。で、その最低限を、どのレベルに設定するかが問題なのです。私たちがずっとお話ししてきているのは、ココなのです。これからの世界を「生き抜いて」行くために、目標を持ち、目標達成まで自分を磨くことがいかに大切なことであるかを分かって欲しいのです。  

■失敗例とも言えることを一つ。

 先月起きたテロ事件は本当に悲しいものでした。犠牲者の方には心よりご冥福をお祈りします。
(テロについては掲示板にも記述があります。興味のある方は、読んでみて下さい。) 

 生きている者は前を向かなければなりません。

 今後考えられることを想定してみましょう。突然の帰国。ありえますよね。今回の事件だけではなく、もともと平成不況の影響が本当に大きくて、例えばNY本店だけを残して撤退とか良く聞きます。ここDCだって例外ではないですよね。規模を縮小するとか撤退するとか、君たちのお父さんから良く聞きます。

 そうなると、君たちは?何をしておくべきなのでしょうか?「とりあえず」ですか?「今できることをやっておく」ですか?  もちろん、そうなんですけど、何か抜けていませんか?

 「今の日本の状況を把握して」という言葉が抜けていませんか?だってそうでしょう?学校の教科書の問題をやっているだけで十分なのかどうか、分かっているのであればいいですけどね。例えば私立の学校を希望しているのであれば、今時「学校の教科書だけで十分」と思っている人はいませんよ。そうでしょう?私立の多くは完全週休二日制にも教科書削減にもあわせないようですからね。あくまでも「我が校の生徒の学力を落としたくない!」という姿勢ですよ。日本の小中学生は、そうした状況を考えて「学校はいろんな経験をするところ」で「勉強は塾で」と分けているそうですからね。

 突然の帰国で慌てたケースを紹介しましょうか。お父さんの会社からは「あと3年ぐらいかな」といわれていた中3になったばかりのA君の家庭。当然、現地校のことだけで手一杯。サッカーチームにも所属していたり忙しい毎日。日本の勉強は通信教育(3教科)と週1回2時間の家庭教師(数学)だけ。旅行とかサッカーの試合とかがあると家庭教師はお休みとか、通信教育も期限内に提出することはまれ。やったりやらなかったりという生活。友達に会うためという目的で補習校に行ったり行かなかったり。。。

 ところが突然「あと半年で帰国が決定!」というお父さんの話から、さあ大変。高校受験を準備しなければならない事態になりました。「大学受験で帰国枠を使って」と考えていたA君一家は予定外の帰国に対してどうしたら良いのか分からず塾に相談しに来ました。学力判定試験をしたところ小6初期の段階からの「受験レベルでの基礎」内容がすっぽり抜けていることが判明。帰国までの半年で埋められる量ではありません。とにかく一つでも多くのことを埋めるしかありません。それには本人の強い意志も必要です。日本の勉強に対しては「さぼり癖」が付いていたA君ですが、それが克服できなければ志望校合格には間に合いません。三者面談で様々なことをお話しして、とにかく一刻も早く始め、1ケ月様子を見ましょうということになりました。

 ところが今までの積み重ねがないぶん、分からないことだらけのA君は苦労の連続。毎回の塾の宿題にも数時間がかかり、しかもサッカーは辞めたくないという本人の強い希望を考慮しての両立を目指したのですが見事に失敗。1ケ月が経つ頃、保護者面談をしたときにお母さんは泣きながらいいました。「もっと早くから準備させておけば良かった。本当に後悔しています。やはりどこかで『海外にいるから誰かが何とかしてくれるだろう』という、全てに対しての甘えが出ていたんだと思います。」

 これはもちろん実話です。その後、A君は一進一退を繰り返し、結局志望校を2段階以上低く設定し直して受験にのぞんだそうです。それでも日本では週4日以上の塾通いをしたそうです。

 近年は海外でも比較的簡単に日本の情報も得られる時代です。海外で生活するということが、昔ほど特殊なことではなくなったのです。ここで注意しておきたいのが「永住ではないのならば、常に帰国することを念頭に今の日本の状況を踏まえて準備する」ことなのです。決して「とりあえず」ではないし、「何も調べず基本だけ」ということではないのです。

■リップサービスほど残酷なものはない

 例えば中学受験で「一般枠」で受験しようと思っているご家庭がいたとします。入塾手続きにいらしたとしますね。私たちの返答は「今すぐ日本に帰って下さい」といいます。決して「いっしょに頑張りましょう」とか、「頑張れば出来ますよ」とはいいません。また、国語の学力が落ちている生徒に対しても「これからですよ」とか「頑張れば必ず出来るようになります」とはいいません。いうべき時にはハッキリと「学年相当の力がありません」とか「相当苦労しなければ、取り戻せないと思います」とお話しします。塾なんだから、一人でも多くの生徒を集めたいはずなのに「なぜ?うまく入塾を誘えばいいじゃん!」と思われたかもしれませんね。

 塾は「サービス業」です。必ず行かなくてはならない「学校」とは違います。(今は、必ず、という言葉も使えなくなっている時代ですが。。。)私たちは、生徒のご家庭から月謝をいただいたならば「いただいた月謝分は学力としてお返ししなければならない」と思っています。塾に来る=進学のためにということであれば、合格・進学への導きができなければなりません。そうなると、現地校生活に追われている生徒に一般受験は普通は無理です。現地校生活に追われているアナタと、日本で週に5日も塾通いしている生徒が戦うんですよ。しかも彼らは1回の授業が3時間とか、日曜特訓があったりとかしているわけです。日本国内で上位難関校を目指す生徒は、そこまでしているわけですよ。これは中学受験に限ったことではありません。高校受験でもそうですし、大学受験でも同じです。やる生徒はやっているのです。さらに、帰国枠受験といっても既に帰国して日本の塾に通っている生徒達だっているわけですからね。彼らは日本国内の生徒と同様のことをしているわけです。これは大変なことですよね。

 だから私たちは、「それでもがんばるぞ!」と思った生徒と「いっしょに」頑張りたいのです。私たちだけが張り切るのではなく、君たちといっしょに頑張りたいのです。私たちは決していい加減な気持ちでは無いのです。適当に授業をしているのではないのです。成績向上と志望校合格に私たちの全エネルギーを注ぎたいのです。中途半端に「週1回の授業で成績を向上させられるわけがないから、まあ、楽しく通って下さい」とは「決して」いいたくないのです。カリキュラムもなく、eメールか何かで「ちょこちょこ」っと教えた「ふり」でごまかしたくはないのです。「とりあえず、がんばったから成績はA!」などと、進路を考えずに評価を与えたくはないのです。顔を見ながら、ご家庭と連絡を取りながら「目標達成に必死になることの大切さ」を共に感じあいたいのです。覚悟を決めて欲しいわけです。君たちにもご家庭にもね。  

■消費者の確かな目を持ちましょう。

 数年前の私立中学ブームは「何が何でも私立」という雰囲気がありました。大学付属がもてはやされて、高校受験でもその余波がありましたね。

 今の中学受験ブームは違いますよ。高校受験も違います。やはり平成不況の影響でしょうか、学校を選ぶ目は以前より厳しくなっています。制服や学校設備だけではごまかされないご家庭が多いようです。進学実績や、そこまでのカリキュラムなど、細かいところに渡って「調べて」受験校を決めています。ネームバリューにとらわれないご家庭も増えました。

 塾を選ぶときにも、同じように厳しい目を持っています。生徒の君たちだって、そうですよ。宿題もたいして出ない、友達がいっぱいいるだけの楽しいだけの塾は敬遠しているようです。まあ、だいたいそういった塾は潰れています。塾の先生の「感動的な話」につられて入塾しちゃったというようなケースも減っていますね。やはり質を求める時代になったんだと思うのです。選択肢が多いからこそ、本質を見抜こうとしている時代になったとでもいいましょうか。いい加減にやってきた塾や私立の学校などは、自分で自分の首を絞める時代になったんですね。「何を、どうやっているか」「どんな成果が期待できるのか」「どこまでのサービスが充実しているのか」ということをハッキリ見なければいけないんです。中途半端に「まあ、通っていれば何とかなるだろう」というような態度ではダメなのです。通う以上は、そこで何かを吸収できなければダメなのです。そうでなければ、お金も時間も無駄になります。今、アナタは手応えを感じていますか?  

■読み物発行後、半年が経って。

 書き始めた3月当初は「あまりハッキリ書くと、クレームが増えるのではないか?」という危惧もありましたが、やはり事実は伝えなければならないと思い書き続けています。最近になって、この読み物を片手に塾の説明を聞きに見えるご家庭が増えました。またeメールやお電話での進学相談をご希望される方も増えました。体験授業に参加する生徒も講習に参加する生徒も昨年より倍増しています。また無料学力診断を受ける方も増えてきました。個別授業もほぼ定員になりましたし、土曜本科授業も生徒数が増え続けています。平日受験科授業はいうまでもありません。

 さて、本来「企業」であるはずの私たちですから、例えば体験授業を受けたご家庭には「体験授業後に勧誘のお電話」を差し上げるべきかもしれません。しかし、私たちは勧誘を「いっさい」していません。これは前述の通り「私たちの目指すもの」が各ご家庭にそぐわないという場合もあるからです。ご家庭が進学や受験をお考えでない状態のときに「だいじょうぶです!お任せ下さい!」などとはいいたくないのです。私たちの目指すものをご理解いただいた上で、いっしょに頑張っていきたいのです。せっかく体験授業まで受けていただいたのに、その後ご連絡をいただけないというご家庭も数件あります。一人でも多くの生徒を集めたいという気持ちはありますが、それ以上に私たちは「進学や受験を真剣に考えたい・生徒やご家庭に考えていただきたい」という気持ちの方が大きいので、勧誘のお電話を差し上げていないのです。

 子供達が学力を付けるということは簡単なことではありません。だからこそ、共に努力する場として私たちがあるというこを、生徒自身にもご家庭にもご理解いただきたいのです。ただ、それだけなのです。

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